断腸亭料理日記2016

油淋鶏

10月2日(日)夜

日曜日。

昨日と打ってかわってよい天気。
と、なると、真夏ほどではないが、
そこそこの暑さ。
だが、むしてはいない。

今日は少し、目先を変えて、自転車で浜町公園へ。
(そう大きな公園ではなく、警官まで出る騒ぎであった。)

こういう天気だとやきとんでチューハイであろう。

暑すぎてもいけないが、なぜかやきとんにチューハイ、
という気分になる。真冬や雨の日でもない。
そこそこ気温の高い晴れた日が、やきとんにチューハイ日和、
で、ある。

どこかというと、やきとん[ま〜ちゃん]。
なん回か書いているので、ご記憶の方もあるかもしれない。
私の住む上野浅草界隈、やきとんやは数々あるが、ベストを挙げると
やはり、ここ。(もう一軒挙げると、ストイックさがよい上野駅前の
[カミヤ]で、ある。)

拙亭のある元浅草からは歩いて10分程度。
駅でいえば日比谷線の仲御徒町が最寄。

外出していた内儀(かみ)さんと店で待ち合わせ。
私は5時すぎに浜町から到着。

小さな店である。
カウンターと奥にテーブルが一つ、二つ。

ほぼ満席。
運よくあいた壁際の席に掛ける。

シャリキンにレモン。

シャリキンというのはキンミヤ焼酎をシャリシャリに
凍らせたものに炭酸を足したもので、氷は入っていない。

存在は知っていたのだが、頼んだのは初めて。
氷が解けて、薄くなるということを避けられる、ということか。
これはよい。

焼物を数本と白菜漬を頼む。
焼き方は、全部おまかせ。
トウシロウがぐずぐずいうよりも、
やはり、プロのおすすめにまかせた方がよろしかろう。

レバー。

塩。
塩で食べられる、豚レバーというのはかなりの鮮度と
適切な下ごしらえが必要なのであろう。
むろん、中は柔らか。
炭火焼である。

タン。

これも塩。
レバー同様に鮮度と焼き具合、で、あろう。
うまい。

つくね。

つくねというのも、好物かもしれぬ。

やはり、塩。
やきとんやなので、豚なのであろう。
焼鳥のつくねには、よく軟骨を入れて食感をよくしているが、
これも同様。これがうまい。

肉巻トマト、チーズのせ。

毎度頼んでいるが、ここへきたらこれを食べねば、で、ある。
トマトを焼く、というのは少し前から出てきていると思うのだが、
ここで初めてうまいことに気が付いた。
ほっかほかのトマトがばかうま。

ここまでが一回の注文。

煮込み玉子付。

まあ、これも定番。

野菜。

椎茸。

玉ねぎ。

マヨネーズが添えてあるが、やはりそのままがよかろう。

炭火で焼いただけ、なのであろうが、こういうものが
うまいというのは、どうしたわけであろうか。

よく言われるが、素材そのもののうまさを味わう。

フレンチなど洋食は、足し算。
和食は引き算。
素材や、調理法、技術を磨いて、磨いて、うまさの本体に迫る。
これもわれわれ日本人の特性なのであろう。
少し前に縄文時代の記憶が今の私たちにも受け継がれている
というようなことを書いたが、これもその一つ、
ではなかろうか。

また、肉にもどり、シロと、シロコロ。

これはタレ。
焼き肉やなどでシロコロを頼むと、脂だらけであるが、
適度に落としてあって、これが絶妙にうまい。

ハラミ。

やっぱりタレ。
これ、牛なのか。聞かなかったのでわからないが、
ちょっと血のにじんだレアがよい。

肉巻えのきとバラ。

どう表現したらよいのか。
えのきの方は、大量のえのきをかなりきつく束ねて肉で巻いてある。
もちろん、こちらの方がうまいので、意識的にこうしているのであろう。

束になった時の食感とうまみのため、ということなのか。
かなり芸が細かいといってよいだろう。
こういうところが、この店の信用のおけるところ、なのである。
どうしたら、うまいものができるか、ということを考えたうえで、
それをきちんと一品に反映させている。
凡人にできることではない。

バラの方は、コクのある味噌味。
豚の脂と味噌との相性は、もはや定番である。

よし、これにて、お勘定。

うまかった。

ご馳走様でした。






台東区台東4丁目6−1
TEL 03-3835-1758




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