断腸亭料理日記2016

浅草・すき焼き・今半別館 その1

9月18日(日)夜

日曜日、夜。

今日は、浅草の[今半別館]へ行くことにした。

2年前のちょうど同じ頃にきていた。

考えることは、同じようなもの、なのかもしれぬ。

[今半]というのは東京の方であれば
ご存知であろうが、なん軒かある、すき焼きや。

なん軒かというよりも、なん系統と、いった方が
よいかもしれぬ。

実はけっこう複雑なのである。

本家本元の創業家は[今半本店]

ここの創業は明治28年。

浅草・新仲見世の真ん中あたりにある。

大正10年に暖簾分けで独立をしたのが[今半別館]。

そして、浅草六区から国際通りを渡った西側にあるのが
[浅草今半]。
素性からいうと、なんでも本店の共同経営者であった人が
昭和3年に今の場所に独立したという。

そして[浅草今半]は戦後すぐの昭和27年に人形町に支店を開店。
これがのちに独立して[人形町今半]になっている。

[人形町]は戦前、それこそ人形町が芳町花柳界として
全盛を誇っていた頃からかと思っていが、意外や、戦後なのである。
(人形町は戦災で焼け残っているので、街並み自体が古く
そう見えていたのかもしれない。)

[人形町今半]は上野だったり、有楽町、銀座その他のビルに
テナントの支店を出している。皆さんの目に一番触れているのは
これらの店ではなかろうか。

また[浅草今半]も惣菜、弁当などを比較的幅広く展開している。
駅弁などにもなっているのでやはり皆さんの目に触れる機会も
多いと思われる。

と、いうことで[浅草]と[人形町]が手広く商売をしており
[本店]と[別館]はいささか目立たない印象。

ただ、戦前の[本店]は今半御殿などと呼ばれ、
贅を凝らした和風建築で今よりも敷地も広く大規模で、
押しも押されぬ浅草を代表する料理やであった。

しかしその御殿は戦争ですべて焼けてしまった。
代わりに、数寄屋建築の店舗に再建したのが[別館]であった
ということである。

昼頃TELを入れ予約する。
テーブル席もあるが、その数寄屋造りの座敷は
予約をしなくてはならない。

一昨年行ったが、座敷はやはり素晴らしかった。

17時に予約。

10分前にタクシーで向かう。

雷門で降りる。
ここのところ日常化しているが、内外の観光客で
雷門前は混雑を極めている。
人力車の兄ちゃんは、我々のような地元の人間にまで
声を掛ける始末。別段観光客風の格好はしていないと思うが。

雑踏の仲見世は避けて、一本東裏の路地を歩く。

新仲見世と伝法院の二本の通りを越えて、
[今半別館]はこの路地沿い、浅草寺境内のすぐ手前にある。

向かって左側がテーブル席の入口で右側の大きな玄関が
座敷の入口。

入って、お姐さんに名前を伝える。

はい、はい。
じゃぁ、こちら○○にご案内して。

ということで、もう一人のお姐さんに案内されて二階の座敷へ。

磨き込んだ板、階段を上がり、さらにもう一階。
こちらがお手洗いで、上がったところ、一つ目の
お座敷。

あれ?。
ここ、前回と同じだ。

国指定の「登録有形文化財」。
障子の桟が実に美しい。

床の間に、美人画の掛けじ。

ここは座敷も椅子席。
最近老舗の座敷もテーブル席が増えてきた。
外国人にもそうだろうし、お年寄りには座る席よりも
掛ける席の方が、よろしかろう。

天井は彫刻の施された、格天井(ごうてんじょう)。

だいぶ色あせてしまっているが、彩色が施されていることが
わかる。

欄間(らんま)の彫刻も見事。
鳳凰であろうか。
これも彩色付き。

こちらが廊下側。

こちらが中側。

うちそとでデザインが違っているのもおもしろい。

廊下。

欄干というのか、手すりに擬宝珠(ぎぼし)までついている。

廊下の階段側が手洗い。

その扉。

これまた凝っているではないか。
車?、あるいは、和傘であろうか、飾りに、戸の上部欄間部分は、
柳になにか、鳥のようである。

さらにその上の白壁に造られた欄間。

これは雷様か。(ということはどこかに風神様もいるのか。)

じっくり見ると、そうとうに凝っているのがよくわかる。

つづく

今半別館

台東区浅草2-2-5
03-3841-2690




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