断腸亭料理日記2017

鰯とやりいか その1

4月16日(日)夜

よい天気。

朝の天気予報では早くも夏日が予想されていた。

久しぶりにアメ横の魚やに行こうか。

自転車で出て、不忍池から上野の山をまわってみる。

むろん桜は完全に終わっているが、
随分と人が出ている。
清水堂のあたりなどにはソメイヨシノではない桜も多少はある。
ブルーシートを広げているグループも見えるし、
外国人の観光客などは盛んに写真を撮っている。

山を下りて、アメ横。
アメ横もいつも通りだが、自転車を降りても
迷惑をかける人出。

人のいない邪魔にならないところに自転車をとめて、
いつもの魚やへ。

今日はなにがあるかな。

日曜日のせいか、生魚は限定される。
いわし、それからやりいか。

どちらも鮮度はわるくなさそう。

やりいかはボイルをして例の甘いたれをかければ
うまい。

う〜ん。
ただ、高い。
一山、十杯以上はありそうだが、ここには珍しく千円。

するめいかは不漁と聞いていたが。
やりいかは、もともとはあまり安いものではなかったような
気もする。

まあ、よいか、うまいし。

いわし、500円と合わせて購入。

帰宅。

まずは、鰯から。

なかなか大きい。

三匹、三枚におろす。

そろそろ子持ちの時期か、腹に小さな真子や白子も見えた。

ともあれ。

とりあえず、そのまま刺身で食おうか。

しょうがもおろす。


ビールを抜いて、食べる。

わるくはないが、脂ののりがもう一つ。

鮮度はよさそうなのだが。

やりいか。


やりいかは、エンペラと下足を取って
はらわたを抜く。皮はむかない。
これは内儀(かみ)さんに外注。
いかをさばくのは、好きらしい。

ボイルをして、穴子の煮汁を煮詰めた
鮨やの符丁でいうツメ、甘いたれをかける。

いや、不思議なものである。

いかでも他のものは火を通すとまず堅くなるが、
やりいかは、別。
どうしたわけか、やわらかい。

これたれさえあれば十分、で、ある。

さて。

あとはどうしようか。

いかは、刺身もいけそうではある。
冷凍してもよい。

ともかくも、鰯。

刺身がいまいち、となると、酢〆にしようか。

追加でおろして、塩をする。

ちょっと実験のようなこと。
ものがイマイチのようなので、きつめに〆てみるか。

いつもは、パラパラ、っと、振るだけなのだが、
ドバっと、そう、1mmほどの厚みで両面に塗ってみる。

これで2時間。

魚の酢〆というのは、水が抜けた分だけの酢が入る。

きつく〆るというのは、長く酢に漬けるということでは
ないのである。

塩の量を増やすとその分抜ける水の量が増えて
酢も多く入る。

ただ、問題は塩が多いと、当然ながら塩っ辛くなる。
普通は、私はやったことがないが、水に漬けて、
塩抜きをする、という。

納得がいかないのは、この時にまた水が入らないのか、
ということなのである。
(まあ、実際にやってみればわかるのだが。)

または、塩の量をそこそこにしても、一晩置く。
こうしても、水の抜ける量は増える、という。
これも実は、あまりやってみたことがない。

なぜかというと、早く食べたいから。
一晩はどうも待っていられないのである。

ともあれ。

ドバっと塩を塗りたくると、確かに水はどんどん抜ける。

1時間、2時間。



つづく





 

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