断腸亭料理日記2017

煮物二種 里芋とねぎ、ごぼうと豚肉

4月8日(土)

さて。

土曜日。

野菜煮物を食べようと思い立つ。
肉ばかり食べていてはいけない。

いつものハナマサではなく隣りのライフへ。

安くなっている、こぼう、
それから、里芋。

里芋といえば池波レシピ、ねぎと煮たもの。

ごぼうは、池波レシピだと、あの軍鶏鍋に使う。
軍鶏鍋、と、いうのは、鶏のももだったり
胸だったり、いわゆる正肉も入れるが、
脂の多い皮やレバーが入るのがポイント。

そうである。
つまり、ごぼうは、脂との相性がとてもよい。

鶏のレバーや皮と煮てもよいが
豚もよい。

豚肉とごぼうを煮たものは好きで
学生の頃から作っていた。

ごぼうは泥つきと、洗ったものとあるが
面倒なので洗ったもの。

里芋とごぼうに加えて、ねぎと豚コマを購入。

帰宅。

まず、簡単なごほうから。

里芋は、泥つきなので洗わなくてはいけない。

しかし。ごぼう洗ったものがあるのに
里芋は売られていないのであろうか。
以前は八百屋に、少し前までスーパーなどにもあったと
思うのだが。

水を張った樽に里芋を入れ、木の棒を二本突っ込んで
ガラガラと動かして、泥を落とし、表面の皮ぐらいは
取っていた。
八百屋の店先ではよく見かける光景であった。

商売人でもなし、表面の皮がむけていれば
包丁でむかずにそのまま煮てもよい。

ともあれ。

洗いごぼうは、軽く表面をたわしでこすって、
斜めに切る。
笹がきよりは、多少厚く。
あくを抜くために、ボールに水を入れ、さらしておく。

里芋の方。
こちらもたわしでこする。

廉価品だけあって、小さいのだが、
その上傷んでいるところもある。

ゴシゴシと一通りきれいにするのだが、これは
なかなか荷、で、ある。
全部はきれいにしきれない。

ちゃんと包丁でむいた方がよいかもしぬれ、

ごぼうから煮てしまおう。

豚こま切れとともに、甘辛に煮る。
砂糖、しょうゆ、酒、で、ある。
気持ち、甘めに。

もうただ煮るだけ。

斜めに切ったので、すぐに煮える。

煮えた。

とりあえず、これで呑み始める。

コツも何もない。
ただ甘辛く煮ただけであるが、うまいもんである。

以前あくが出て、イマイチのこともあったが、
30分程度水にさらしておけば、OKか。

結局、里芋はくじけて、洗って水に浸したまま。

翌日、内儀(かみ)さんにむいてもらう。

こちらは砂糖はなし。
酒としょうゆのみ。

芋が柔らかくなったら、五分(1.5cm)に切ったねぎを
入れて、ねぎ火が通れば完成。

盛り付け。

里芋はそれだけで煮ても、いわゆる煮っ転がし、
むろんうまいのだが、ねぎを一緒に入れるだけで、また、
趣が変わる。

多少、酒の肴として、ちょいと位が上になるか。

池波レシピとして登場するのは鬼平。

鬼平犯科帳〈11〉 (文春文庫) 池波 正太郎著

「土蜘蛛の金五郎」という一編である。

冒頭部分、三ノ輪の一膳飯屋[どんぶり屋]というところで

『熱い飯に味噌汁。里芋と葱のふくめ煮と、大根の切漬がついている。』

という簡単な定食。
この味に、平蔵はかなり感心をする。

これで七文。そばやの屋台が十六文であったことを考えると、
格安である。

まあこれには“なにか、ある”わけである。

三ノ輪という場所もよい。
江戸郊外。本道ではないが、奥州日光街道の沿道。
舞台設定とすれば、絶好の場所。

ともあれ。

この里芋とねぎもまた、酒にも、飯にも、抜群にうまい。

 

 

断腸亭料理日記トップ | 2004リスト1 | 2004リスト2 | 2004リスト3 | 2004リスト4 |2004 リスト5 |

2004 リスト6 |2004 リスト7 | 2004 リスト8 | 2004 リスト9 |2004 リスト10 |

2004 リスト11 | 2004 リスト12 |2005 リスト13 |2005 リスト14 | 2005 リスト15

2005 リスト16 | 2005 リスト17 |2005 リスト18 | 2005 リスト19 | 2005 リスト20 |

2005 リスト21 | 2006 1月 | 2006 2月| 2006 3月 | 2006 4月| 2006 5月| 2006 6月

2006 7月 | 2006 8月 | 2006 9月 | 2006 10月 | 2006 11月 | 2006 12月

2007 1月 | 2007 2月 | 2007 3月 | 2007 4月 | 2007 5月 | 2007 6月 | 2007 7月 |

2007 8月 | 2007 9月 | 2007 10月 | 2007 11月 | 2007 12月 | 2008 1月 | 2008 2月

2008 3月 | 2008 4月 | 2008 5月 | 2008 6月 | 2008 7月 | 2008 8月 | 2008 9月

2008 10月 | 2008 11月 | 2008 12月 | 2009 1月 | 2009 2月 | 2009 3月 | 2009 4月 |

2009 5月 | 2009 6月 | 2009 7月 | 2009 8月 | 2009 9月 | 2009 10月 | 2009 11月 | 2009 12月 |

2010 1月 | 2010 2月 | 2010 3月 | 2010 4月 | 2010 5月 | 2010 6月 | 2010 7月 |

2010 8月 | 2010 9月 | 2010 10月 | 2010 11月 | 2011 12月 | 2011 1月 | 2011 2月 |

2011 3月 | 2011 4月 | 2011 5月 | 2011 6月 | 2011 7月 | 2011 8月 | 2011 9月 |

2011 10月 | 2011 11月 | 2011 12月 | 2012 1月 | 2012 2月 | 2012 3月 | 2012 4月 |

2012 5月 | 2012 6月 | 2012 7月 | 2012 8月 | 2012 9月 | 2012 10月 | 2012 11月 |

2012 12月 | 2013 1月 | 2013 2月 | 2013 3月 | 2013 4月 | 2013 5月 | 2013 6月 |

2013 7月 | 2013 8月 | 2013 9月 | 2013 10月 | 2013 11月 | 2013 12月 | 2014 1月

2014 2月 | 2014 3月| 2014 4月| 2014 5月| 2014 6月| 2014 7月 | 2014 8月 | 2014 9月 |

2014 10月 | 2014 11月 | 2014 12月 | 2015 1月 |2015 2月 | 2015 3月 | 2015 4月 |

2015 5月 | 2015 6月 | 2015 7月 | 2015 8月 | 2015 9月 | 2015 10月 | 2015 11月 |

2015 12月 | 2016 1月 | 2016 2月 | 2016 3月 | 2016 4月 | 2016 5月 | 2016 6月 |

2016 7月 | 2016 8月 | 2016 9月 | 2016 10月 | 2016 11月 | 2016 12月 | 2017 1月 |

2017 2月 | 2017 3月 | 2017 4月 |



BACK | NEXT |

(C)DANCHOUTEI 2016