断腸亭料理日記2017

2017年平成29年隅田公園の桜と
松屋・銀座すし栄

4月2日(日)夕

日曜日。

夜、内儀(かみ)さんの希望で、浅草松屋の
[すし栄]に行くことになった。

今日は晴れていたのだが、そう暖かくもない。
うすら寒いという感じであろうか。

夕方、薄めのステンカラーのコートを着て、
内儀さんと、出る。

[すし栄]に行く前に、隅田公園を見てみることにする。

相変わらず日曜日、人出はすごい。
お花見時期、というのもあろう。

吾妻橋の交差点を渡って、水上バスの発着場の脇を入る。

やはり、花見にはもう一息、というところか。

今年は3月21日に東京は開花宣言があったが、
その後、寒い日が続いて、一週間以上経った今日、4月2日も
こんな感じである。

ちなみに、今日東京は満開の宣言がされているが、
とてもとても、そんな感じではない。
気象予報士は、寒い日が続くと木によって
開花時期の差が大きくなるというが、これはどういうメカニズムであろうか。
実際そうなのであろうが、さらにその理由までは説明していなかった。
経験的に、例えば古い木の方が開花は早いのは知っていたが、
これもなぜであろうか。
科学的にわかっているのであろうか。

ソメイヨシノという桜はほとんどが実を付けないため、
すべて接ぎ木などによるクローン。
それですべての木がほぼ同じ時期に開花し、散るという。
これが基本であるわけとすると今年はかなりのレアケース。
不思議な現象である。

ともあれ。

江戸の頃の隅田川の桜といえば、向こう側、向島の堤、
いわゆる墨堤(ぼくてい)に、吉宗の頃から植えられたという
ものであった。
今は、浅草側、向島側、両岸が、隅田公園という名前で、
台東区、墨田区の公園になっており、たくさんの
ソメイヨシノが植えられているわけである。

向島側。

墨堤の桜、2〜3分であろうか、首都高、スカイツリー。
花見の屋形船も出ている。
空が妙にきれいである。寒くて澄んでいるのかもしれない。

こちら側の公園を歩いてみると、ブルーシートを広げて
呑みながら花見をしている若い人のグループもあるが、やはり寒そう。
例年足の踏み場もなくなるが、今日はまだ余裕がある。

少し歩くが、早々に引上げ。
松屋へ。

地下の[すし栄]。

ここはなん度も書いている。全部で10席ほど。
いわゆるデパ地下のイートインスペースである。

なんとなく最近、鮨をつまむのなら、ここが
一番多くなっているように思う。

予約もいらず、肩も張らず、リーズナブルな値段。
しかし、江戸創業を謳うだけあって、
ちゃんとしたにぎり鮨をにぎっている。

奥4席ほど埋まったカウンターの真ん中あたりに掛ける。

ビールをもらって、
ここへきたら、これ。

出ない場合もあるが、今日はお通しが出た。

まぐろの甘辛煮。
ちょっと佃煮風。甘味が強めで、うまい。

きた。

アップ。

下段、左から鰹、鯛、まぐろ中トロ、皮目を炙った鰆。
中段、飛魚、ほたるいか、浅蜊、まぐろヅケ。
上段、かんぴょう巻、穴子。

鰆も飛魚も春、ということなのであろうが、
まあ、江戸前ではあまりにぎりにはしないもの。
浅蜊は、いわゆる漬け込みのもので、うまい。

特筆すべきは、鰹。
今年は、私は初めてかもしれぬ。
これぞ初鰹。
みずみずしく、うまい。

食べ終わり、追加。

今日は、花見時で客が多かったのか、鯵がお仕舞とのこと。

すみいかと、小肌。

すみいかは、江戸前のいかを代表するもの。
そろそろ終わりの頃。
すみいかの産卵は初夏である。
今頃から江戸前を標榜する鮨やではすみいかはからあおりいか
などに替わる。

小肌。
開いた一匹でにぎってある。

毎度書いているが、小肌のにぎりというのは
粋な形(なり)をしている。
美しい。
いや、美しくにぎるものである。

切れ込みを両半身に入れてひねっている。

実に江戸前らしい江戸前にぎり。

この小肌のにぎりが食えるだけでも
鮨やにくる価値があるというものである。

うまかった。

ご馳走様でした。

高いねたはいらない。この店のように敷居も低く、
かつ、ちゃんとしたにぎりをにぎるところがもっとできてくれると
うれしいのだが。

 

 


すし栄

 

 

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