断腸亭料理日記2017

浅草・中華料理・ぼたん

12月4日(月)夜

月曜日。

今日は、スペーシアで栃木から。

浅草着はいつもより少し早くて、5時半頃。

なにを食べようか、夕方かから考えていたのだが、
浅草の中華[ぼたん]

いうところの「町中華」。

さて、改めて「町中華」とはなにか?。

そもそもはフリーライター・編集者の北尾トロ氏などの
主催する「町中華探検隊」というのが始まりのよう。

ずばり「町中華とはなんだ」



という本にもまとめられている。
この書名のサブタイトルには「昭和の味を食べに行こう」
などともある。

昭和の味の中華ということなのか。

では、なぜ「町中華」なのか。
今、大手チェーンに押され存亡の危機に瀕しているから。

これは私は、ここでも書いているが、大いに賛同する。
銀座の有名店はともかくも、駅前や街角にあった中華料理店、
ラーメンや、定食やに近いところも含めて、どんどんと
なくなっている。
私達が子供の頃、最も気軽な、安い出前といえば、
こういう町の中華店から取るラーメンやチャーハンであった。
これらが、東京の街から消え去ろうとしている。
これはやはり、寂しいし、なくしてはならないと
考える。特に、私は東京の味、とも思っているので
私の故郷、東京の食文化を守りたいという立場でも
死守せねばならないのである。

ただ、彼らの「町中華」の定義には若干の意義がある。
いや、あまい、と思うのである。

「昭和の」に「日本人の」を加えたい。
前にも書いたような気がするが、新宿御苑前の[随園別館」
など、中国人が経営するよりネイティブに近い味のものを
出すところは除きたいのである。

いや、中国人の経営でも本当はよい。
例えば、かの池波レシピ、日比谷の広東料理[慶楽]
は、あちらの方の経営であったと思うが、
味は日本人向けのもの。

昭和からあるだけでは、いけない。
日本人の口に合わせた味の、町の中華店、
これでどうだろうか。

まあ、これにもう一つ付け加えると、
「東京の」。

これ、意外に意識されていないように思うのだが、
東京(横浜も加えて)以外では同じような業態は
全国どこにでもたくさんあるのかと思うと、そうでもない。
私は、10数年前に名古屋に転勤で数年住んでいたが、
皆無ではないが、ほぼなかった。
全国的に検証したことはないが、例えば、神戸など
中華街があるところは別として、東京のように角々にある
(あった)のは決して一般的ではないはずである。

とにもかくにも、私などは、チャーハン、
タンメン、五目焼きそば、なんという「町中華」の
メニューが時としてどうしても食べたくなることがある。
それも、うまいのが。

そうすると、自分の行動範囲に、うまい「町中華」を
いくつかキープしておきたいのである。
「町中華」自体は東京の街からなくなりつつあるのだが、
まだ、探せばある。だが、うまい、ということになると
そうそう簡単ではない。片っ端から入ってみるわけにも
いかないではないか。「町中華」なので、皆、普通の顔を
しているのである。まあ、埋もれているといってもよい。
幸い、この北尾氏のムーブメントでなん軒か見つけることが
できた。
その一つが、この前も書いた五反田駅前の[亜細亜]、
よくうろついている日本橋本町付近の[大勝軒]

そして、今日の浅草[ぼたん]である。

場所は東武浅草の北口、ガードの西側出たところ、北側。

カウンターとテーブル数卓の小さな店。

昨年、初めてきてから、やはり同じような
栃木からの帰りに寄っている。

今日は、最初に食べた、オムライスが食べたくて
寄ったのである。
中華なのに、なぜオムライスなのか。

いや、そもそもなぜ中華やにオムライスがあるのか。
今、この店は二代目と三代目でやっている。
初代の頃は中華ではなく、食堂であったらしく、
その頃からあるから、とのこと。

入るとかなりにぎわっている。
カウンターに掛ける。

ビール。

ここは浅草らしくスーパードライの大瓶。

お通しはもやしのナムルのようなもの。
(「町中華」に入らないようにも思うが、
アメ横の餃子の[昇竜]もお通しはこれであった。
なにか共通点があるのか。)

オムライスが、きた。

チャーハン同様のしょうゆ味のスープも。

カウンター越しに作っているのをみると
むろん、中華鍋。
チキンライスはよいとして、玉子焼きも中華鍋。
だからか、しっかり火が通ったもの。

たんぽぽオムライスのような半熟ももちろんよいが
本当のことをいうと、私はしっかり火の通った
玉子焼きの方が好み。

そしてチキンライスの味も、しっかり、濃いめ。
使っている油は中華やらしく、ラード。

これぞ最強の「町中華」オムライス、で、ある。

ご馳走様でした。

うまかった。




03-3841-5040
台東区花川戸1-8-1




    

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