断腸亭料理日記2017

カシバタ

7月22日(土)夜

カジキのバタ焼き。

カジバタ、で、ある。

発端は人形町の[小春軒]

カジキのバタ焼き。

バタ焼きという言い方もよいのだが、
かなり香ばしくでうまい。

同じバタ焼きは上野の洋食や[ぽん多本家]にもあるが
こちらは蛤。
これもまた、香ばしい。

この香ばしいバタ焼きを再現しようとなん回か
カジキでトライしているのだが(だいぶ進歩はしているが)
もう一つ、本物にピッタリとはいかない。

おそらくしょうゆとバターの味が香ばしいのだと思うのだが
これがむずかしい。

今日は、内儀(かみ)さんがカジキを買ってきていたので
再挑戦してみることにした。

ポイントはしょうゆの味がしっかり利いているのと
こんがりとした焼き上がり。

そもそもしょうゆ味のバタ焼きというのは、
豚しょうが焼きのように、小麦粉を振ったものを焼いて
後からたれを掛けて煮詰める、ではできない。
これだと、こんがり、にはならないからである。

そこで先に下味を付けてから小麦粉をふって
バターで焼くということになる。

問題はこの下味。
酒にしょうゆを入れて、まぶして、小麦粉を振る。
このくらいではまるでしょうゆの味が利いてこない。

そこで前回は酒なしでしょうゆ原液を30分ほど。

これでだいぶよくなったが、まだ足りない感じがしていた、
のであった。

30分以上漬け込む、か。

それで今回は1時間。

なん回かひっくり返しながら、両面十分に漬け込む。

両面、たっぷりと小麦粉をふる。

付いているところと、いないところがある、というのは
だめで、ムラなく、というのもポイントではなかろうか。

バターをたっぷり。

無塩ではなく、有塩の普通のもの。
味は濃いめ、が東京洋食の肝ではなかろうか。

つけ合わせ用に、冷蔵庫にあったモロッコインゲン。

カジキも投入。

カジキとつけ合わせを同時進行。

カジキは両面、カリッとしっかり焼く。

盛り付け。

もう一品。

冷蔵庫に内儀(かみ)さんが買ってあった青柳。
酢洗いをして、ぬたにする。

ねぎは長ねぎ。

5cm程度の長さに切って、火の通りを考えて、
芯の部分と、薄い皮の部分に分ける。

器にポットのお湯を取ってここに入れ、
レンジで30秒ほど。

薄い部分は20秒ほど。

すぐに冷水で〆て、ざるにあげ、水を切って
ペーパータオルで水気をよく取る。

先日からの課題、江戸甘味噌は未入手のため、白味噌と
八丁味噌の合わせに酢。
比率は若干甘味を立たせた白味噌多め。

さて、ビールを抜いて、食べる。

ぬたはまあ、いつもの味で、上々。

問題のカジバタ。

これはよろしい。

ほぼ[小春軒]といってよいのではなかろうか。

バターしょうゆの香ばしさにこんがり小麦粉の衣。

小麦粉をしっかり付けたのもよかった。

やはりかなり漬けておかないとあの味にはならない。
酒などで割ったものなら一日漬けておいてもよいのかもしれぬ。
もしかすると、プロはこちらかもしれぬ。

カジキバタヤキ、これで会得、で、あろうか。
漬け込みに時間がかかるが、これでいつも洋食やの味が
食べられる。

なにより、なにより。

 



  

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