断腸亭料理日記2017

牛肉のカレー

3月5日(日)夜

日曜夜。

風邪のため、出掛けるのも億劫(おっくう)。
あまり食欲もないのだが、普通のルーのカレーにしよう。

ただし、ちょっとよい牛肉のカレー。

大きめに切った牛肉をこんがり焼いて
煮込んだカレーはなかなか贅沢な感じである。

内儀(かみ)さんにハナマサで、アンガスビーフの
カレー用を指定で買ってきてもらう。

これ。

アメリカのアンガスビーフは赤身だが、なかなかうまい。
巨大なステーキ用を半分にして私もよく買って食べている。

オージービーフよりもうまいのではないか。

他に入れるのは玉ねぎ。

私はにんじんやじゃがいもは入れない。

なぜだか、わが国のカレーという食い物には
玉ねぎに加えてじゃがいもとにんじんを入れる。

インドカレーを食べたことのある方は、
お分かりになろうが、にんじんじゃがいもを
決まって入れるというカレーはあまり聞かない。
(調べるとインドでもじゃがいもをれるものはある、
ようであるが、数多い野菜のカレーのうちの一つにすぎない。
すべてのカレーに定番で入れるわが国のカレーとは異なっている。)

なぜかといえば、日本のカレーの味にはまったく関係ない。
(じゃがいも、にんじんを入る前提の味というわけではない。)
つまり、なくてもなんら問題はない。

おそらく日本のカレーのルーツである軍隊などのカレーで、
野菜も同時に摂れて栄養バランスがよい、また、じゃがいもは
腹持ちにも影響する、このあたりが入るようになった理由では
なかろうか。

新宿中村屋など、無理やり茹でたじゃがいもを別皿で
添えて出すところまである。

実際のところ、玉ねぎは煮込んでいるうちに溶けてしまう。
ただ玉ねぎはこれでもよい。しかし、じゃがいもも煮くずれ、溶ける。
じゃがいもが溶けると、とろみになっていく。
日本のカレーであればまだよいのだが、
インドカレーのあれば、やはり味の邪魔になろう。

ともあれ。

玉ねぎは、炒め用のみじん切りと、煮込み用の
ざく切りの二種類。

玉ねぎみじん切りを使うのであれば、にんにくと
しょうがもついでにみじん切りで入れよう。

玉ねぎ、にんにく、しょうがみじん切りを炒める。

一度出して、今度は肉を焼く。

肉は一口に切って、塩胡椒をしておく。

強火で各面、焦げめをつける。

ブランデーで、ファイヤー。

今回は入れすぎなかった。

香り付けとうまみづけ、で、ある。

ここにざく切りの玉ねぎ。

しんなりするまで炒める。

さらに、先ほどのみじん切りも入れてしまう。

そして、下味にカレー粉。

カレー粉は常備してあるS&B赤缶。

よく混ぜる。

煮込み用の鍋に移して、水を適量。

香り付けにベイリーフも数枚。
さらに、辛み増しに、レッドペッパーを大さじ1弱。

30〜40分煮込んで、カレールーを投入。
我が家は、ハウスのジャワカレー。
ハナマサで買っているので、馬鹿に厚い塊。

溶けたら出来上がり。

ご飯をとともに盛り付け。

内儀さんが、上野広小路の[酒悦]で元祖福神漬けを
買ってきていた。
らっきょは切れており、ピクルス。

やっぱり、牛肉がごろごろ入っているカレーというのは、
うまいもんである。

しかし、福神漬け。
カレーの添え物として、超定番であるが、
実のところ、私はあまり食べない。
どうも福神漬けの濃い味がいま一つなのである。

また、にんじんじゃがいも同様にあまりカレーに合うとは
思えないのである。
らっきょの方がよほど合うと思うのだが。

今日の[酒悦]の福神漬けであるが、
[酒悦]の考案で元祖を名乗っているのは比較的有名な話し
であろう。

同社のHPによれば、明治10年に考案され、同35年に日本郵船の
一等船室用のカレーに添えられたのが、福神漬けがカレーの
添え物となった嚆矢とのこと。(二等以下は沢庵であったよう。
やはりご飯ものにつける、香の物の扱いである。)

また前後するが、日清、日露の戦争の頃の兵士の携帯食として
使われたという。
カレーライスが国民に広まった時期と、福神漬けが広まった時期が
同じであったというのも偶然ではないのであろう。

ともあれ、日本人には日本のカレー。
いつ食べても、うまい。
週に一回以上は食べたい。

私なども、よぼよぼの爺さんになっても
好んで食べているように思える。

 

 

 

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