断腸亭料理日記2017

牡蛎飯 その2

3月5日(日)第一食

今日は昨日のつづき。

焦げくさくなり始めたので、火を止め、土鍋のふたを取って、
表面の飯粒を食べてみる。

あー。

案の定、炊けていない。

水加減が足らなかったのである。

鍋で飯を炊いたことがある方は、ご経験がおありかもしれぬが、
この時点からの軌道修正はかなり困難。

後から、不足している水分(水)を足しても、ある程度の
リカバーはできると思うが、完全な仕上がりには程遠い。

なぜか。

米は熱湯の中で煮立てられて柔らかく、食べられる状態になる。
本来であれば、この状態をもう一度作らなければならない。
(この状態をアルファ化、というのであったか。)

つまり、もう一度全体が熱湯に浸っている状態にしなければ
ならないのだが、むろんそうすると、今度は水分が多すぎる。
つまり、おかゆになってしまう。

本当に、ご飯を炊くというのは、ぴったりの
水加減の上に成り立っていることが、今さらながら思い知らされる。
いくつかあるパラメータの一つを変えただけでこうなってしまう。
まったく、難しいことをしているのである。

やはり、人のレシピなど信用せずに、自分のやりかたに
徹するべきであった。
つまり、煮汁で浸水する。

ぼやいても始まらぬ。

せっかくの牡蠣飯。
なんとか食べたい、ではないか。

水を加え再度、ごく弱火で調整に入る。

なん回か、水を足して、火をつけて、止めて、
蒸らして、を繰り返し、、。

悪戦苦闘すること、30分以上。

なんとか食べられるそうなところまでたどり着いた。

やはり、そうとう水分が足らなかった、のである。

なに事も経験ではある。

先に浸水したものを、水加減する場合は、どのくらいが
適当であるかはわからぬが、かなり多めの水加減にしなければ
ならないということである。

しかし、そもそも先に水で浸水させる意図というのか、
意味はどこにあるのか。

謎、で、ある。

煮汁で浸水させるとなると、牡蠣に火を入れてから、
炊き上がり、食べるまでに時間が長くかかる。

これは、あまりよろしいことではないことは確かではある。
しかし、最短で1時間程度。

この場合、水加減に酒などを足すともっとかかるが、これはしないとして。
今日などは、悪戦苦闘したので、1時間以上ゆうにかかっている。
許容範囲であろう。

ともあれ。

牡蠣ものせて、蒸らし。

炊きあがり。

そこそこよい状態になっている部分もあるが、
やっぱり、ムラがある。
ちょっとおかゆっぽいところ、芯があるところ、、
まあ、致し方ない。

比較的よさそうなところをよそって、牡蠣ものせる。

もみ海苔も。

京都の漬物も出す。

風邪を引いているので、ビールはなし。

食べる。

牡蠣から。

ん!。

これは、これは。

なにしろプリプリ。

大粒もよろしい。
牡蠣は薄味であるが、これもよい。

なにがよかったのか。
煮たのが、短時間ということ以外、あとは置いておいただけ
なのだが、、、。

とにもかくにも、不幸中の幸いである。

ご飯の方。

食感は置いておいたとして、味の加減の方。

薄口しょうゆなので色は薄いが、ご飯だけ食べると、
意外に塩味は強い。
炊いている途中、つまんだ時にはちょっと危ぶんだのだが
牡蠣と一緒に食べるとちょうどよい。

味付けとしては、このくらいが適当ということであろう。

さてもさても、一体なんだったのであろうか、
水加減が足らなかったのは。

一般的なセオリーとしては煮汁で水加減をする。
やはり、先人が積み重ねてセオリーになっているのはそれなりの
理由があったということである。

先に水で浸水をして後から別に煮汁で炊く場合は通常以上の
水加減が必要であることはわかった。
ではなぜであろうか。
メカニズムは科学的にわかっているのであろうか。

また、電気釜で炊いていたらどうだったのであろうか。
やはり、水分が足らない、芯のある状態で炊き上がっていたのか。
うまく炊けたのか。疑問はどうもたくさん出てくる。

ともあれ。
疑問を追求するよりも、煮汁で水加減をすればすべて解決することは
間違いない。
まあ、先人のセオリーに戻ろう。

 

 

 

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