断腸亭料理日記2017

まぐろあら煮

11月25日(土)夕

さて、土曜日。

午後、御徒町方面へ自転車で出る。
帰り道、吉池に寄って魚を見る。

特になにかあてがあったわけではない。
自転車できたので、裏側の入り口から。

吉池の裏口側入ったところには、まぐろだけを売っている
コーナーがある。
以前は吉池の中に入っている、テナントのような、
一応のところ別の店のように見えた。
数年前に改築、新装開店しても同じようなところに
やはり今もまぐろだけの売り場がある。
今もレジは別なので、やはりテナントなのか。

ここで目についたのは、あら。
ほぼ血合いだけのようにみえる。
これがパックにぱんぱんに詰められて、1パック190円。

まぐろのあらなどこんな値段である。
そして、買う人もごくわずかなのではなかろうか。
猫の餌にもならないか。

しかし、こんなものが、しょうゆで煮ると、うまい、のである。

その脇に目玉。もちろんまぐろの。だが、これはパス。
目玉が好きな人もいるが、ちょっと私には生ぐささが強くて
食べられない。

そしてその隣、ほほ肉、287円。
こちらは塩焼き用、などと書いてある。

ほほ肉もあらの中に入ると思うが、もう既にうまいというのが
認知されて、少し高く売られている、というわけであろう。

これも一緒に煮てしまおうか。

190円と、287円を購入。

帰宅。

こんな感じ。

あら、というのは魚やで、主に刺身にした残り、であろう。
従って、店舗で刺身を作っていないようなスーパーでは
売っていない。

まぐろに限らず、刺身にするくらいの魚なので
あらも、大概は、味がよい。
養殖ものでも鰤(ぶり)だったり、縞鯵(しまあじ)、
吉池では、平目などがあることもある。
脂があるものならば塩焼きもうまい。
そこまでなければ、塩だけで潮汁。
鯛なら豪勢な一椀になろう。
また、味噌を入れて味噌汁にしてもよい。

ただ、汁物あと魚そのものはたくさん食べられないので
私は最近はあまりしない。

これをどうするかというと、霜降りにしやすいように、
一口に切る。

まぐろの血合いなので、まな板から流しから
もう血だらけ。

今日買ったものは、やはり開けてみても8割方、血合い。
腹骨のまわりなどが入っていたが、これは1枚だけ。
腹骨はトロを切り離した後なので、脂たっぷり。

ほほ肉も同じように一口に切っておく。

先日の鰈の煮つけのように、霜降りにし、水洗い、
そして、短時間煮、に、する。

今、私はすべての煮魚は、7〜8分の短時間煮にしているが、
以前はやはり、しょうゆの色が身に染み込むくらい
20分、30分煮ていた。
まぐろのあらもそういう煮方をしていたわけである。

シーチキンなどを思い浮かべていただければおわかりになろうが、
鰹、まぐろは少し長い時間煮ると、硬くなりかつ、すぐにぱさぱさになる。
佃煮のような甘辛の濃い味にしてしまうのであれば、
まだこれでもよいのだが、それでも血合いの部分は、
ぱさぱさの上に血の味が強くイマイチ。
まあ、それでも食べていたのだが、これが短時間煮で
劇的に変わったのである。

大量のあらなので、薬缶に二回、熱湯を沸かし、
霜降りをし、水洗い。

大きな鍋に入れる。

煮るのは鰈とまったく同じ要領。
しょうゆと酒、少しの水、ひたひたよりも多少低いくらい。
やっぱりしょうゆ味は濃く。
ひたひたよりも低い水位でも、かなりの量のしょうゆを使う。

煮立てて、

アルミホイルで落しぶた。
中火に近い弱火で煮る。

落としぶたをすると、ひたひたよりも少ない煮汁でも
煮汁に浸っていない部分にも煮え立ったくると
煮汁がある程度はかかるのである。
火加減をちょっと強めにしたのは量が多いため。

タイマーで計って、7分。

煮えた。

盛り付け。

ビールを開けて、食べる。

色の濃いものが、血合い、で、ある。
見た目ではわからなかろうが、これが驚くほど、ぷりぷり。
そして味も、血生ぐささがなく、よろしい。

短時間煮の威力、おそるべし、で、ある。

ほほ肉の方も血あいなどと一緒に煮てしまうと、
血合いもうまいので、目立たないくらい。

そして、骨に接した脂のある部分。
こういうところも長く煮てしまうと、脂が抜けてしまうが、
柔らかく、うまい。

料理のしかた次第でここまで違ってくる。

やはり、貴重な漁業資源であるまぐろ、
工夫をしてあますところなく食べたいではないか。






    

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