断腸亭料理日記2018

三筋・天ぷら・みやこし

4月8日(日)夜

さて。

三筋の天ぷら[みやこし]。

夕方、TELを入れてみると、カウンターは
一杯とのこと。
まあ、よいか。

座敷で17時半からにする。

陽気がよくなってくると、皆、天ぷらが
食べたくなるのか。
また、東京で日曜日にやっている天ぷらやというのは
意外に少ないかもしれぬ。

この店にしてもそうだが、浅草というのは
基本、日曜日に営業している。
それは観光客相手、というのもあろうが、
我々もそうだが、地元のお客が家族でくる、
なんということもよくあるのである。
(ここであれば、町内会の寄り合い、なんというのも
たまに見かけるようである。)

さて。

元浅草の拙亭から徒歩で5分。
5時半到着。

さすがに一番乗り。

座敷の一番奥のお膳に座る。
瓶ビールをもらって、お通し。

いかとオクラ。

このいかはなんであろうか。
エンペラなども入っているよう。

ほぼ味が付いていないくらいだが、
うまい。

いつもの定食、5,500円也。

海老から。

広い店でもないし、まだお客は我々だけだし、
揚げ立てがすぐにくる。

これであれば、別段カウンターでなくとも
問題はない。

しかし、今、ふと疑問に思ったのだが
江戸前の天ぷらやで、揚げる順番は、
ほぼ決まっている。
海老が最初。次がいか。きすやら、魚があって、
魚の最後が、穴子。そして野菜。
ほぼこの順番でどこの店でも決まっている。

鮨やでは、推奨される順番、あるいは
おまかせの場合のにぎる順番はある程度は
決まっているが、いわゆるお好みの場合は
完全に自由で、マナー違反ともいわれないし、
野暮な頼み方、ともいわれない。
(鮨やで野暮、というのか、ルール違反は
同じねたばかり続けて頼むこと。他の客に出せなくなり
店の迷惑なのでNGであるが。)

天ぷらも完全にお好みで揚げてくれ、
というリクエストでもむろんOK。
これは天ぷらも鮨も、屋台というところから
始まっているということであると思うが、
天ぷらやでは、やはり、あまりしない。

鮨の方が、たねの種類が多いからではなかろうか。
天ぷらは、そうはいっても先に書いた、海老、いか、
魚2〜3種、穴子、野菜、そしてかき揚げ。こんなものである。

さて。

いかときす。

いかはあおりいか。

江戸前は基本、鮨やもそうだが、すみいか。
しかし、産卵期が近づくこれから初夏は、
鮨やも天ぷらやも、あおりを使う。
(すみいかは身が落ちるという。)

きた。

手前と上が白魚。

まわりが山菜。

白魚は、やはり、江戸前天ぷらの花形といわなくては
ならなかろう。
もちろん、今は江戸前、東京湾ではさすがに獲れない。
その昔、隅田川河口で獲れる白魚は、名物であったし
なにより、家康公の大好物であったので、佃の漁師たちは
毎年将軍家に届けることを恒例行事としていたし、それが
彼らの大いなる誇りであった。

鮨でも茹でたものをにぎり、今は生を軍艦で食べるが、
やはり、天ぷらの方に軍配が上がる。

東京湾、江戸前にもう白魚は戻ってこないのであろうか。
東京湾だって、だいぶきれいになったし、どうすれば
戻ってくるのであろうか。
芝海老、車海老、浅蜊、蜆、ばか貝その他、
やはり遠浅の砂地でなければ、いけないのか。

東京に江戸を取り戻すというのが、私、断腸亭の
野望なのではあるが、1.日本橋の高速を撤去する、
2.江戸城天守閣を再建する、、、以上に、隅田川に
白魚を呼び戻すというのは、よい夢である。

ともあれ。

山菜は左がふきのとうで、右がたらの芽。
穴子。

もちろん、江戸前ではないと思うが、
江戸前天ぷらには絶対に欠かせない。

野菜天。

椎茸、小玉ねぎ、アスパラ。

どれも、格別にうまい。

最後は、天丼。

小柱かき揚げ。

むろん、小柱はばか貝の貝柱。

これは、今でも木更津、富津あたりであろうか、
東京湾でも獲れる。

味噌汁は、蜆。

ちょっと古漬けの漬物がうまい。

ご馳走様でした。

今日もおいしかったです。




台東区三筋2-5-10 宮腰ビル1F
03-3864-7374





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