断腸亭料理日記2017

尼崎・あんかけちゃんぽん

2月14日(水)昼

13日(火)、夜。

TVを観ていたら、ちゃんぽんの話をやっていた。
ちゃんぽんといえば、長崎が本場。しかし、九州内はもちろん、
北海道の網走、栃木、滋賀、兵庫の尼崎、鳥取、愛媛八幡浜
などなど、全国各地にご当地ちゃんぽんなるものがあるという。

尼崎!。

明日、大阪出張。
それも尼崎の一つ手前。

昼、行ってみようか。

目当ての店の駅は尼崎の一つ先、
立花というところを降りてすぐ。

朝、心持早く出て、12時ちょい前、到着。
さすが、TVの効果。
既に、5〜6人の列。

店の名前は[星屋]という。

この時刻で5〜6人はちと、どうか。
だが、ここまできて、他の選択肢は私にはない。
幸い時間的には多少の余裕がある。
待とう。

あんかけちゃんぽんというのは、既に尼崎の
名物になっているようで、この[星屋]さんは
中でも中心的なところのよう。

店の前のショーウインドー。

ちゃんぽんといえば、基本は中華料理なのであろうが、
なんだか食堂、夜は居酒屋?。
まあ、どちらにしても、きれいだが昭和な感じである。

ちゃんぽんだけでも、いろいろあるよう。
あんかけではない、ノーマルなものもある。
また、あんかけは、由来はわからぬが、
“ダル”というよう。
あんかけでも、カレー味などバリエーションもある。

寒い中、15分程度の待ちであったか、
入る。

隣のテーブルで、30代くらいとおぼしき男女。
この時刻から呑んでいる。
さすが尼崎?(よくわからぬが。)
TVの影響で私のような普段こない人間も多いようだが、
馴染みのお客もありそう。

注文はもちろん、ノーマルなあんかけちゃんぽん。
ちょい待って、きた。

なるほど。

名前の通り、具などは、ちゃんぽんのようだが、
あんかけ。

野菜はキャベツ、もやし、にんじん、きくらげなど。
いかの足なども見え、豚肉。
こんなことろか。

食べてみる。

麺は太め。

北九州、戸畑のちゃんぽんであったか、蒸し中華麺を使う、
といっていたように思うが、そんな感じ?。
意外に柔らかく、切れやすい。

スープというのか、餡?は、なかなか旨みが濃い。
気持ち、色がついているのはしょうゆなのか。

ご当地名物になるだけのことはある。

あんかけなので、もちろん温まる。
こう寒い時には、なにより。

尼崎ではあんかけにした理由を、腹にたまるから、
という。あんかけだけで、腹にたまるかどうかは
よくわからぬが、相性はよい。

だが、だんだんわからなくなってきた。

長崎の本物のちゃんぽんを、ちゃんと味わった記憶は
おそらく私はない。
長崎ちゃんぽんの定義はなにか。
太麺、野菜に加え蒲鉾など入り具沢山、
鶏ガラ+とんこつの塩味、あたり?。よくわからぬが。

東京にはちゃんぽんというものは、基本は
なかったと思われる。
いまも、ちゃんぽんを看板にしている専門店以外、
中華やの定番でもない。

そう、これ、東京でいうタンメンとどこが違うのか、で、ある。
もちろん練り物が入るだの、太麺など細かい違いはたくさんあるが、
野菜たっぷり具沢山で比較的澄んだ〜白濁の塩味スープで、
大筋では違わないような気がする。

私の通っていた中野富士見町にある都立高校のそばにあった
中華やさんには、ロースタンメンといって、
しょうゆ味だったと思うがあんかけのタンメンがあり、
高校生達の好物であった。
(このあんかけの具はタンメンといっていたが
ほぼもやしであった。30年以上前の話である。)

ちゃんぽんというのは、いつごろなのであろうか、戦後か、
なぜだか全国に広がった。
これはまあ、うまかったから、であろう。
しかし、東京には既にタンメンがあったので、
アレンジ版も含めてチャンポンという名前は定番には
ならなかった。
そういうことか?。

一説には、長崎のちゃんぽんは、九州全域にある
とんこつラーメンの源流になっている、という。
長崎ちゃんぽんは明治中期までその起源をさかのぼることができ、
ちゃんぽんもとんこつラーメンも味としては塩味であり、
この説には説得力がある。

東京などのしょうゆ味のラーメン、支那そばは明治後期から
大正あたりが起源。中華麺を使った我が国の汁麺料理として
長崎ちゃんぽんは最も古いといえるかもしれぬ。

もしかすると、我が国の今のラーメンの一方の元祖
といってもよいのではなかろうか。
なかなか深くておもしろそうである。
どなたかちゃんと調べてくれまいか。




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