断腸亭料理日記2017

自然薯でとろろ

1月28日(日)夜

日曜日、夜。

寒いので、どこかへ食べに出るのもおっくう。

冷蔵庫に自然薯が二本あるのを思い出した。

旧臘(きゅうろう)東海道の丸子宿の[丁子屋]さんから届いた
自然薯(じねんじょ)。

同時に届いた[丁子屋]さんの味噌で味噌汁にし、これで
伸ばす静岡式のとろろ汁にして、麦とろとして食べたのであった。

この自然薯がまだ冷蔵庫に残っていたのである。
これを食べてしまわねば。

今回は、しょうゆ味の東京式の味付けで食べよう。
前回同様、麦とろにもしたいので、麦飯の準備もする。

麦は30%だったので、白米210gで押し麦90g。
これで研いで、水加減をしておく。

麦とろだけではちょいとさびしい。
マグロブツでも買ってきて山かけにしよう。
せっかくの自然薯、大切に食べねば。

小島町のスーパーライフに出る。
マグロぐらいはあるであろうと、きてみた。

刺身用に切ったものはあるが、ブツはない。

ん?。
キハダマグロのブツがある。
脂もありそう。

キハダというのは、東京の人間はあまり食べない。
出回っている量も少ないと思われる。
見た目、白い。
カジキのよう。
大阪などでは、赤いマグロよりもこちらの方が
好まれると聞いたことがある。
スーパーライフは関西系なので、置いているのか?。

1パック300円ほどで安いので、2パック。

帰宅。

前回の丸子宿[丁子屋]さんレシピでは
鰹出汁の味噌汁で伸ばしたが、今回はいつもの
出汁+しょうゆ。

昨日、ピエンロー用に取った椎茸と昆布の出汁があったので
これを温め直し、鰹削り節を入れ、さらに煮だしておく。
これは、とろろに入れるので、冷やすため、極寒のベランダに
出しておく。

自然薯はひげ根をガスで炙って焼き切る。
水洗い。

皮ごとおろし金でおろす。


このおろす作業はかなりの手間。

おわかりになろうか、このネバリ。
写真でも伝わってくると思われる。
やはり自然薯、流石のもの、である。
いつも買う長芋などとは、雲泥の差。

冷やした出汁、酒、しょうゆ、全卵。

よく混ぜ合わせる。

そうとうな粘りのため、このくらい入れても、
粘りは一向にへたらない。


味見。
少し、しょうゆ。

キハダマグロのブツを皿に盛り、とろろをかける。

キハダマグロ山かけ。

普通のマグロのヤマカケに慣れているので、
キハダだとちょっと物足りないか。

とはいえ、とろろは、やっぱりうまい。

山芋をかけたので、ヤマカケ、で、よいのか。
調べてみると、ヤマカケという料理は、マグロだけでなく、
豆腐にかけたもの、というのがものの本には必ず出てくる。
私自身は豆腐のヤマカケというのは、食べたことはない。
なんだか、精進料理のようである。
考えてみると、和食ではぶりの照り焼きなんぞに
かけたりするのは定番である。
やはりこの山かけの使われ方は関東ではなく、
京料理などがルーツであろうか。

マグロブツのヤマカケというのは
東京では居酒屋だったり定食屋のメニューに昔はよくあった
という記憶がある。
私の父親なども好物であったと思う。

また、今はそんなことをいう人はあまりないが、
“精(せい)”のつく食い物という意味があったような気がする。
それで、うなぎのかば焼きなんぞにかける山かけも
うなぎやにはあった。

ともあれ。

麦飯が炊けたので、麦とろに。

これは、ちょっと柄が見えないが、
丸子宿[丁子屋]さんにもらった、名入りの飯茶碗。
やはり、しょうゆ味の方が、私の口には慣れ親しんだもの。
そして、自然薯の粘りは、こうして麦とろにしても
最高、で、ある。

とろろ飯には、麦飯。
定番であるが、やはり絶妙の相性である。
麦は口あたりがよく、するするとのどに流れていく。
自然薯のとろろと相まって、まさに堪えられぬうまさ。

しかし、とろろ飯には麦飯というのは、誰が考えた
のであろうか。
本来、麦飯は米の飯が高価で、量を増やすために
麦を入れたということがあったろう。
とろろも山のもので、米が乏しい山がちのところで
食べられていたのが、相性がよいので麦とろとして
広まったのか。

そんなところなのかもしれぬ。
ともあれ。
こうして、うまい自然薯に慣れてしまうと、
普通の長芋に戻れなくなってしまいそう。
麦飯も作れるようになったし、高価だが、やっぱり
とろろならば次も自然薯か。



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