断腸亭料理日記2018

鮎・塩焼きと飯 その2

引き続き、鮎。

鮎の塩焼きで一杯呑んで、鮎飯、で、ある。

鮎の塩焼きを食べ終わったときに、鮎飯が
炊きあがっているという状態に、時間を合わせたい。

それで、鮎飯の浸水がキーになるわけである。

水加減をしてから2時間ほど。
これで浸水は終了として、ここから鮎飯用の鮎の用意を始める。

鮎飯用はこちら。

養殖もの、三匹。

腹を割いて、はらわたを出す。

これはとっても大事。

以前の鮎飯、悪戦苦闘、試行錯誤はなにを隠そう
はらわたを出すことであった。
つまり、池波レシピ再現と勢い込んで、始めたはいいが
はらわたを出さずに白焼きの鮎を入れて炊き込んでしまった
のである。

普通の塩焼きの場合は、ご存知の通り、
一般には鮎ははらわたも食べることが多い。
鮎のはらわたは、さほど苦くはないのである。

鮎のはらわたは、うるか、などといって、
塩辛にして食べる。(私は食べたことはないが、
うるかはそこそこ苦いらしい。)

子供の頃、父親からであったか、数少ない
鮎を食べる機会に、鮎は川の苔を食べる草食だから、
はらわたが苦くないなどと教わった記憶もあった。

そんなことで、はらわたを抜かない白焼きを
炊き込んでしまったのである。

これがどうであろうか。

多少は苦みが少ない鮎のはらわたも、ご飯に混ざると、
これがとても苦くて、ご飯としては食べられないのである。
当初、私はまたなにを勘違いしたのか、養殖もの
だから苦かったのではないか、と思い込んだのである。
天然ものを苦労して入手してやってみたが、やっぱり
苦い。実際のところは、天然の方がはらわたは苦いという
説もあり、結局、その後になって、鮎飯はらわたを抜いて、
炊き込むという真相にたどり着いたのであった。
まあ、オマヌケな次第ではある。

私などは、秋刀魚なども同じように白焼きにして
秋刀魚飯をするが、これでははらわたは抜いていた。
なんたる勘違いであったことか。

きれいに洗って、白焼き。

焼けたらそのまま浸水したお釜に入れる。
(入れておいた昆布は取り出す。)

このまま、電気炊飯器のスイッチオン。

小一時間で炊きあがるが、今度はこの炊きあがりに
合わせて、塩焼きの準備。

こちらははらわたはそのまま。

胸鰭、背鰭、尾鰭など、各鰭に飾り塩。

ガスのグリルに入れ、焼く。

焼けた。
酢を用意し、皿にのせる。


ビールを開けて食べる。
どうであろうか、天然鮎、天然鮎。

ん!。

うまい。

まさに堪えられない味。
私自身、書いている通り天然鮎を食べた経験は
まったくもって、数えるほどしかないので、
経験上比較して、この味がよい方なのか、そうでもないか、
まったくわからないのだが、とにもかくにも、
これは、うまい。

川魚であるが、泥臭さなどはむろん皆無であるし
身はほろほろに柔らかく、海の魚の白身のような味わいで
なにしろ、香りがよい。
鮎は香魚(こうぎょ)ともいう所以である。

脂がのった鮎というのもあるのであろうが、経験もないので
今一つ自信はないが、これは脂ののりという意味では、
さほど強いものではない、かもしれぬが。

ペロッと二匹食べ終わる。

鮎飯も炊きあがる。


三匹を一度取り出し、頭と中骨を抜いて、
身をほぐし、混ぜ込む。

OK、海苔をまぶして、出来上がり。


おお、おお!!。

こっちもよくできた。
鮎はデリケートな味なので、薄口しょうゆなどの味付けは
控えめ。真昆布を入れた威力があったのかどうか、それは
よくわからぬが。

さて、肝心の鮎の味。
養殖と、天然の味比べ、で、ある。

あ〜、、、、。これもはっきり言えば、わからない。
炊き込んでいるので、比較対象として、適切ではない
ということもあろうが。

どちらにしても、うまいことは、間違いない。

はらわたを抜いてあるので、もちろん、苦くはないし
鮎の上品な味と香りが飯全体に広がっている。
今まで、自作してきた鮎飯のなかでは最もうまくできた
かもしれない。

なん度か作っているうちに私自身のレシピも
安定してきた、ということもあるかもしれない。

それにしても、鮎という魚は池波先生の大好物であった
というのは、やはりさもありなん。
川魚だけでなく海の魚も含めてある種別格の
珠玉の魚であり、他に比べるものがない、
孤高の存在なのではなかろうか。







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