断腸亭料理日記2018

出汁巻玉子 その2

引き続き、出汁巻玉子。

どうやって、巻くのかという話である。

手前に入れた、平らな部分を向こう側へ折り返す、
のではなく、向こう側の既に巻いてある部分を
手前に転がすのであった、ということ。

どうもおかしいと思った。
(いや、私の玉子焼きの技量はそれ以前の問題ではあるが。)

だが、よく考えてみれば、わかる話である。

例えばカレンダーを巻くとすると既に巻いてある方を
転がして巻くではないか。

巻かれる方を向こう側に折ってもなんの解決にはなっていない。
まったく、やりなれていないので、工程すら
理解していなかった。

出汁巻玉子というのはちょっとした立体パズルというのか
おもしろい作り方ではないか。

既に巻いてある部分を向こう側に置いて、
新たに巻く、シート部分を手前の部分に流し込む。
この時、既に巻いてある部分を菜箸で少し浮かせ、
この下の部分にも玉子液を行き渡らせる。

固まってきたら、つまり新たに巻くシート部分ができたら
既に巻いてあったものを手前に転がす。
この状態では手前に巻いたものがくるが、これを
奥に追いやって、手前部分に新たに油を敷く。
そして、次のシート作りのための、玉子液を流し込む。
この繰り返し。

ただ、最初だけは巻いたものがない。
今回は最初の投入は、くっついてスクランブルエッグ状になり、
シートにすらならなかったが、やはり同じように
手前側からではなく、奥側から手前側に向かって、巻く?。
最初なので、どちらでもよいのか。

ともあれ。

最後の投入。

これが量が多かった。

正しい方法、奥から手前に巻く、でやってみたら、
厚みがあったので、折れてしまった、、、。


折れた部分を向こう側の壁に押し付けて、、、

再成型。

少し固まったら、手前側に移し、手前側の側面も
固める。

このあたり一連の作業は火を外している。
水分が多いので、固まるのも時間がかかる。
つまり、あとからでも修正がある程度できるのである。

段々にそこそこの形になってきた。

いいか。

これを巻簾(まきす)で巻いて、さらに形を整える。

玉子焼きだけでは、さびしいので、味噌汁も作ろうか。
濾していない削り節が入った出汁が残っているので、
ここに少し水を足して、もう一度煮出す。

野菜室をのぞいてみると、味噌汁の実になりそうなものは
ねぎくらい。

よいか、根深汁で。

出汁を濾して、五分に切ったねぎを煮る。

煮えたら、味噌を溶いておく。
今日は、ノーマルに信州味噌。

巻簾で巻いた出汁巻を出してみる。

意外に、随分と表面はきれいになっている。
切って皿にのせる。

納豆も出すか。

納豆はいつも200回以上はかき混ぜるので、
混ぜやすい小さな器を使う。
そば猪口である。
これで200回かき混ぜる。
納豆というもの、かの北大路魯山人は有名である。
よくかき混ぜることにそうとうにこだわっていた。
実際に、よくかき混ぜると、アミノ酸が増えるというのを
ガッテンであったか、なにかでやっていた記憶がある。

全卵とねぎのみじん切り、添付の調味料を入れて
混ぜて出来上がり。

漬物は先日取り寄せた京都[田中長]の奈良漬けと
上野広小路[酒悦]の福神漬け。
ご飯は、昨夜炊いたものをレンジで温めた。

出汁巻玉子定食?。

玉子焼きのアップ。

玉子焼きにはなっているが、断面を見てみると
そもそもスクランブルを寄せ集めたので、巻けていないのが
おわかりになろう。

ただまあ、味は、関西風の出汁感たっぷりで
ちょっと茶わん蒸しのような、薄味の玉子焼きには
なっている。
玉子4個に100ccの出汁だと、こんな感じなのか。

ゆるいので、リカバーがきくという効果もあったりして。
結局、味もちゃんと巻けたものと比べて、どうなのか。
たいしてかわりがなかったりして、、、。

あんなに苦労をしても、たいして違いがない?。

まあ、だからといって、向上心を捨ててしまうのは
いけなかろう。玉子料理克服の努力は継続しよう。

それはそれとして、出汁感の強い薄味の玉子焼きというのは
朝飯のおかずとしては、よいではないか。
東京で伝統的な玉子焼きの味付けは、やはり甘めのもの
といってよいだろう。
例えば鮨やのもの、あるいは、王子の[扇屋]あたりか。
濃い味のものもTPOによってはもちろん私は好きだが、
朝であれば、さっぱりと上品に、も、よい。








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