断腸亭料理日記2018

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浅草・弁天山美家古寿司 その2

引き続き、浅草の弁天山[美家古寿司]

   

 

   

 

つまみ、一品目のもどりがつお。

脂のあるもどりがつおなので、辛子じょうゆ

皮目を炙ったものと、炙っていないものが両方。

毎度書いているが、私は自分ではスーパーはもちろん
吉池でも買わないことにしている。

鰹の刺身は、鮨やなどでプロが拵えたものには勝てぬ。
いや、勝てぬどころか、まるで違うものである。
鮮度と処理の仕方なのであろう。
プロのものはまったく、みずみずしい。

吉池でもよく見かけたので、今年はよく獲れているのか。

うまい、うまい。

焼き鯖。

〆たものを炙っている。

厚く切っているのがよい。
よい塩梅である。

まぶしてあるのは、生姜甘酢漬け、いわゆるガリの
刻んだもの。

ここの生姜の甘酢漬けは自家製。
甘すぎず、酸っぱすぎず、うまい。

つまみはこんなところで、にぎってもらう。

ビールからお茶に。

最初は白身。
親方に、なにがあるか聞いてみる。

鯛、平目、ともに昆布〆。
それからいなだ、とのこと。

いなだというのはご存知のように鰤の小さいものだが
白身に入れている。

右がいなだで、左が平目の昆布〆。

いなだは、さっぱり。
なるほど、白身。

平目は熟成された味。

この二つに限らないが、ここの親方の握るにぎりは、
実にふんわりと握られている。 そのせいか、魚が厚めに感じられる。

前にも書いたことがあるが、隣で握っている若親方の
握るものと比べるとその違いがよくわかる。

次はいか。
それから光物に入るが、小肌から。

もちろん、右がすみいか。
比較的小型。
親方もいっていたが、まだ新いかといってもよいか。
ポイントは、柔らかさ。
すみいかには独特なあまみがある。
大人のすみいかであれば、プチっと歯で噛み切ると、
あまさが口に広がるが、柔らかい新いか軽く噛んだだけで
繊細なあまみが溶けるように広がるのである。

小肌。 開いた一匹でにぎり一つを握っているが
これはさすがに、新子(しんこ)とはいわなかろう。
だが、身はまだ薄く、うまい。
毎度書いているが、小肌というのは、この皮目の
模様が実に美しいではないか。
ちょっとひねって握っているのも、また技である。

好物の光物が続ける。

テブレをしてしまった、
きすと鯵。

手前がきすで、向こうが鯵。

もう少し強く〆るところもあると思うが、
ここのきすは比較的浅めではなかろうか。
(身が半透明に見えるがそのせいか。)
鯵は、酢洗いか。

光物は全部食べてしまった。

次は、火の通ったもの。海老と鮑(あわび)。

海老はボイルしたものの甘酢漬け。
これも味は弱め。
茹でたてが出せれば、おそらくそれがベスト
なのだと思う。

鮑は、塩蒸し、蒸しあわび、で、ある。
生もよいが、滋味深い塩蒸しはまた別もの。
しかしこの塩蒸しも切り方が大きいか、存在感がある。

腹も一杯になってきた。
巻物。

毎度のことながら内儀(かみ)さんのリクエストで
おぼろを入れて、干瓢と玉子も入れてくれた。

そして、まぐろを頼まなかったせいか、
鉄火も親方が巻いてくれた。

以上。

大満足、うまかった。

お勘定は、二人でビール二本入れて、2万ちょうどくらい。
加減をしているのかいないのか。
わからぬが、十分にお安かろう。

お客の背中側の壁に、高麗屋、白鸚、幸四郎、染五郎の
先年襲名時のサイン色紙が額に入れられ貼られていた。
確か、私も視た覚えがあるが、TBSの取材でここに
親子孫三代できていた。
襲名直前だったので、それぞれ前名と襲名後の名前と
両方書けるとのことでそれぞれが両方の名前を書いた
珍しいものであった。
そこから、親方は落語家の噂へ。
ここは先代金原亭馬生師が行き付けであったのは有名で
中尾彬氏もよく訪れ、暖簾に氏の絵も描かれている。
そういえば、その馬生師の孫、ということは志ん生師の曾孫が、
小駒という名前で落語家になっていると、親方。

落語家の噂ができるのも浅草のよさであろう。

ともあれ、おいしかったです。
ご馳走様でした。

弁天山美家古寿司

台東区浅草2-1-16 03-3844-0034

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