断腸亭料理日記2018

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浅草・新仲見世・シューマイ・セキネと
「浅草」のこと2

9月2

2日(日)

さて。

ここ、ご存知であろうか。

[セキネ]。

ところの人間であれば、知らない人はいなかろう。

肉まん、シューマイの店。
持ち帰りのみで、ここでは食べられない。

新仲見世と書いたが、新仲見世と六区の通りの角というのが
正確か。

いやいや、今、六区の通りと書いてしまった。
これは今は、六区ブロードウェイというのが正式名称。

以前は六区興行街という言い方が正式であったか。

「六区通り」という名前だと、浅草演芸ホールから斜めに
伝法院通りに向かっている、途中に北野武氏行き付けだった
[捕鯨船]やらある通りになる。

今日などもそうだが、土日であれば、かなりの人出。

映画館も減って(松竹がなくなり今は完全になくなっているが。)
一時はかなり閑散としていた時期もあったが、少し前からの
東京下町ブーム、スカイツリーの開業、さらにここ数年の
外国人観光客の増加もあって、土日はとても自転車に乗ったまま
通れなくなっている。

ただ、冷静に見てみれば、以前の興行街の面影は、
やはり少ないのが本当のところであろう。

先に書いたように、映画館はすべてなくなり、
残っているのは、落語定席の浅草演芸ホール、
ストリップから色物の席になったフランス座東洋館があって、
浅草名物ロック座は健在か。ブロードウェイではないが
大衆演劇の木馬館、六区通りのお笑いライブリトルシアター、
ROXでも演劇のライブを演っているか。

、、、あれ?意外に演ってる?。

映画館がなくなっただけなのか!?。

いや、古くからの興行の街浅草を盛り上げようと、
皆必死にがんばっているといった方が正しかろう。
もちろん、私の年なので本当に盛り上がっていた戦前や
昭和30年代は知る由もないが、こんなものでは
なかったことは十分に想像できる。

ただ、このところ六区に限らぬが浅草は、観光客目当てか、
様々な飲食店の新規開店が目立っている。また、夜は早くに
街が暗くなっていたが、少し遅くまで人も出て、明かりも
ついているようにはなってきているように感じる。
まあ、どっちにしても賑わってくれるのは、地元民としては
大歓迎であることは間違いないのだが、観光客相手のお土産と
食い物やだけ、というのはやはりちと寂しい。
浅草らしい、猥雑というのか、怪しげ、というのか、
よくいえばクリエーティブであろうか。
安全・安心を目指す今の風潮からは逆行するようではあるが、
そんな懐の深さのようなものが浅草であったと思われる。

そうである。もう一つ気になるのは、浅草の北側。
言問通りを渡った、観音裏、あるいは千束通り商店街あたり。
なんだかこちらは、六区はじめ、観音様周辺の賑わいに
反比例して、よりさびれてきているようにも感じる。

浅草の南、蔵前やら寿、私の住む元浅草から小島、鳥越あたりは
カフェやら、様々先端のおもしろいショップができ、
浅草中心部とはまた違った人の流れが生まれつつある。

観音裏から千束通りは、吉原との間で、古くは銘酒や、楊弓場
という名の店が軒を連ねる私娼街、その後芸者町、料亭街
としてにぎわっていたのだが。もちろんそんな時代でもない。
ちょっと気になっているのである。

閑話休題。

[セキネ]であった。
ここの創業が戦前の昭和10年という。
まだまだ、六区が本格的ににぎわっていた頃と
いってよろしかろう。

肉まんは買ってこなかった。
シューマイ小10個入。

崎陽軒はシウマイだが、ここはシューマイと書く。

こんな包み。

包装紙を開けると、

中はこんな感じ。

この上に、大のシューマイもあるが今日は売り切れていた。
ここ、作る数を決めているのか、よく売り切れている
ことがある。

見た目はなんということもない。
ただ、食べてみるとわかるのだが、
ここのシューマイは味が濃い。

下町の味ということであろうか。
しょうゆをつけなくとも十分である。

浅草というのは、むろん街として栄えていたからであろう、
明治から大正期の早くから中華料理店も多くあった。
日本橋に今ある町中華、かの[大勝軒]のおおもと
人形町[大勝軒]は鉄筋コンクリート3階建てのモダンで、
当時としてはかなり大きな店が浅草にあったようである。

北尾トロ氏

また、当時としては中華と洋食のハイブリッドメニュー
といってよいであろう、あのソース焼きそばも
この頃の浅草で生まれたのではないかという説もある。
(おそらくこの説正しいのではなかろうかと、思っている。
銀座線稲荷町駅上がったところと同じく浅草駅地下街に
かなり年季の入った焼きそばやが二軒ある。
この二軒がどうもそんなことを想像させるのである。)

明治以降、いや江戸からか。
浅草はどちらにしても、興行、食などなどで、
最先端、流行を作ってきた街であった。
シューマイ、肉まんの[セキネ]もそんな文脈にある店と
いってよろしかろう。

だがまあ、浅草。
色々書いたが、今東京によくあるテナントビルが
街になったような、人畜無害でなんの特色もないところにだけは
なってほしくないとは思うのではある。




台東区浅草1-23-6
03-3841-5230



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
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しばらく古いものもすべて両方に置いておきます。





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