断腸亭料理日記2019

穴子にぎり鮨

2月17日(日)夜

さて。

穴子、で、ある。

いつもの吉池で、一本300円になっていた。
もちろん、開いたもの。
べら棒に安くはないが、まあまあの値段であろうか。

煮穴子、で、ある。
天ぷらというのもあるが、寒い頃にはあまり
食べたいと思わないのは、不思議である。

煮て、そのまま食べてもいいが、にぎりの鮨か。

3本購入。

内儀(かみ)さんにメッセージを入れて米を洗って
浸水してもらうように頼む。

帰宅。こんな感じ。

対馬産。
吉池で売られている穴子はほぼ、対馬産、で、ある。

穴子というのは江戸前はもちろん、以前は日本中の
沿岸で獲れたわけだが、今は江戸前も含め、従来、名物と
されていた産地も近年極端に数が減っているという。

獲れるのは、対馬。
対馬は今は国産穴子の水揚げ量No.1だそうな。
対馬というの、実際は韓国の漁場と隣り合っている。
穴子は韓国産ももちろん入ってきており、こちらは
やはりもう少し安く売られている。

江戸前を含めて沿岸の穴子が減ったのはなぜであろうか。
例えば東京湾などは一時よりはきれいになっていると
思う。羽田沖、横浜・小柴などが名前を知られていたが、
実際に漁をする人が極端に少ない羽田沖はともかく
小柴はそれなりの量があったと聞いていたが、今は流通するほどの
数が獲れていないと思われる。

岸に近い砂地に棲む穴子は全国の沿岸でとても身近な魚で
あったと思われる。煮て、あるいは焼いて、食べていた。
食文化を守るという意味もあるが、沿岸の生態系を維持あるいは、
以前に戻す努力を続けていかなければならないのではなかろうか。
夢のようなことを考えているという人もいるかもしれぬ。
だが、私などは文字通り江戸前、隅田川河口などで、元来の
芝海老や白魚が獲れるまで戻すべきであると思っているのである。

さて、煮穴子。
まずは塩をして揉み、ぬめりを取る。

これは水を替えて、徹底的にやらなくてはいけない。
ぬめりは生ぐささにつながってしまう。
触感と、においもかぎながら。

よいかな。

鍋へ。

圧力鍋で、水、酒、砂糖とほんの少しのしょうゆ。
鮨やではほぼ色のついていない煮穴子を出すところもあるが、
今日はそれを目指してみよう。

ふたをして加熱、加圧。
圧が上がって弱火で5分。
後はいつもの通り、放置調理30分。

米の浸水は1時間。カタメモードで炊飯器のスイッチを入れておく。

30分。

煮えた。
穴子はほろほろに近いほど柔らかくなっている。

煮汁はフライパンに移し、瓶に入れて冷蔵庫にストッしてあった
たれもレンジ加熱して合わせ、しょうゆ、砂糖をしこたま入れる。
火にかけて煮詰める。

炊飯器のスイッチが切れるのを待つ。
切れてから7分。
鮨酢、1合分25ccを用意。

鮨酢をまわし掛け、手早く混ぜ込む。
また、放置、7分。

OK。

穴子は本当にほろほろになっているので
握るのも気をつけなければいけなそうである。

酢飯を左掌(ひだりてのひら)ににぎり一つ分取る。
一度手に取って、量の微調整。
鮨を握る場合この微調整はとても重要である。
にぎりの大きさ、形を左右してしまう。
格好のよいにぎりにするには適切な酢飯の量にしなければ
いけない。
もちろん、勘である。
このところ、少しこの勘が働くようになってきた。

穴子が柔らかいので左手で酢飯の形を十分整える。
一つ分の穴子を手で取る。柔らかいのでほぐすという感じ。
成形した酢飯の上にのせ、そっとにぎる。

四つ。
二つは、煮詰めた甘いたれ(いわゆるツメ)。
もう二つは塩にしてみた。

出来た。

アップ。

今の東京の鮨やでは、一つの穴子のにぎりを包丁でスパッと
半分に切って、一つには甘いたれ、一つには塩をのせて
食べさせるところがある。
それを真似てみたわけである。

形は、もちろんまだまだではあるが、
味はまあまあ。穴子のにぎり鮨になっている。

成功といってよいか。

一つ、おまけ。

残った穴子と酢飯で翌朝、丼にしてみた。

酢飯は軽くレンジ加熱。穴子はアルミホイルにのせて
オーブントースター加熱。
甘いたれをまわし掛け、もみ海苔。

これもまた、うまかった。

 

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