断腸亭料理日記2019

牛ぬき〜そば

2月10日(日)夕

昨日、雪が降った。
今日も日が出たが、寒い。

内儀(かみ)さんは風邪を引いてしまった。

温かいもの。

ヌキにしよう。

先日、浅草並木の[藪蕎麦]で天ぬきを食べたが

そばつゆになにかを入れて、酒の肴にする。
これがうまい、のである。

天ぷら、鴨が、そばやでは定番であるが、
それ以外いろいろ試している。

芝居の台詞に出てくる、玉子もある。

鶏南蛮というそばもあって、鶏肉はアリ、なのだが、
ノーマルすぎておもしろくない。

豚肉もやってみたが、これはうまい。
バラのような脂が多いものがよい。

牛にしようか。

牛は東京では普通、そばに入れない。
豚も伝統的にはそばには入れないが、
最近は、肉そばというのは多少流行っている。

大阪、関西は肉といえば、伝統的に牛。
肉南蛮、肉うどんといえば、牛。
ちょっと食べ方が違うが、大阪には肉うどんの
うどんヌキという、ものがある。
名前は肉吸い

食べ方は、ご飯とともに、おつゆ。
つまり、肉の入った吸い物で、肉吸い。
大阪なのでつゆは透明。

これはこれで、うまい。

東京の濃いそばつゆに、牛肉を入れても
しょうゆの甘辛は、もちろん合う。

牛のヌキ。
牛肉そば、牛南蛮というものはないので
もはや架空のものではあるが。

出たついでに、牛肉を買う。
やはり多少脂のあるものがよろしかろう。

輸入牛ではなく、ちょいと高くはなるが和牛。
だが、細切れでよいだろう。

それから、ねぎと三つ葉。
薬味である。
ねぎだけで、なくてもよいが、あった方がちょいとよい。

それから、生そばも。3玉入り。
最近はスーパーの生そばも十分にうまい。

つゆは桃屋のものだがこれは買い置きもある。

帰宅し、作る。

まあ、作るというほどのこともないが。

ねぎを煮込み用と薬味用に切る。

煮込み用は5cm程度の二つ割か四つ割り。

三つ葉はたっぷり入れたいので、1パック2把入りのもの
1把を全部を切っておく。

桃屋のつゆ原液を鍋に入れ、水で少し割る。
温めて、味見。

かけの濃さではなく、ざるを予定しているので
つけ汁の濃さである。(ざる用のつゆなので、正確には
これ、ヌキではないのだが。)

桃屋のつゆは、市販のつゆの中では、濃い東京下町の味に
最も近いと思うのだが、温めるとそれでも少し甘く
感じるので、気持ちしょうゆを足す。

煮込み用のねぎを入れ煮込む。

ねぎが柔らかくなったら牛肉を入れる。
牛は火が通るくらいでよいだろう。

煮あがったら丼に入れ、三つ葉をたっぷり。

出来た。

寒いので、珍しく日本酒。
家では菊正一本鎗なのだが、火鉢の鉄瓶で燗をつける。

自分で燗をつけるので、もちろん、熱くもなく、ぬるくもない
適温の上燗を目指す。
くどいようだが、湯気が出るほどのアツカンはいけない。
燗酒といえば、上燗、適温である。

いや、まったく、こういう甘辛のつゆものは、
酒の肴に、実に合う。

特に辛口の菊正の燗酒には。

そして、温まる。

牛肉と三つ葉をつまんで酒を呑み終わる。

そばを茹でる。

つゆは先ほどつまんだもの、そのまま。

このそば、ちょいと粗挽きでうまい。

別段、こだわって選んだわけではない。
3種類ほど置いてあったが、これは値引きになっていたから。

うまかった。

 

 

 

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