断腸亭料理日記2019

断腸亭落語案内 その52 三遊亭金馬・小言念仏

引き続き、三代目金馬師「小言念仏」。

〜〜〜

 ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ

 鉄瓶の湯ぅ掛けてボロっ布(きれ)で拭くんだよ。
 畳の目形(めなり)に拭くんだよ。
 
 ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ

 なんだってグルグル回ってんだ? そんなとこで。
 なに?
 おつけの実、なに入れましょう?。
 今頃んなって、そんなこと言ってやがんのかな。
 夕べのうち、考えときゃよさそうなもんじゃねーか。
 じれってぇな、張り倒すよ!。
 
 ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ

 芋入れましょう?。
 芋なんか入れたって、急に柔らかになんかなりゃしねーよ。
 胸ばかり焼けて、屁ばかり出るじゃねーか。

 ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ

 表ぇ、泥鰌やが通るから呼べ!。あいつ入れるから。

 ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ

 泥鰌や入れるんじゃねえ!。
 泥鰌、入れるんだよ!。

 ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ

 早く呼ばねえと、泥鰌や行っちまうぞ。

 ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ

 そんな小せえ声じゃ聞こえやしないよ。

 ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ

 もっと大きな声出して呼べ、ってんだ!。

 ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ

 ちっ、泥鰌やが行っちまうってんだよ!。

 ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ

 泥鰌やぁ〜〜〜〜〜〜〜〜!

 ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ

 泥鰌やぁ〜〜〜〜〜〜〜〜!

 ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ
 (泥鰌やの方向へ)
 なむあみだ〜〜〜〜〜〜〜!

 あべこべんなっちゃうじゃないか。

 ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ

 家だよ、家だよ。
 おつけん中に入れるんだ。細(こま)けえのがいいんだ。柳っ葉、って。
 いくらだい?
 高(たけ)ぇなー。二銭おまけ。

 ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ

 ほ〜〜ら、まけた。
 惜しいことした。もう一銭値切っときゃよかった。

 ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ

 ざるなんか持ってきたってだめだ。鍋持ってこなきゃ。
 鍋持ってきて、ふたしといて、隙間から酒、注ぎ込んで、
 泥鰌は、うまくなるんだ。

 ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ

 酒、注ぎ込んだら苦しがって暴れてんだろ。
 平気で泳いでる?。
 酒が水っぽいんだよ。

 ふた押さえてて火ぃ掛けろ。
 ギュッと押さえておかねえと、苦しいから暴れだすぞ!。

 ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ

 ゴトゴト言ってる?。
 苦しがってんだ。おもしろいな。

 ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ

 静かんなったぁ?
 ふたぁ開けてみろよ。
 腹ぁ出してみんな死んじゃった?。
 ざまぁ〜見やがれ。

 ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ

 なんにもなりません。

 小言念仏というお噺でございました。


これでお仕舞。
下げらしい下げは、まあ、ない。

抱腹絶倒とまでいうのは、言いすぎだが、それでも全編
かなりおかしい。

かなり珍しい噺であろう。
ほぼ小噺。
枕部分は書かなかったが、入れても全体で12分程度。

ただ、それでもこれだけの満足感を与えるのは、金馬師の
凄いところであろう。これもやはり、三代目金馬師以外では
ここまでの名作にはなっていなかろう。

泥鰌やを呼び込むのに「なむあみだ〜〜〜!」と、叫ぶところが
最大の笑い。

この噺、古い速記はないようで、成り立ちは明確にはわからない。
だがやはり、小噺から、明治から大正あたりか、発展したのであろう。

過去、この人以外に演った人はあまり聞かない。
録音もないようである。

圧倒的で有無を言わさぬ、三代目金馬師の説得力があって
成立している噺のように思う。

小三治師が演っている。台詞のアレンジは少ないが、小三治師の
ふわっとしたリズム。私には、もう一つのように思う。
談志家元も、完コピ以外では演っていなかった。

やはり、不世出。三代目金馬師の後には誰もいなかろう。

次は「居酒屋」。

 

つづく

 

 

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