断腸亭料理日記2020

稲荷町・中国意境菜・白燕 その1

12月12日(土)第二食

さて。

ご近所、中華の[白燕]

先週、ランチにもきて、黒酢酢豚を食べていた。

散々な一年であったが、こんなご近所で
この店に出会えたのはよいニュースの一つで
あったろう。

この店自身はこんな年にオープンしたのは
たいへんなこと、であったろう。
平時であれば、すぐに予約も取れないほどに
なっていたのではなかろうか。

住所は私の住む元浅草だが、銀座線稲荷町駅至近
なので、稲荷町の[白燕]というべきである。
(ちなみにここの旧町名は南稲荷町で稲荷町といって
なんら問題はなかろう。もちろん駅名は当時のこの
町名であろう。銀座線の浅草・上野間は昭和2年開通で
押しも押されぬ日本初の地下鉄である。)

9月以来、ちょっと開いてしまった。

昨日TELを入れて、今日。

5:30。もちろん歩いて店まで。

入り、名乗って、テーブルへ。

先客は奥に一組。
(この後、我々以外に二組入り、全部で四組。
ここはこれで満席。密にはならない。
最近は前を通りかかっても本日満席の看板を
よく見るようになった。よいことである。)

上海蟹、の季節で、ある。

お姐さんは推してくる。
上海蟹のコースもあるようだが、ノーマルな
おまかせコース一人4500円也、を頼んでいた。

単品でも頼める、という。

私、上海蟹にはさほどの思い入れはない。
ランチでも書いたが、酔っぱらい蟹と言っている、
生の上海蟹の紹興酒漬けは、生ぐさくてだめである。

そもそも日本のものも、蟹自体、世の中の皆さん
ほどには、好物ではない。
もちろん、嫌いではないが。

ともあれ、内儀(かみ)さんが食べるので
いくつかある上海蟹料理のうち、あんかけ1500円也、
を一品追加でもらうことにする。

いつもの通り、まずは青島のプレミアム。

そして、一品目。これもいつもの通り、看板の
リンゴアメ。

中はちょっとスモーク香のあるフォアグラに
外はほんのり甘酸っぱいゼリー状の皮。
もちろん、うまい。
[白燕]ディナー開始の、にくい演出。

前菜。

上が、ここお得意のよだれ鶏。
鶏とピーナッツ、白胡麻、小ねぎ。

やっぱり、このたれが秀逸。
もちろん、ただの麻辣系の甘酢ではない。
得も言われぬ、後を引く香りとうまみ。
なにが入っているのか、私などには分析もできぬ。
ハイレベルである。

最初のリンゴアメとこのよだれ鶏のたれ、
もうなん度もここで食べているが、改めて思う。
この2品だけでもここに食べにくる甲斐がある
というものである。

左が揚げた肉団子。
右が里芋。全部潰していないマッシュポテトのよう。
なんだか素朴なものだが、こういうものが
中華の前菜にあるのであろう。

また、毎度書いているが、ここの器のセンス、
で、ある。
この前菜のセットは、下の黒いまるい台座が回る
演出。
三つの小鉢の取り合わせもバランスよく考えられている。
よだれ鶏が、藍の細かい和風にも見える文様。
肉団子が濃い緑から茶の微妙なグラデーション。
里芋が白磁なのか、白で網目に透かしてあるもの。

次は、点心。

点心は、水餃子。
先ほどのよだれ鶏のたれで。

ニラが入っている。
ちょっと日本の焼餃子の餡のよう。
あえて、であろうが。

スープ。

いつもきまりのようだが、ここのスープは薬膳。

今日は、骨付きの鶏をベースに胡桃(くるみ)、
飛子など。
やはりなにか、身体にいいらしい。
胡桃は柔らかく煮込まれている。
この食感が珍しい。

いつもながら、滋味深く、いかにも効きそうな
味わい。

青島ビール二本のあと、紹興酒。

きた。
これが上海蟹のあんかけ。

上海蟹というのは、基本、味噌がうまい蟹、
なのであろう。これも味噌を溶いて、身とともに
スープと合わせてあるよう。
小ねぎとえのき。
味付け自体は、さっぱり薄味。
もちろん、うまい。

 

つづく

 

白燕

台東区元浅草2−7−10 オルタンシアIV 2F

 

 

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