断腸亭料理日記2020

箱根塔ノ沢・福住楼 その1

3月17日(火)〜

さて、箱根、である。
こんな時期だから。

車で行けば、リスクも低かろう。

泊まるのは、長年お世話になってきた、
塔ノ沢温泉の[福住楼]

国登録有形文化財であり、2017年には 「日本の20世紀遺産」
(12)箱根の大規模木造宿泊施設群[日本古来の伝統構法を生かした
温泉旅館建築と景観]の構成要素として指定されている。

宮ノ下の[富士屋ホテル]、同じく塔ノ沢の[環翠楼]、
あるいはここを走る「国道一号」、「箱根登山鉄道」なども
含まれ、文字通り20世紀の箱根の温泉宿文化全体として
指定されているわけである。

やはり箱根塔ノ沢温泉の老舗旅館[福住楼]はかけがえのない
私達日本人の財産であり、未来永劫、受け継ぎ、守って
いかなければならない。
そのためには、私達は忘れずに行かねば。
こんな時期だから、なおさら。

予約のTELを入れると、やはり今、宿泊客は激減しているようで、
いつも以上の心からの感謝の言葉を発せられていた。

ウイークデーなので首都高は多少渋滞していたが、
昼すぎに出て、15時半には到着した。

部屋は、早川側で風呂に近いところとお願いしてあったが、
梅の一という、風呂に最も近いところであった。

まさかの、貸し切り?、
ではなかったが、他のお客は1〜2組の外国人だけ、
のようであった。

さて、いつも通り、二泊、で、ある。
やはり、いい旅館は、一泊ではいけない。
特に、温泉旅館。
昼間、部屋にいてよいのである。
この贅沢、で、ある。

梅の一はこんな感じ。

ふり返ってみたら、この部屋、やはり2010年に泊まっていた

額はこの部屋が気に入っていたという、漫談家の大辻司郎氏。

この方、ご存知であろうか。
亡くなったのが昭和27年なので、リアルタイムではもちろん
知らないが、「あのですね、ぼくですね。」という氏のフレーズは
私も映像として流れていたのを覚えている。
戦前、浅草で活動弁士として活躍、トーキー後は、漫談家として活躍。
浅草六区興行街黄金時代を彩った一人といってよいのであろう。

隣の[環翠楼]は皇女和宮、天璋院篤姫などを筆頭に
伊藤博文、などなど我が国のトップクラスの人々の宿。

[福住楼]は作家、芸人など文化芸能関係の人々。
やはり、私はこちらの方が、肌に合う。

欄間などは細かい彫刻などはなく、他の部屋に比べれば
比較的あっさりしている。

次の間の茶箪笥。

なかなか味があるではないか。
いつ頃のものであろうか。
明治?、間違いなく、戦前より古かろう。

飯前に、風呂へ行く。
やはり、人はいない。
貸し切り状態、である。

夕飯。

左側が火が付く焜炉(こんろ)。
中央先付けと、右、お造り。

先付け。

開化した桜の花が置かれ、桜づくし、で、ある。

左手前、春子(小さな鯛)の鮨。
酢飯との間に、桜餅に使われる桜の葉の塩漬けが
はさんである。これは乙。

その上中央が、海老、空豆。
その左、あん肝、上がさざえのつぼ焼き。
右下、鴨肉、粒マスタード添え。
桜の花の下が、紅白の団子。
中で、あん肝が、特にうまい。

お造り。

左下から、いか。
細かい包丁目が入っている。
身が厚く、あまみが濃い。
あおりいか、であろうか。

上、海老。
その上の器の中は、生しらす、しょうが添え。
これは、かなり新鮮。
下が、まぐろ中トロ、右、鯛か。

焜炉と先付けの間の小鉢。

これは胡麻豆腐なのだが、桜色がつけられている。
うまい。
蟹肉のせ。

左の焜炉の上。

牛肉と野菜。バターで蒸し焼きに。
牛は、足柄牛。

入れ替わり、焼き物とサラダ。

これも季節。
焼いた、たけのこ。みりんとしょうゆか、薄味がついている。
うまい。
桜型のピンク色のものは、生麩。
左下に子持ち昆布。

サラダはちょっとわかりずらいが、ほたるいか。
ごまドレッシング。

 

つづく

 


福住楼

 

 

 

 

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