断腸亭料理日記2020

浅草・とんかつ・とう山 その1

10月8日(木)第一食〜

さて、とんかつ、で、ある。

最近、近所にできた[嬉嬉豚 とんかつ 『君に、揚げる。』(極)]

へ2回行って、とんかつの評価ポイントって、なんだろう
と改めて考えてみた。
それで、思い出したのが、山本益博氏主宰の「とんかつ会議」
であった。

以前に、これを見て、なん軒か行ってみたりした。

この「とんかつ会議」には数字での評価ポイントが
明示されていた。

今、あのとんかつ会議のページは既になく、出版(2017年)、
TV化までされていた。

別段、私は、とんかつマニアではない。
もちろん、好きだが、東京のとんかつや全部を
フォローしたいとまでは思っていない。

私の住む、上野浅草界隈は、とんかつやには
まったく不自由しないからである。

[ぽん多本家]

[すぎ田]

[とん八亭]

[井泉本店]

これだけ名店があれば、十分である。

だがまあ、本になっていたことも知らなかったのは、やはり、
不勉強の誹りは免れなかろう。

さっそく、取り寄せて読んでみた。

すると、浅草に、行ったことのないとんかつやが
上記以外に4軒も。それも、殿堂入りが1軒。

これは偏っているともいえるかもしれぬ。
益博先生は、浅草出身。贔屓目がないとはいえまい。
浅草といえば、とんかつ、と公言されている。
とんかつやが浅草に多いことは確かであるが。

だが、ちょっど余談めくが、彼らの選択眼と評価は、
そこいらの芸能人グルメ、またはそれを担ぐ、グルメ系
TVなぞとはまったく異なっている。
信用してよいと思っている。

まあ、皆さんお気付きであろうが、芸能人グルメの多く、
全部とは言わないが、ビジネスグルメ。いわばショーバイである。
宣伝をしたい店、あるいはその取り巻きの食プロデューサーの
ような人々、ねたが欲しいグルメタレント、グルメ出版、TV、
それぞれの利害が一致している。
今、彼らが大手を振って歩いているが、気を付けなければいけない
ことは、いうまでもない。あくまでショーとしてみるべきで
あろう。

ともあれ「とんかつ会議」が、書いている内容は、
ショーバイ比率はそうとうに引くかろう。
ゼロではなかろうが、負の情報も書いている。
こういう評者が今、本当に、少なくなっている。

もちろん、最終的には、各々がうまいと思うか、その店が
居心地がよいか、また来たいか、が基準である。
誰かさんの評価ではない。

とにもかくにも、浅草に住む者として、4軒、
一通りまわってみなければなるまい。

まずは、表題の[とお山]。
かつカレーとノーマルなかつ、二項目で掲載されている。

4軒の内、最も、目立つところにある。
東武浅草の北ガード脇。
あの町中華[ぼたん]の前。駅前といってよい立地。

老舗ではない。2015年開店。
むろん、できたのも知っていた。
駅前で通りに面しており、外からも店内がよく見える。
それが、むしろ、入りにくくしていたといってよい。

最初は、8日木曜の昼。
11時開店で、一番乗り。

カウンターと小あがり。明るく広い。
一番奥に掛ける。

ぽつぽつとお客が入る。
ウイークデーなので皆、サラリーマン。

益博先生お勧めの、ヒレかつカレー、1200円也を、頼む。

揚げているのであろう、多少待つ。
きた。

小鉢と豚汁が付く。

アップ。

そもそも、とんかつやにかつカレーがあるのが珍しかろう。
ロースもあるが、先生のお勧め通りにヒレ。

豚汁は、大根、にんじん。濃厚でうまい。
益博先生は、いらない、もしくは薄味のものがよいと
書かれているが、うまけりゃいいじゃん?!は乱暴か。

キャベツは細く、かなりきれい。十分である。

そして、このカレー、確かにちょっと違う。
カレーとしてうまい。

欧風だがクミンかクローブ、あるいは両方?、
スパイスが立っている。
この頭一つ出た個性のあるカレーには、ちょっと抑えたヒレの方が
合っているのは確かであろう。

これはカレーファーストか、かつファーストか、という問題である。
普通のかつカレーは、基本ノーマルな欧風カレー。
カツを前に出す。そして、ロース。私は、こちらを推す。

ただ、一線を画したかつカレーであるのは、間違いない。
これはこれで、別のものとして、よい。

そして、10日(土)やはり昼。
ノーマルなカツも食べてからと思ってきた。

 

つづく

 

とんかつ・とう山

台東区花川戸1-6-8 廣野ビル1F
03-5806-2929

 

 

 

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