断腸亭料理日記2020

湯島・鳥やき・川中島

9月28日(月)第一食

昼、NHKの「うまいッ!」で「東京しゃも」をやっていた。

毎度書いているように、江戸・東京における軍鶏、というと、
私は、池波作品「鬼平犯科帳」に登場する、 本所二つ目の[五鉄]の
軍鶏鍋を思い出す。
もちろん[五鉄]は池波先生の創作であるが、軍鶏鍋や、
軍鶏や、鳥や、というのは、江戸、あるいは、明治、大正あたりまで
東京下町にはかなりの数あったと思われる。
番組に出てきたのは、かの人形町[玉ひで]であった。

軍鶏というのは、安土桃山から江戸初期であろう、
シャム(タイ)から輸入され、それが語源ともいうよう。
驚いた。これ知らなった。
もちろん、軍鶏は闘鶏用であったが、その後、食べられる
ようになっていったとのこと。

基本獣肉は食べなかった当時、軍鶏は庶民のご馳走として
人気になっていったと考えてよいだろう。

「東京しゃも」というのは、今、地理的表示(GI)保護制度で
登録されているという。

気性が荒く育てにくい軍鶏は、闘鶏が廃れると育てられなく
なっていった。
これを戦後、昭和59年、東京都の試験場が10年以上かけて、
闘争心を減らし育てやすく改良し、 東京しゃもというのが、
生まれたとのこと

今「東京しゃも」というのは、生産組合があり、あきる野市などの

数軒の養鶏場が生産しているよう。

かの[玉ひで]は使っているが、この数でなかなかのレアもの。

調べていると、今は使っていないようだが、
湯島の[川中島]というところが出てきた。

ここ以前に行ったことがあった。

そう有名なところではないと思うが、うまかった
記憶はある。
大正13年創業で意外の老舗であった。

ランチもやっているようで、行ってみようか。

自転車で出る。

湯島の坂下の通り。
いつも思うのだが、この通り、名前があるのであろうか。
不忍池から昌平橋まで、天神下、明神下を通る、あそこ。

この通り沿いで千代田線湯島駅の6番出口を出たところ。

一生懸命漕いで、1時すぎにつく。

持ち帰りの弁当などもやっているよう。
鳥やき、きじ焼き、竜田揚げ、などなと種類も多い。

ここは、やっぱり、大定番の親子であろう。

入る。

小さな店で下は調理場とカウンター。
二階にも席があるよう。

カウンターに掛け、頼む。

中はお二人。
眼鏡のご主人らしき方と、炭火で焼いている、
息子さんであろうかよく似た若めの方。

今、鶏は、秋田比内地鶏、青森産シャモロック、などを
使っているよう。

持ち帰りを頼みにくる客も多い。

ややあって、出来た。

塗りの立派などんぶり。

食べる。

おつゆは、鶏のスープ。
塩味で濃厚。

流石、鶏や。

私は、苦戦、敗戦を続けているが、プロ、
やはり、美しく盛り付けるもの。

ふわとろ。

ん!。

甘め。

この甘さ、よい。

今の標準より、わかるほど甘いが、これ、昔の味
ではなかろうか。
王子の[扇屋]あたりの甘めの玉子焼き。

鶏は、一度焼いたもののよう。

炭焼きなので風味がある。

焼き鳥やの親子には、ままある。

うまかった。
ご馳走様でした。

勘定をして出る。

大正13年創業。

場所はちょっと外れ、ではあるが、下谷花柳界がまだ
元気であった頃であろう。

甘めは、そんな味であったのかもしれぬ。

この界隈、鶏や、焼き鳥や、軍鶏やが、多いと
思うのだが、これもその名残、なのであろうか。

とんかつも、上野発祥などといわれ名物ではあるが、
この鶏やとの関係もちょっと興味深い。
かの[井泉本店]は下谷花柳界のまさにただ中。

下谷花柳界、ちゃんと調べてみようかしら。

 


川中島

〒110-0005
台東区上野1-6-4

 

 

 

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