断腸亭料理日記2021

上野・そば・翁庵

3822号

3月24日(水)第一食

天気もよく、暖かい。
桜も咲いている。

だがまあ、上野の山だったり、隅田公園だったり、
人の集まるところにはいけなかろう。

そばやで一杯。

13時、まあ、こんな時刻。

どこがよろしかろう。
やはり、どこでもよい、というわけにもいくまい。

ご近所のサラリーマンがお昼にくるようなところは
やめた方がよいだろう。
場違いである。

上野[翁庵]。
あそこであれば、いろんな人がくるので
まあ許してもらえるか。

もうコートはなし。
自転車で出掛ける。

上野警察前の信号。
歩道のフェンスの前にとめる。

もうそろそろお昼のお客は引けているか。

店に入ってすぐ右側の帳場で、
お酒一合とねぎせいろ。
冷(ひや)でいいですか?。と、聞かれた。
あ、はい。
ここで聞くんだ。

もう、冷でよい陽気であろう。

一番奥のテーブルがあいている。
あそこがよいだろう。

TVと出入口の方向を向いて掛ける。
TVは高校野球だが、遠くて音は聞こえない。

食券を出す。
お姐さんが、おそばも一緒でいいですか?。
はい。

ねぎせいろであれば、十分酒が呑める。

すぐにきた。

きんぴらごぼう。
ここのお通しは、こんなのが多い。
この気安さがよい。

一杯、二杯、呑む。

ねぎせいろもきた。

そばつゆに漬かった小さなかき揚げ。
かき揚げの中は、ねぎといか。

これがここ看板のねぎせいろ。
このタイプのそばは、東京でもここと、
室町[砂場] 以外では見たことがない。

天ぬき、鴨ぬきというのがあって、酒を呑む
のであるが、それがこれだけでできてしまう。
つゆは下町らしくやはり濃いめ。

つゆに漬かったかき揚げ一本呑んで
そばを手繰る。

ここのそば、写真でお分かりになろう。
緑色。

元来、新そばの頃の色だと思うのだが、
ここは季節を問わずこの色。

色を付けている、かもしれない。
緑色にするのは、藪系の特徴であった、
というのも聞いたことがある。
確かに、藪本家格の神田の[やぶそば]

は今も比較的この傾向が強いように見える。

ここ、上野[翁庵]は、名前通り神楽坂[翁庵]
分かれ、と、いう。
今の神楽坂[翁庵]のそばの色はノーマル。
まあ、分かれたのは明治32年と遥か昔ではあるが。

ともあれ。

上野[翁庵]、今私はもっとも居心地がよい
そばやである。

歴史から言えば、老舗といってなんら問題がなかろうか、
肩ひじ張ったそんな敷居の高さはまったくない。
そばも然り。
自然体。
ちょうどよい。

 

台東区東上野3-39-8
03-3831-2660

 

 

※お願い
メッセージ、コメントはFacebook へ節度を持ってお願いいたします。
匿名でのメールはお断りいたします。
また、プロフィール非公開の場合、簡単な自己紹介をお願いいたしております。
匿名はお控えください。

 

断腸亭料理日記トップ | 2004リスト1 | 2004リスト2 | 2004リスト3 | 2004リスト4 |2004 リスト5|

2004 リスト6 |2004 リスト7 | 2004 リスト8 | 2004 リスト9 |2004 リスト10 |

2004 リスト11 | 2004 リスト12 |2005 リスト13 |2005 リスト14 | 2005 リスト15

2005 リスト16 | 2005 リスト17 |2005 リスト18 | 2005 リスト19 | 2005 リスト20 |

2005 リスト21 | 2006 1月 | 2006 2月| 2006 3月 | 2006 4月| 2006 5月| 2006 6月

2006 7月 | 2006 8月 | 2006 9月 | 2006 10月 | 2006 11月 | 2006 12月

2007 1月 | 2007 2月 | 2007 3月 | 2007 4月 | 2007 5月 | 2007 6月 | 2007 7月 |

2007 8月 | 2007 9月 | 2007 10月 | 2007 11月 | 2007 12月 | 2008 1月 | 2008 2月

2008 3月 | 2008 4月 | 2008 5月 | 2008 6月 | 2008 7月 | 2008 8月 | 2008 9月

2008 10月 | 2008 11月 | 2008 12月 | 2009 1月 | 2009 2月 | 2009 3月 | 2009 4月 |

2009 5月 | 2009 6月 | 2009 7月 | 2009 8月 | 2009 9月 | 2009 10月 | 2009 11月 | 2009 12月 |

2010 1月 | 2010 2月 | 2010 3月 | 2010 4月 | 2010 5月 | 2010 6月 | 2010 7月 |

2010 8月 | 2010 9月 | 2010 10月 | 2010 11月 | 2011 12月 | 2011 1月 | 2011 2月 |

2011 3月 | 2011 4月 | 2011 5月 | 2011 6月 | 2011 7月 | 2011 8月 | 2011 9月 |

2011 10月 | 2011 11月 | 2011 12月 | 2012 1月 | 2012 2月 | 2012 3月 | 2012 4月 |

2012 5月 | 2012 6月 | 2012 7月 | 2012 8月 | 2012 9月 | 2012 10月 | 2012 11月 |

2012 12月 | 2013 1月 | 2013 2月 | 2013 3月 | 2013 4月 | 2013 5月 | 2013 6月 |

2013 7月 | 2013 8月 | 2013 9月 | 2013 10月 | 2013 11月 | 2013 12月 | 2014 1月

2014 2月 | 2014 3月| 2014 4月| 2014 5月| 2014 6月| 2014 7月 | 2014 8月 | 2014 9月 |

2014 10月 | 2014 11月 | 2014 12月 | 2015 1月 |2015 2月 | 2015 3月 | 2015 4月 |

2015 5月 | 2015 6月 | 2015 7月 | 2015 8月 | 2015 9月 | 2015 10月 | 2015 11月 |

2015 12月 | 2016 1月 | 2016 2月 | 2016 3月 | 2016 4月 | 2016 5月 | 2016 6月 |

2016 7月 | 2016 8月 | 2016 9月 | 2016 10月 | 2016 11月 | 2016 12月 | 2017 1月 |

2017 2月 | 2017 3月 | 2017 4月 | 2017 5月 | 2017 6月 | 2017 7月 | 2017 8月 | 2017 9月 |

2017 10月 | 2017 11月 | 2017 12月 | 2018 1月|2018 2月| 2018 3月|2018 4月 |

2018 5月 | 2018 6月| 2018 7月| 2018 8月| 2018 9月| 2018 10月| 2018 11月| 2018 12月|

2019 1月| 2019 2月| 2019 3月 | 2019 4月| 2019 5月 | 2019 6月 | 2019 7月| 2019 8月

2019 9月 | 2019 10月 | 2019 11月 | 2019 12月 | 2020 1月 | 2020 2月 | 2020 3月 |

2020 4月 | 2020 5月 | 2020 6月 | 2020 7月 | 2020 8月 | 2020 9月 | 2020 10月 | 2020 11月 |

2020 12月 | 2021 1月 | 2021 2月 | 2021 3月

BACK | NEXT

(C)DANCHOUTEI 2021