断腸亭料理日記2021

御徒町・中華・珍萬

3976号

11月22日(月)夕

飛び石のはざま。

一日、雨。

ちょっと久しぶりではなかろうか。

寒い。

夕方、食事に出る。

なにを食べるか、これ、というものが
思い浮かばないのだが、たどり着いたのが、
御徒町の[珍萬]。

書いたことがあったように思うのだが、
見つからなかった。

町中華といってよいだろう。

そこそこの有名店。
よくTVなどにも出るのか、行列のこともある。

ただ、実際のところ並ぶまでではない。
もちろん、十分うまい、のではあるが。

なんたって、場所がよい。
ほぼ御徒町の駅前といってよい。

どうも最近、町中華、町中華と騒がれすぎ
のようにも思う。
当初は私も、個人経営の町の中華や、というのは
滅んでしまうのではないか、とも思った。
だが、意識してみると、意外に、ある。

多くは、高齢の夫婦でやっている。
長年やっているのだから、ちゃんと、うまい。
そして、今もちゃんとお客がついている。
でなければ続かないはずである。

ただ、やっぱり、高齢なので先は心配。

今、若い人が、“町”中華を始めよう、
あるいは、継ごうとは思わなさそうではある。

一方、町中華がチェーン化したものも、
随分ある。
[餃子の王将(京都・大阪)][幸楽苑][日高屋]
[福しん]、、。
安い、うまい、が看板であろう。
[京都王将]はたまに入るが、ばかにはできない。

餃子、ラーメン、チャーハン、天津丼等々。
要は、町中華メニューである。

つまり、これらのメニューは超身近で、
需要は多く、決して滅びない。

私が、路麺と呼んでいる、個人経営の
立ち喰いそばは、徐々に減って、この上野、
浅草界隈でも、もはや風前の灯。
レッドリストであろう。
ただ、数は少ないが、若い二代目が受け継いで
いるところも、なくはない。

路麺も町中華も数は減っても、生き残る、
のかもしれない。
チェーンにはない、味がちゃんとある。
お客は、ちゃんといるのだから。

個人経営の立ち喰いそば、路麺は、戦後に
できている。昭和20年台、30年台。
今ある、町中華の多くも戦後であろう。
共通している。

ここ、御徒町[珍萬]も戦後すぐ昭和25年(1950年)。

御徒町駅北口から春日通りを西へ。
一本目の路地を左に入ってすぐ。

雨なので、長靴を履いて、傘をさして
バスできた。
17時台。

外の看板には、タンメン、餃子と書かれている。

最初に入ったのは、やはりこの看板に
魅かれたから。

餃子ではなく、タンメンの方。

タンメンというのは、どう考えても町中華の
No.1ではない。それを看板に書くというのは、
よほど人気があり、自信があるのだろう、と
思ったのである。

実際に食べてみると、オーソドックスにうまい、
のではあるが、電車に乗って食べにくる、
ほどではない。

ともあれ。
入ると、天気のせいかそう混んでもいない。
カウンターの端に掛けて、ビール。

どうも、ここでは、タンメンと餃子以外、
頼みずらいのが、不思議。
吸い寄せられるように、頼んでしまう。
ちょっと太麺の焼きそばも知られている
のではあるが。

オーダー間違いでもあったのか、なぜかすぐにきた。
餃子。

ビールはキリンラガーだが、珍しい大瓶。

皮が手延し。

もちもちで、うまい。
アメ横ガード下の[昇龍]もそうだが、餃子の皮は
やっぱり手延しにはかなわない。
食べ応えであろう。

そして、タンメン。

麺。

麺も、野菜もスープも、特に変わった
ところのない、タンメン。

ただ、それがよい。
それでよい、うまい、たんめん。

うまかった。
ご馳走様です。

 

 

台東区上野3-28-10
03-3831-8801

 

 

 

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