断腸亭料理日記2022

稲荷町・中国意境菜・白燕 その2

4069号

引き続き稲荷町[白燕」。

昨日は、りんごあめ、前菜三品、点心二品、
スープまで。

席数は減らしているとはいえ、満席。
ほぼワンオペはたいへんである。

次の皿まで実際には多少時間はかかるのだが、
寛いで食べているとそこまでは間延びした
印象ではない。
まあ、肩の力を抜いて、リラックス。

次は、炒め物。

青菜炒め。

ターサイ。

ノーマルな青菜炒めであろう。
塩味でみじん切りのにんにく入り。
よい塩梅で火が入っており、うまい。

オープンキッチンでシェフの正面なので
調理するところが見えていた。

シェフが野菜を炒める場合、今まで見ていると
ノーマルに中華鍋で炒める場合と、網に載せた
野菜に熱した油を掛けるのとあるよう。
これは、中華鍋で炒めていた。
使い分けはなんであろうか。
大きいもの、厚みのあるものを炒める場合が油を掛ける
ようにも見えるが、どうであろうか。
先日、青椒肉絲を自作した。あの時はものを全部
油に入れてしまう油通しをしたが、あれはかなり
オイリーになる。目の細かい網を入手しなければ
いけないか。

ともあれ。

次はこれ。

蒸し物である。

豚バラ、新筍、湯葉、青いのは茎ブロッコリー
とのこと。

豚バラは塩漬けらしい。
この塩味が全体の塩味になっているよう。

イタリアンでもパンチェッタという
塩漬け豚バラがあるが、水が抜け、肉が熟成、
アミノ酸が増えるということか。
独特のうまみ、である。

今年は筍は初めてかもしれない。
柔らかくよい食感。

茎ブロッコリーというのは私、初めてではなかろうか。
文字通り、ブロッコリーの茎という食感と味。
茎がひょろ長いブロッコリーで名の通り茎を食べる。
地中海原産というので、新しい野菜ではないらしい。

豚バラの脂身は蒸しているので、ある程度落ちているが
やはりそれなりにヘビー。
そこに淡泊な筍、よい食感の青み、
さらに、淡泊な結んだ湯葉を取り合わせているのが
また、憎い組み合わせ。
シェフのセンスであろう。

次はこれ。

麺、で、ある。

入っているのはいんげん、豚肉。
味は、ちょっと甘辛。

麺はひもかわのように平たく、モチモチ。

これ、おもしろいのである。
これも作っているところが見えたのだが、
麺は乾麺。

シェフが説明をしてくれたのだが、内モンゴルの
麺料理らしい。

乾麺を蒸して戻す。
その蒸す蒸気は、お湯ではなく、
肉や野菜を煮たスープ。その中華鍋の上に
蒸籠を置いて蒸すのか。
これがそうかどうかわからぬが、この煮た具を
麺と和える。
ちょいと調べると、ムンメンというよう。

特徴はとにかくムチムチとした食感。
乾麺を蒸気だけで蒸し戻すことによって
生まれるのか。おもしろい。

中華にはない調理法であると思うが、なぜ
こんな方法が生まれたのか。
モンゴル族の人々は元来遊牧民であるが、煮ながら
麺を蒸せるという、簡易さ、なのか。移動しながら
生活する彼らの場合、簡便性は大切なことなのか。

モンゴル族の麺食は、かの文化人類学の先達
石毛直道先生も調べられていた

モンゴル族にはやはり元来は麺食はなく、中国を平定した
元代以降からで、元代に宮廷上流階級に入り、明代に
同階級に浸透。さらに満州族の清代になり上流階級の
麺食は完成した、とのこと。ただ、一般には20世紀になり
農業生産が増大してから浸透したとのことで、やはり
新しい食文化のよう。この乾麺を煮汁の湯気で蒸して
戻すのが生まれたのも、あるいは近代のことなのかも
しれない。

閑話休題。

最後、デザートとお茶。
お茶はジャスミンティー。

これも、おもしろい。
ちょっとロールケーキのよう。
表はクレープのような皮。
中はココナッツ。
ココナッツも、いわゆるココナッツミルクと、
ココナッツの実の両方を使って作られており、
シャキッとした食感もある。
甘さも控えめで、うまいケーキに仕上がっている。

以上。

今日も刺激的なコースであった。
おいしかった。

コースは一人6500円也。これはリーズナブルであろう。
ご馳走様でした。

 


白燕
Facebook

台東区元浅草2−7−10
オルタンシアIV 2F

 

 

 

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