断腸亭料理日記2022

浅草千束通り・ふぐすっぽん・つち田 その3

4195号

10月16日(日)夜

やっと、千束通りの[つち田]にたどり着いた。

ここの創業は戦後、昭和41年(1966年)だが、
最早立派な老舗といってよいだろう。

元浅草の拙亭からタクシー。
春日通りから国際通り、言問通りから千束通りを左に曲がる

一葉桜・小松橋通り、パチンコ屋の交差点で降りる。
17時半。
[つち田]はその先を右に入ったところ。

二階はあったと思うが、そう大きな店ではない。
名乗って奥へ。

掘りごたつ式の座敷、右奥に座る。

ビールをもらって、予定通り、鍋ではなく、
焼きとらふぐのコースを頼む。11,000円也。

まず、煮凝りと左は高野豆腐。

ふぐのコースにはお決まりの煮凝り。
どこのふぐやにも必ずある。

ふぐというのはコラーゲンがたっぷり含まれている。
皮などにも。
今、どうやって作っているのかわからぬが、
それで、ふぐには煮凝りがお決まりになっている
のであろう。

そして、刺身。

ふぐ刺し。
関西風にいうとてっさ、なのであろう。

一人前なのでそう大きな皿ではない。
だが、美しいものである。

ふぐらしくきれいに並べられた刺身と皮、細いねぎ。

ふぐだと水色の青磁の皿に載せるのも見るが
ここは久谷なのか伊万里なのか、手の込んだ赤絵。

こんな皿、家にあったらどうだろうか。
だが、ふぐ以外、なにをのせればよいのか。

一切れにねぎを巻き、ぽん酢しょうゆをつけて
食べる。

ふぐ刺しというのが白身のなかでも、
これだけの地位を占めているのはやはり
それなりのものがあろう。

平目とも鯛とも違っている。
かなりしっかりした歯応え、と、うま味。
香りも。
別格であろう。

ぽん酢しょうゆ。
ぽん酢は橙(だいだい)を絞って作った
自家製という。

やっぱりうまいもんである。

次は、これ。

から揚げ。

これもまた、ふぐのコースでは定番である。

コリコリとしたコラーゲン食感と身のうま味。
香ばしく、カリっと揚がった衣にもしっかり
しょうゆ系の味が付いている。

そろそろ、焼きふぐの準備。

カセットコンロに、焼き網。

焼きふぐ用のふぐ。

下に昆布が敷かれている。
〆てあるのであろう。

やはり骨付きの部分。
ここがうまい、のであろう。

にこやかなおかあさんが、焼いてくれる。

すき焼きやでも、どこでも、ここでお客は絶対に
手を出してはいけない。

まず、100%おこられる。
じっくり見る。

そして、じっくり焼くよう。

こんな感じでよいよう。

味付けは、塩だけ、とのこと。

よく食べていたご近所の[牧野]はもう少し
味が付いていた記憶がある。

素朴、といってよいかもしれぬが、
これはこれで、うまいもんである。

ただでさえふぐは身がしっかりしているうえに、
十分に水分が抜けており

ふぐやにきたら、これもやっぱりもらいたい。

ひれ酒。

お姐さんが、お約束、ふたを取ってマッチをすって

アルコールを飛ばす。

ちょっと色の付いた、熱い酒。
焼いたひれからうま味も出る。
そして、なにより、香りがよい。

雑炊は鍋の最後の愉しみ、ではあるが、
焼きふぐにも雑炊が付く。

これがないと、ふぐのコースにはやはり足らない
のであろう。
身もちゃんと入っている。

デザートもついて、かなりの満腹。

うまかった、うまかった。
ご馳走様でした。

つち田

台東区浅草5-9-7
03-3875-1779

 

 

※お願い
メッセージ、コメントはFacebook へ節度を持ってお願いいたします。
匿名でのメールはお断りいたします。
また、プロフィール非公開の場合、バックグラウンドなど簡単な自己紹介を
お願いいたしております。なき場合のコメントはできません。

 

 

 

断腸亭料理日記トップ | 2004リスト1 | 2004リスト2 | 2004リスト3 | 2004リスト4 |2004 リスト5|

2004 リスト6 |2004 リスト7 | 2004 リスト8 | 2004 リスト9 |2004 リスト10 |

2004 リスト11 | 2004 リスト12 |2005 リスト13 |2005 リスト14 | 2005 リスト15

2005 リスト16 | 2005 リスト17 |2005 リスト18 | 2005 リスト19 | 2005 リスト20 |

2005 リスト21 | 2006 1月 | 2006 2月| 2006 3月 | 2006 4月| 2006 5月| 2006 6月

2006 7月 | 2006 8月 | 2006 9月 | 2006 10月 | 2006 11月 | 2006 12月

2007 1月 | 2007 2月 | 2007 3月 | 2007 4月 | 2007 5月 | 2007 6月 | 2007 7月 |

2007 8月 | 2007 9月 | 2007 10月 | 2007 11月 | 2007 12月 | 2008 1月 | 2008 2月

2008 3月 | 2008 4月 | 2008 5月 | 2008 6月 | 2008 7月 | 2008 8月 | 2008 9月

2008 10月 | 2008 11月 | 2008 12月 | 2009 1月 | 2009 2月 | 2009 3月 | 2009 4月 |

2009 5月 | 2009 6月 | 2009 7月 | 2009 8月 | 2009 9月 | 2009 10月 | 2009 11月 | 2009 12月 |

2010 1月 | 2010 2月 | 2010 3月 | 2010 4月 | 2010 5月 | 2010 6月 | 2010 7月 |

2010 8月 | 2010 9月 | 2010 10月 | 2010 11月 | 2011 12月 | 2011 1月 | 2011 2月 |

2011 3月 | 2011 4月 | 2011 5月 | 2011 6月 | 2011 7月 | 2011 8月 | 2011 9月 |

2011 10月 | 2011 11月 | 2011 12月 | 2012 1月 | 2012 2月 | 2012 3月 | 2012 4月 |

2012 5月 | 2012 6月 | 2012 7月 | 2012 8月 | 2012 9月 | 2012 10月 | 2012 11月 |

2012 12月 | 2013 1月 | 2013 2月 | 2013 3月 | 2013 4月 | 2013 5月 | 2013 6月 |

2013 7月 | 2013 8月 | 2013 9月 | 2013 10月 | 2013 11月 | 2013 12月 | 2014 1月

2014 2月 | 2014 3月| 2014 4月| 2014 5月| 2014 6月| 2014 7月 | 2014 8月 | 2014 9月 |

2014 10月 | 2014 11月 | 2014 12月 | 2015 1月 |2015 2月 | 2015 3月 | 2015 4月 |

2015 5月 | 2015 6月 | 2015 7月 | 2015 8月 | 2015 9月 | 2015 10月 | 2015 11月 |

2015 12月 | 2016 1月 | 2016 2月 | 2016 3月 | 2016 4月 | 2016 5月 | 2016 6月 |

2016 7月 | 2016 8月 | 2016 9月 | 2016 10月 | 2016 11月 | 2016 12月 | 2017 1月 |

2017 2月 | 2017 3月 | 2017 4月 | 2017 5月 | 2017 6月 | 2017 7月 | 2017 8月 | 2017 9月 |

2017 10月 | 2017 11月 | 2017 12月 | 2018 1月|2018 2月| 2018 3月|2018 4月 |

2018 5月 | 2018 6月| 2018 7月| 2018 8月| 2018 9月| 2018 10月| 2018 11月| 2018 12月|

2019 1月| 2019 2月| 2019 3月 | 2019 4月| 2019 5月 | 2019 6月 | 2019 7月| 2019 8月

2019 9月 | 2019 10月 | 2019 11月 | 2019 12月 | 2020 1月 | 2020 2月 | 2020 3月 |

2020 4月 | 2020 5月 | 2020 6月 | 2020 7月 | 2020 8月 | 2020 9月 | 2020 10月 | 2020 11月 |

2020 12月 | 2021 1月 | 2021 2月 | 2021 3月 | 2021 4月 | 2021 5月 | 2021 6月 | 2021 7月

2021 8月 | 2021 9月 | 2021 10月 | 2021 11月 | 2021 12月 | 2022 1月 | 2022 2月 | 2022 3月 |

2022 4月 | 2022 5月 | 2022 6月 | 2022 7月 | 2022 8月 | 2022 9月 | 2022 10月 |

BACK | NEXT

(C)DANCHOUTEI 2022