断腸亭料理日記2023

上野・洋食・ぽん多本家

4396号

8月18日(金)第一食

さて、とんかつ、いや、豚のカツレツが
食べたくなった。

上野の[ぽん多本家]なので、とんかつ、ではなく
豚のカツレツ。

[ぽん多本家]はとんかつやとはいっておらず、
洋食や。品書きの名前も、カツレツ。

[ぽん多本家]は明治38年(1905年)創業。
すぐそば、松坂屋裏の[蓬莱屋]の創業が大正元年(1912年)。
[蓬莱屋]はひれかつのみの店だが、ホームページでは
「蓬莱屋がとんかつの歴史を変えた。」といっており
ここはとんかつ、でよいのだろう。

洋食やの人気メニューであった豚のカツレツが、
[蓬莱屋]のようにそれのみ出す、食い物やとして
独立した。
それが、この明治終わりから大正にかけて、と、
私は考えている。

[ぽん多本家]の開業から[蓬莱屋]開業前後。
まあ、明確にはわからないが、このあたりに
洋食やの豚のカツレツが、とんかつという名前で
独立し、昭和初期開業の[井泉]の頃になると
白木のカウンターのある店になり、準和食へと
変わっていった。そんなことではなかろうか。

ともあれ。

夕方、16時半、夕方の開店を目がけて出かける。
今日はあまりにも暑いので、自転車はやめて、バスで。

着いて、重い木の扉を開けて入る。
一人、というと、なぜか下のカウンターはすべて
開いているがお二階へお願いします、とのこと。
なにか都合があるのであろう。

二階は既に、ほぼ満席。
あれ、16時半ではなく、16時開店であったか。

ともあれ、テーブルに掛ける。

お客は、親子連れ、若いカップル、そこそこの年齢のカップル、
中国人旅行者らしいカップル、など。

お安い店ではないからか、うるさかったり、マナーが
もう一つだったりするお客は、さすがにあまり見ない。

立て込んでおり、ややあって、
お姐さんがくる。

ビールと、かつれつ!。

ご飯と味噌汁は?。

あ、あとでで。

最近、ビールのコマーシャルで、焼肉やで
ライスとビール、というのが出てくる。

まあ、好きなものを食べて呑めばよいのだが、
ご飯を食べながら、酒を呑むというのは、今、皆が、
しているのであろうか。

飯を食うと、腹が一杯になり酒が呑めなくなる。
呑み終ってから、飯。
それで、そばやでもつまみを頼んで酒を呑んだ後にそば。
一緒に頼んでも、店が気を利かせて、そばを出すのに
様子を見ながら時間差を付ける、というものであった。

ある種、習慣になっていたと思うのだが、もはや
そんなものはどこにもないのか。
時代は変わっている、のか!?。
私などは、どうしても違和感を禁じ得ないのだが。

ともあれ。ビールがきた。
g

最近ここでは多いが、お通しはポテサラ。
上品。

暑いので、扇子でパタパタあおぎながら、
ビールをグビグビ呑んでしまう。

と、きてしまった。
かつれつ。
小さなグラスに一杯分ほど。

あ、すみません。
ご飯も下さい!。

もういいですか?。
はい。

切り口。

流石の、ほんのり、ピンク。

塩を皿に取って、食べる。

柔らかく、肉のうまみにあふれている。

以前はロースなのに脂身がないのに多少の
物足りなさを感じたこともあったが、今となっては
これで十分。

ご飯もきた。

味噌汁は、赤だし寄りで、なめこ。
濃いめでうまい。

お新香は、上中央にちょこんと白瓜、きゅうり、
蕪、葉っぱはキャベツか。

うまかった、うまかった。

腹一杯。

ご馳走様です。

階下の帳場で、勘定。

“毎度”ありがとうございます。

静かな店内。
ここ、クール、なのである。
これがよい。
酷暑だが、すっきり気分よく、すごすことができた。

味もさることながら、これもこの店の身上であろう。

 


ぽん多本家

台東区上野3-23-3
03-3831-2351

 

 

 

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