断腸亭料理日記2023

赤坂四川飯店 その1

4356号

6月11日(日)夜

昨日は平河町と界隈の歴史を見てみた。

平河・川には江戸時代以前の江戸があった。
また、永田町の永田とはとある幕府旗本の姓であったと。
ただ、江戸期を通して町やはほぼなく、武家屋敷でも上流の
匂いのする地域。
明治に入り、陸軍関係施設がありながらも宮家、華族の邸宅が
軒を連ねという上流の香り。
ただ、想像だが、江戸は人通りはかなり少なそう。
明治は陸軍関係施設があるので少し増えていそうだが、それでも
そう多い街ではなかったのではなかったのではなかろうか。

そして、その上に昭和に入り国会議事堂が永田町ができ、
本格的に今の政治の街になっていった。

日本の中心であるが、思うのは、東京のようで東京ではない
空気を持っている。下町ではむろんなく、あえて言えば
山手なのであろうが、いわゆる東京の山手ともかなり違う。
やはりちょっと別の空間、と、いってよい。一番近い、例えば
麹町、番町とも違う。

これも、戦後になってまたおそらく変わったのであろう。
今、相当お高そうだがマンションもあるようなので、
住んでいる人もあろう。
だが、立ち並ぶビルには、アメリカ議会でいうロビイスト
というのか、政治に陳情しあるいは圧力をかける(?)
数多くの業界団体の事務所が入っている。[四川飯店]の
入っているビルも全国旅館会館という。
一般企業のオフィスもなくはなさそうだが、オフィス街とも
多少違うか。今も、人通りはベラボウに多くはないか。

まあ、私などには[四川飯店]にくる以外はほぼ無縁な街。
住んでもいなければ、働いてもいない。政治家かその秘書か、
はたまた業界団体関係者、あるいはマンションの住人にでも
なればわかるのか。
実態のわからない街。正直、今はそんなところ。

ともあれ。
赤坂[四川飯店]であった。
そう、ここのお客もこの街の住人が多いのかも。
さて。

17時に予約をしたのだが、例によって少し早く着いてしまった。
こんな時でも店の対応というのは、行き届いたものである。
こういうところに店の本当のサービスレベルというのは
出るのであろう。
たいてい、開店前なので、面倒、と、そこに立ってろ、的に、
ぞんざい、テキトウにあしらうのがまあ、よくあること。

入って少しのところにウェイティングのソファーがある。
建民氏のコックコートと勲章、建一氏の勲章、賞状が
飾られている。そこへ丁重かつスマートに案内してくれる。

時刻になり、テーブルヘ案内される。

瓶ビールをもらう。
キリン一番搾り。
今期に入って、なん度か呑んでいる。
毎年、味が変わった、変わったと宣伝しているが、
今年は、かなり変わったのではなかろうか。
以前は、スーパードライに寄せていたように
感じたが、今年は、離れており、むしろ自社ラガーに
寄せているのではなかろうか。ビールらしい味
というのか。

さて、なにを頼もう。
いつも名物の麻婆豆腐を入れてバラバラと
アラカルトで頼んでいるが、コースにしてみようか。
どんなものか。

ホリデーコースというもの。7920円也。

まず、前菜盛り合わせ。

左から、枝豆、瓜。
塩漬け?、他にもなにか入っていそうな味。
特に、瓜がうまい。
食感がパリパリ。塩味はそこそこ強い。
かつ青くさくはない。

自分でも瓜はいろいろやってみているのだが、
なかなか難しい。
塩をして水を抜いて、なにかに長く漬ける。
漬けるのは、粕であれば奈良漬け、しょうゆなら
唐辛子を入れて鉄砲漬けなんというのはわかる。
池波先生の好物であった、軽く干した、雷干しは
もう一つピンとこなかった。
こうして、パリパリした食感でうまく食うには、
どうしているのか。
塩味が強ければよいのか?。

真ん中が、棒棒鶏。右がかんぱちであったか、
しまあじであったか、のカルパッチョ。
魚はなかなか脂がある。そこにちょっと濃い味の、
おそらくしょうゆがベースなのであろうが、青唐辛子、
花椒?粒胡椒?のスパイスが入った四川風のたれ。
これは秀逸。うまいし、合う。
流石、で、あろう。
奇をてらってもいない。

和食では刺身にはむろんしょうゆにわさびしかない。
せいぜいあっても酢味噌ぐらい?。

イタリアンならばオリーブオイルに、レモン、
ライム、にんにく、、あたりか。

四川では刺身は食べなかろう。
こういう発想はおそらく、刺身を食べ慣れている
日本人の四川料理人だからこそ出てくるもの
なのであろう。

次は、スープ。

写真では、わからなかろうが、これ、フカヒレ。

高級中華の代名詞。
姿煮、なんというのは、有名だが食べたこともないが。

これはもちろん、ヒレの繊維がほぐれたもの。

やはり一度ぐらいは、姿煮を食べてみなければ
いけないか。

中華では似たものにツバメの巣なんというものもある。
これも高級食材で、同様にコラーゲン質、なのであろう。
それそのものには、ほぼ味はない。
食感の食い物といってよいのか。

それでうまい極上のスープをまとわせる。
中華四千年の歴史などというが、なぜこういう料理が
生まれて、高級食材になったのか。
ウィキ

によれば明時代といい、そこそこ古そう。
日本食にはこういうものがあろうか。
それ自体は味のしないもの?。
あるか。こんにゃく、ところてん、、?。
味はなく付けた味で食べる。
だが、高級ではまったくない。

中華のフカヒレは、日本産気仙沼のものが上級という。
日本では、フカヒレを使った料理は発達しなかった。
なぜであろうか。
不思議といえば、不思議である。

ともあれ、姿煮、課題にしようか。

 

つづく

 


赤坂四川飯店

千代田区平河町2-5-5 全国旅館会館5F・6F
03-3263-9371

 

 

 

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