断腸亭料理日記2024

新たけのこ

4528号

3月16日(土)夜〜

さて。
たけのこ、で、ある。

新たけのこ。

たけのこ、というのは、うまいもんである。

水煮ではなく、もちろん生のもの。
水煮は年柄年中あって、中華などにもよく使うが
やはり味がまったく違う。

柔らかさと、香りであろうか。

ほぼすべての野菜が、ハウス栽培されて、一年中あるが
たけのこばかりは、そうはいかない。

たけのこは、春にしか出ない。

大きくなる竹をハウスに入れるのは現実的ではない
のであろう。

それで新もののたけのこばかりは、春以外には
食べられない。今時稀有な野菜である。

新たけのこは、少し前から出ていたのだが、
一本1000円近くで、待っていた。

そして、今日、少し安いのをハナマサで見つけた。

これ。

5〜600円くらいであったか。

福岡県産。
新もののたけのこというと、東京で見るのは、
毎年、福岡県のものである。

生のたけのこは昔から糠でゆでる。
アクが出るから、ということになっている。

掘り立てのものは生で食べたりもするようだが、
時間が経つと、アクが出る?、そういうこと?。
わからぬが。

新しいものならば、糠でゆでる必要もないのかも
しれない。

まあ、和食の昔からやっていることは、なにか
おまじないのようなものもあるように思うのである。
ほんとうにこれ、必要?、という。
大根の下ゆでも、米粒を入れたりするが、あれも
そうかもしれぬ。
大根にアクがあるとは、到底思えぬのだが。
以前は、大根らしい味や香りがもっと強く、
嫌われたのか。

そういえば、蕎麦にねぎやわさびなどいわゆる薬味を
使うがあれも、つゆの出汁に使う鰹や鯖の生ぐささ
を抑えるためと聞いたことがある。
今、出汁を生ぐさいと感じる人はあまりいないと思う。
昔の鰹節などはもっと生ぐさかったということなのか。
わからぬが。
まあ、ことほど左様に和食の神話のような決まった
調理法がある。

ともあれ。

たけのこを洗って、圧力鍋へ。
ノーマルな鍋でゆでると、料理本などには、2〜3時間
などと書いているので、私は圧力鍋を使っているが、
特に問題はないと思っている。

水をヒタヒタに張って、一応、糠の代わりに米粒を
10粒程度入れる。

ふたをして、点火、加熱、加圧。
圧が上がって、たけのこはいつもよりも長めで
10分。

これで放置。

3時間ほど置く。
レシピ本などでは、2〜3時間ゆでた後、
完全に冷えるまで置く、と書かれている。

その間に、鰹削り節で出汁を取っておく。

3時間後、圧力鍋を開ける。

触ると柔らかい。
大丈夫、ゆだっているよう。

皮をむくのだが、あ!、先端を少し切って、さらに
切れ込みを入れておくのだった。

堅そうな根本を5mmほど切る。
あとは、皮をむく。
別段、先を先端を切らなくとも問題なくむける。
これもなにか、おまじない?。

出汁は濾さなくてよいだろう。削り節が入ったままに
酒、しょうゆ。しょうゆは濃口に薄口を合わせてみる。

食べやすい大きさに切ったたけのこを投入。
煮立てる。
味見、多少薄めがよいだろう。OK。

10分ほど煮込んで、火をとめて置く。
一度冷まし、味を入れる。

食べる前に軽く温め、皿へ。
同じく新もののほたるいか、きゃらぶきも出す。

ビールを開けて食べる。

アクなどもほぼなく、うまく煮えた。
やはり、新たけのこの味は、薄めがよい。
まったく、新たけのこというのは、うまいもの、
である。一年に一度の愉しみ、で、ある。

もちろん、食べ切れないので、
翌日、たけのこ飯にしよう。

さらに細かく切って、つゆを気持ち薄めて、炊く。

炊き上がり。

盛り付け。

飯にしても新たけのこは、やっぱりうまい。
そして、やはり味は薄め。
たけのこの味と香りがよくわかる。
二膳も食べてしまった。

新たけのこ、大満足。

 

 

 

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