断腸亭料理日記2004 池波正太郎レシピ

銀座・板前割烹・いまむら

4月26日(月)夜
さて、なんということであろうか。
割烹である。

先日、太助寿司の主人の言葉「教育してるんですよ」が気になっていた。
偉そうなことを書いているが、うまいもの、
ことに一流の和食を食べたことがあるのか?

考えてみると、イタリアン、フレンチ、洋食、中華などなど
値が張っても、限度がある。
しかし、こと、和食となると、天井が知れない。
いわゆる、割烹、料亭などである。
あまりに怖くて、いけない。

一念発起である。
少し無理をしてでも、味を覚えなくてはならない、と考えた。
もちろん、身銭を切らなければダメだ。

その、第1回に選んだのは「銀座・いまむら」さんである。
筆者の敬愛する池波正太郎先生、縁(ゆかり)の方である。
「池波正太郎の銀座日記」新潮文庫
のあとがきに今村さんご本人も登場される。
このくだり、何度読んでも涙が出る。)

予約を入れ、夜、向かう。
さすがに、こういう店は、一人では行けない。
知り合いに頼み、付き合ってもらう。

銀座は四丁目。松屋と三越の間の道を、有楽町方向に入る。ビルの地下。
カウンターのみ。ご主人、おかみさん、若い衆(息子さんであるという。)
の三人でやられている。
ご主人は常に、柔和な表情をされており、気後れするような雰囲気はない。

白木のカウンター。

ビールを頼み、料理が運ばれる。

水蛸の梅肉和え。
細かい包丁目が入った、なんというのであろうか、
小さいきゅうりが和えられている。

かたくりの白和え。
これは、うまかった。ごまか、くるみでも、いっしょに入っているのであろうか。
かなり濃厚でその上なめらかな白和えである。
かたくり(花も一緒であった。)も初めて。
春のものであるという。

椀もの
鮎並(あいなめ)とじゅんさいのすまし汁。
だしが濃厚。鮎並は一度くず(?)でとじてある。
崩れないようにするためであろうか。
香ばしい印象があった。焼いているのではないとおもわれるが、
なんであろう。

お造り
鰹、いか、赤貝(ヒモ付き)、の三種。
鰹は適度な脂。鰹くささというのか、血のにおいというのか、はまったくない。

煮物
茄子と八頭(?)の煮物、冷製。
煮物といっても、しょうゆ色ではない。
茄子はヘタに近い部分が使われている。
一度油通し、皮がむかれている。
だしを充分に吸わせてあり、冷たさと相まって、かなりうまい。
八頭もなすも、煮くずれやすいものだけに、
かなりの技があるのではないのだろうか。

車海老、平貝、鯛、いんげんの黄身おろし和え
食感の妙であろう。
車海老はプリプリ。平貝がそれに追いつきサクサク、鯛が押さえといった感じ。

焼き物
あなごの南部焼き
開いた、小ぶりな穴子1本に串を打ち、ごま味噌を塗って、焼いてある。
香ばしい。

稲庭うどん

冷しトマト淡雪抹茶がけ

以上、九品。野菜のうまさが際立っているように思った。
とにかく、通わないと、だめである。

調子に乗って、呑み過ぎてしまった。

(おまかせコース \10,000)

地図

断腸亭料理日記トップ | 2004日記リスト1 | BACK | NEXT |

(C)DANCHOUTEI 2004