断腸亭料理日記2004

もどり鰹・猪口のこと

9月25日(土)夕食
田原町・赤札堂で買い物。
鰹。もどり鰹で、脂がありそう。かつ、安い。







からしじょうゆである。
からしじょうゆは、池波流で、これが、さらにうまい。
初鰹は生姜の方がよいかも知れぬが、もどり鰹は、からし。

これに、丸のまま1本の、茄子の糠漬け(これもからし。)
でもあれば、完全に、池波流の秋の食卓。

上の写真、鯛の潮汁の時にも書いたが、
白い、猪口(ちょこ)である。
少し前に見つけたのであるが、これが実にいい。
TVの鬼平・吉右衛門版を見ていると、
決まって、この猪口が出てくる。

いわゆる、ぐい呑み、ではなく、
猪口というと、普通は、かなり小振りである。
ほんとに、一口で終わり、呑みごたえのようなものを考えると、
今ひとつである。

さりとて、よくある、ぐい呑みは、何か違う。

こういうことを書くと、日本中の酒呑み、
日本酒好きを、敵に回しそうである。

はっきりいって、野暮ったい。
なぜであろうか。柄やデザインはどうあれ、だめである。

民芸調というのか、わざと、土臭かったり。
筆者、民芸など、もっとも嫌いである。

また、変に、デザインされすぎているのも、
高価なものも多いが、これもだめ。
(google で「ぐいのみ」と検索すると、
出てくるようなもの、である。)

ぐい呑みというだけで、なにか、田舎くさい、と、思うのである。

このくらいであれば、湯呑みか、利き酒用の、
藍色の蛇の目(じゃのめ)が底に、描かれている、
利猪口(ききぢょこ)の方が、まだいい。

事実、この白い猪口を見つけるまでは、この利猪口を使っていた。

東京でも、ちょっと、気取った居酒屋などで、よく、
このあたりの、ぐい呑みを揃え、「どれにします?」
などという、趣向があるが、これなど、逃げ出したくなる。
今の、団塊世代あたりの、好みであろうか?世代ではなく、時流か?

このさかずきに似た、真っ白の、大振りの猪口。
シンプルで、形も、持った感じも、よい。
粋で、かつ、気取ってなく、とても、気に入っている。

また、TVでは、同じく真っ白の二合徳利(銚子)が対で、でてくる。
これも、よい。

ついでだが、この真っ白の首の長い徳利を「白鳥」という。
首が長く白いところから、白鳥というらしく、
さらに、こうして、真っ白な陶器も「白鳥」と
いうようになっていたらしい。
「白鳥の徳利」「白鳥の猪口」であろうか。

また、この、「白鳥の徳利」は江戸の頃、なにも、特殊なものではなく、
普通に庶民の使うものであったようである。
(そこが、またよい。)

ちなみに、上の写真の徳利(銚子)は白鳥ではなく
安居酒屋などでよくある、清酒メーカーの名入のもの(白鹿)。
これは、名古屋時代、ディスカウントショップのようなところで
1本¥100で買った。

白鳥の徳利もあるが、二合のため、一人で呑む場合は、
上のような、名入のものを使うことが多い。

珍しく、食い物以外のことを、書いてしまった。

かなり、変な趣味であることは、自覚している。
また、なかなか理解していただけないような、気もする。

しかし、これが、いい。

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