断腸亭料理日記2005

鮎飯

4月27日(水)夜

仕事帰り、スーパーに寄ってみる。
養殖ものであるが、和歌山の鮎が半額になっていた。

天然ものの時期はまだ先なのであろうが、
こう温かくなってくると、なにか、鮎の気分、である。

またまた、鬼平犯科帳である。


梅雨が明け、季節は、夏である。
当時、江戸の郊外であった、目黒の威得寺。
密偵・伊三次の墓前で、「泪があふれるにまかせている。」
盗賊改方同心、随一の剽軽者、木村忠吾。

鬼平ファンの方であれば、このシーン、おわかりであろう。
何度読んでも、忠吾同様に、泣けてしまう。

この後、木村忠吾は、盗賊、さむらい松五郎、に間違われ、
別の盗賊に相談を持ちかけられる。
そして、目黒の料理屋で、会談。

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 はなしがすんでから、伊勢虎名物の〔鮎飯〕が出た。

 醤油の淡味をつけた飯がふきあがったところへ、頭をとった

新鮮な鮎を突き込み、尾先から引き出して骨を抜き、

飯の中へ残った魚肉をかきまぜ、飯茶わんへ盛って出す。

「いえ、その味も、よくわかりませんでした」

 と、役宅へもどって来た木村忠吾が長谷川平蔵にいった。


池波正太郎 鬼平犯科帳(14)文春文庫より「さむらい松五郎」

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鮎飯は、少し時間がかかる。
とりあえず、塩焼きにしよう。

水洗いする。鮎は、ぬめりがある。
ペーパータオルで水気をふき取り、ヒレに、化粧塩。

ガスであるが、丹念に、焼く。
(妻の分もともに、四匹。)




ビールを開け、一緒に買ってきた、
ほたるいか(ボイル)と共に、食べる。

養殖ものは、やはり、養殖もの。
天然ものは、はらわたも苦味もすくなく、頭から食べられるが
養殖ものは、そうはいかない。

こうなったら、鮎飯、も、いってしまおう。

米を研ぐ。

鮎飯にする場合は、本来は、塩をせず、素焼き、である。
塩焼きにしてしまったので、酒とほんの少量のしょうゆを入れ、
水加減をする。

一時間弱、浸し、固めモードで炊く。

炊き上がり、10分ほど蒸らす。
頭と、化粧塩までしてしまったヒレをすべて取り、
はらわたもできるだけ、きれいに取る。

飯をしゃもじで混ぜ、鮎を飯の中に入れ、さらに、10分ほど、蒸らす。

鬼平にあるように、尻尾を持って、箸で、しごくようにして、
身をはずしていく。

いたって簡単に、身ははずれる。
身を飯に混ぜ込み、飯茶わんに盛る。



まあまあ、であろう。

堪えられないうまさ、とまではいかない。

(やはり天然ものでなければ、だめであろうか・・・。)



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