断腸亭料理日記2006

なまり節の味噌汁

3月4日(土)第二食

今週の路麺は、人形町そば好

東京は、だいぶ暖かくなった。
もうほとんど、寒の戻りのような日は、あるまい。
車の屋根を開けていても、問題はない。
コンバーチブルは、季節を感じられる。

さて、第二食で、ある。

またまた、「池波レシピ」、で、ある。

最近は、剣客商売を読んでいるのだが、このシリーズの、番外編。
「黒白」という上下に分かれた長編作品、で、ある。
「剣客」の中では、趣を異にする、秋山小兵衛、若き頃。
主人公は、小兵衛よりも、もう一人の剣客、波切八郎。
謎が多く、ダイナミックなストーリー展開が、
引き込まれる作品である。

このなかで、少し前に読んでいて、うまそう、で、あった、
なまり節の味噌汁。

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 この日の夕餉は、鰹を煮熟(にじゅく)したもの・・・

つまり、即製の生鰹節(なまりぶし)を蒸しくずし、これを

濃い目の味噌汁にしたてたものに、高菜の漬け物。それだけであった。

 初夏の江戸の鰹ゆえ、まだ価(あたい)は安くないが、

それにしても質素な食膳である。


剣客商売 番外編 黒白 新潮文庫 池波 正太郎 (著)

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この部分、池波先生にしては、作り方を、
細かく描写している部類に入るであろう。
これはつまり、自分が好きで、奥様に作り方を指示し、
家庭で食べている、と、考えてよかろう。

さて、鰹は、先日の観音裏の鮨屋、一新で、かなり早い
初鰹を食べた。
街にももう出回っているであろうか。

スーパーをいくつか回ってみるが、
さすがに、スーパーにまでは、出ていない。

あるのは解凍ものの、たたき、で、ある。
まあ、よかろう。
これと、薬味に、茗荷。
(茗荷も今は一年中あるが、
一応、本来の初鰹の季節に合わせた。)

帰宅。

飯が必要であろう。
飯も炊く。

まずは、半分にし、一杯やって、
たたきとしても、食べよう。

半分は、皿に載せ、蒸し器で蒸す。

味噌汁用の出汁も、実がなまりであるから、
いらなそうな気もするが、鰹節で、一応取っておく。

鰹たたき、以外のつまみは、左がきゃらぶきの佃煮と奈良漬。
右側が、さつま揚げ。
これは、妻宛に鹿児島県出身の方から送られてきたもの。

簡素な紙の箱を開けると、ぎっしりと、さつま揚げ。
びっくり、で、ある。

オーブントースターで軽く温めてみた。
食べてみて、ひとまずの感想は、甘い、ということ。

東京のさつま揚げの感覚からすると、かなり甘い。
しかし、これはこれ、別の食べ物と、思った方がよい。
別のものとして、うまい。
中身の色は黒く、これは青魚が原料であろう。

同じく四国九州の味覚、小魚のすり身で作った、じゃこ天は、たまに食べる。

ものにもよるのだろうが、これよりも、もっと甘い。

話がそれてしまった。

鰹たたきと、さつま揚げなどで、ビール一本を呑み、
飯が炊けたのをみはからい、味噌汁にかかる。

蒸した、鰹。
切ってみると、若干、生の部分があった。
再度レンジ。

OK。

箸で、身をくずす。
出汁に入れ、味噌を溶き入れる。
この味噌は、普通の信州味噌(ハナマルキ)。
濃い目に、、!。ここが、今回の唯一のポイント。

茗荷を切って、入れ、軽く煮立たせて、完成。

盛り付けは、実を多く、汁を少なめ。
これが濃い目の味噌汁の、勘所(かんどころ)で、あろう。


飯を盛って、食べる。
冷凍のたたき、であったが、最初につまみで、生で食べたとき
よりも、印象としては、脂があるように感じられる。
また、なまりも、堅くなり過ぎないのがうまさのポイント。

抜群に、うまい。
出汁を取ったのも、また成功である。
味噌のつゆと、なまりの相性は格別によい。
茗荷もまた、よい。

〆て、飯に合うこと、おびただしい。
軽く二杯は食える。

今日のなまり節の味噌汁、断腸亭、久々の、あたり、で、ある。



★04年3月の、再開「断腸亭料理日記」1号から、2年弱、
今号で500号となりました。
(実際のところ、数え間違い、重複などあり、不確かですが、
そのあたりは、結構いい加減な筆者でございます。)

ともあれ、ご愛読ありがとうございます。
これも、読んでいただいている皆様のおかげであると
深く感謝いたしております。
重ねて御礼申し上げます。

今年は、是非、落語もなんとかしたい。近所(浅草あたり)で、
食事付き断腸亭落語会(?)など、どうか、など、思っておりますが、
4月以降、仕事の状況など見ながら、
どうなること、やらまだわかりませんが、、。

今後とも、末永くよろしくお願い申し上げます。

                         筆者



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