断腸亭料理日記2008

蕎麦・日本橋・やぶ久 その2

東京の老舗そばやの木鉢会シリーズ。
今週は、日本橋やぶ久。
昨日は、この界隈、旧呉服町のことなど。

今日は、やぶ久へ。

4月26日(土)第二食

今週は、内儀(かみ)さんとともに、出掛ける。
いつもは一人だが、これはちょっとした訳があった。

今日は、着物でも着てみようか、と思ったである。

ご存じのように、私は、落語もするので、着物はなん枚もあり、
演じる時には着る。
また、正月、あるいは、家にいる時には、
冬には、丹前なんぞを着ているし、夏には、浴衣を着ている。

しかし、普通、外出する時には、土日であっても
まあ、理由もなく、着物を着ることは、ない。

やはり、多少、恥ずかしい、ということである。

たまには、気分である。
着物を着て、蕎麦やへいってみる、というのも、よいであろう。
だが、やはり、一人では、ちょいと、恥ずかしい。
そこで、内儀さんを連れて、ということになったのである。

茶色の絹物。
濃い緑の羽織も着て、白足袋をはいて、
蜻蛉の柄の雪駄という格好。

銀座線、稲荷町から乗って、日本橋まで。

男が着物を着て、地下鉄に乗っている、というのは、
普通、どのように、見えるのであろうか。
最近、休日、着物を着ている人も、まあ、女性が多いが、
増えてきているように思われる。

チャラチャラと雪駄の音を立てて、地下鉄の階段を上がり、
柳屋のビルの脇を通り、路地を左。
しばらくいって、左側。
やぶ久があった。

やはり、大きな店構えではない。

2時過ぎ、一階のテーブル席は、ほぼ満席。
いちばん奥があいていたので、内儀さんとともに座る。

まずは、ビール。
エビスの瓶。


箸袋に創業明治三十五年、日本橋 やぶ久、としてある。

裏に「店主苦労性なれば、、」感じたことをいってほしい、
と書いてある。

この店の、木鉢会のページに以下のような文も載っている。



店主苦労性なれば殊の外熱心にして良き素材にこだわり味への追求並外れなり。

「口に入るものは美味しくなくては」が口癖。

明治三十五年からの歴史と、ご来店頂くお客様のご期待に添うべく、

老骨に鞭打って日々研鑚。「志は高く、腰は低く、心豊かに」

是非ご来店を。


ともあれ。

お通しが、昆布巻き、というのがちょいと、乙。

つまみは?

メニューに、季節のものとして、白魚のかき揚げそば、
というのがあった。
これとは別に、天ぬき、もあるようだ。

この白魚のかき揚げで、天ぬきができないか、女将さんに聞いてみる。
一度、奥に聞きにいき、できます、とのこと。
それを頼む。

きたきた。


これはよい。


あたり、である。
白魚に、三つ葉のかき揚げ、で、ある。

うまい。

さて、そばは?
天ぷらも食ったし、軽いものでよいだろう。
とろろそばなんぞ、どうだろう。


とろろそばとすれば、
海苔がかかっているのがちょっと珍しいかもしれぬ。

量もあり、うまい。

蕎麦湯で、つゆも飲み干す。

うまかった。

勘定をして出る。


と、雨がパラパラときた。

ビルの軒をつたいながら、ひとまず、地下鉄の入口まで。

日本橋やぶ久。

やはり、ちゃんとした、いや、立派な、東京のそばや、
である。




ぐるなび




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