断腸亭料理日記2008

断腸亭、中東ドバイへ行く その9

なおも、引き続き、『断腸亭、中東ドバイへ行く』その9。






今日は、朝食から。

毎日のものなので、段々気に入ったものを
食べるようになる。

昨日書いた、アラブのスクランブルエッグに、焼きそば、
点心、それから、ベイクドトマト、同じくマッシュルーム、
ソーセージ、ベーコンなど。

それから、ベーグル。


ちょっと小ぶりなベーグルだが、いつも、
ベーグルステーション、などという名前でコーナーになっており、
ハムやら、チーズやらをはさんで、食べていた。

同じく、朝食だが、ミルク。


これは、なんと、キャメル。

ラクダのミルク。
濃い目で、甘みがあった。

さて。今日は少しアラブ料理のことを書いてみたい。

最初の方に書いたのだが、ドバイで現地、ローカルな、
伝統的な食べ物を食べる、というのは難しい、と書いた。
(そういうレストランがないから、であるが。)

しかし、そうはいっても、先のスクランブルエッグだの、
アラブ料理は、ホテルで食べられるものも、ちらほらとある。

中でも、ホテルで最もよく見かけたもの。


これである。

アラブでは、mezze(最後の「e」が付いたり、付かなかったりする。
メッザ、と発音するのだろうか。)というスターター、オードブル、
前菜、というようなことになるのだろうか、
そういうジャンルのものがある。

上の写真のものはそれに分類されるようである。
名前は、Hommous。トルコなどを含めて、アラブの広い地域で
食べられている伝統料理であるそうな。
ホンモス、オンモス、フマス、ホモス、フンムス、ハンムス、ハモス、、
などなど、日本語に起こすと、そんな音になるようである。
(むろんアラブ地域でもところによって発音が違うのでもあろう。)

これは、ひよこ豆のペーストが材料。
ひよこ豆自体も、日本ではあまり馴染みがない。
上の写真のくぼんだ所にある白い丸い豆、で、ある。
大きさは直径1cmくらいであろうか。白くて、ほぼまんまるだが、
ちょっとポッチのような尖ったところがある豆。

上のものは、これだけをホテルのルームサービスで取ったもの。
こうした、ペーストのようなものは、他にも種類があるようで
ホテルのバッフェにはもう2〜3種類、常に置いてあった。
なかでも、このホンモスが、最もうまい。
ひよこ豆のペーストにオリーブオイル、レモン汁などが入り、
酸味があり、ちょうど、さっぱりしたマヨネースといった感じ。

ルームサービスで、これだけを頼むと、
“Only honmmus?" と、不審がられてしまったが、むろんOKで、
これだけでも、パンやらも一緒に持ってきてくれた。
(実際にパンなどにつけて食べるもの、で、ある。)

さて、もう一つ。
今度は、Hot mezze 。温かい、前菜というような意味か。
スナック、と、いったらよいだろう。
その盛り合わせのようなものを、同じく、ルームサービスでもらった。


メニューには、

assorted hot mezze Kebbeh,Sambousek,Rakakat,Spinach Fattayer

with Tahina Sauce and Mixed Pickles

と、書かれている。(写真には、Mixed Pickles は写っていない。
下の写真をご参照下されたい。)

どれがどれやら、今一つ、定かではないのだが、
まずは、Kebbeh。キッビ、と、発音するようである。
黒い、ラグビーボールの形をしたもの。
後でも出てくるが、Boulgour(ブルグール、ブルゴル)という
小麦の挽き割りと、訳されるもの、と、子羊の挽肉を成型して、
揚げたもの、らしい。
味は、材料を聞くと想像できようが、
ちょっとぼそぼそした、揚げ肉団子という感じ。
軽い塩味が付いている。

次は、Sambousek。サンブーサ、と発音するのか。
これはインド料理のサモサ、で、ある。
写真では、餃子のような形のもの。
アラブでもよく食べられているようである。
(と、いうよりは、起源は、ペルシャや、中央アジアということで、
むしろ、こちらの方が先なのかもしれない。)

Rakakat。ラカッカ、で、あろうか。
細く巻いた、春巻き、のようなもの。
これも肉を巻いている。

Spinach Fattayer。ファッタヤ、か。
三角のもの。具がほうれん草。

つけて食べる、Tahinaソースなるものは、
先の、ホンモスに近いものだが、こちらは胡麻のペースト。
やはり酸味がある。

さて、次に、レバノン料理店。
前に書いた、ホテル内のスークにあった店である。

最近、日産のゴーンさんの奥さんの経営、というので
有名になったが、レバノン料理店は、東京にもあるようである。

マイレバノン

もちろん、各地で多少の違いはあるのだろうが、
レバノン料理は、アラブ料理、を代表する、と、
いってよいのであろう。
ドバイにもローカル料理のレストランはなくとも、
レバノン料理店(レバニー)ならば、少なからずあるようである。

この店は、ホテルに付属するレストランだからか、
酒も置いていた。
(一般的には、どうなのだろうか。これは不明。
レバノンという国は、ご存じの通り、キリスト教徒も3割ほどおり
イスラムオンリーではないので、レバノン国内なら、
よい、のかもしれないが。)

レバニーのテーブルに着くと、先の、ルームサービスでもそうだが、
普通のパンと、必ず、例の世界中にある、小麦を薄く丸く焼いた
もの、(インドではチャパティ、メキシコではトルティージャなど)
アラブではホブズ、というらしい、が出てくる。
(普通の小麦以外にも、色の黒いもの、ふすま?、が
あることもあった。)

そして、オリーブなどのピクルス。


オリーブは酢漬け。
真ん中の赤いものは、日本とほぼ同じ、赤蕪。
(味もほとんど同じであった。)

そして、チャレンジ。

知らなかったのだが、レバノン料理には生肉、が、ある。
いろいろな種類があるようなのだが、ウエイターのお兄ちゃんに
相談して、もっとも一般的そうな、Kebbch Nayich というのに
してみる。Kebbch(キッビ)は、先ほどの挽き割り小麦の入った
挽肉で、Nayichは、ナッイーェ、と発音するよう。

説明には、

Minced raw meat,cracked wheat,lemon,onion,fresh mint

と、ある。
ちなみに、先にも出てきた、
cracked wheat、挽き割り小麦、Boulgour(ブルグール、ブルゴル)は
ものとしては、どうも、ちょっと粒の大きいクスクスに近いものらしい。


こんな感じである。
なかなか、量もあり、見た目にインパクトがある。
オリーブオイル、にんにくのペーストをつけ、それから、
生のミントの葉といっしょに食べる、という。

いや。食べてみると、見た目以上に、これがなかなか、いける。
もちろん、生肉なので、それなりにヘビーなのだが、
ちょうど、例の串に差して焼いた、ケバブ、の生のような味。
(入っている香辛料がそんな感じなのであろう。)
また、挽き割り小麦が入っているというは、食べてみても
それ自体は、あまり感じられなかった。
なんの肉かは、聞かなかったので、よくわからないが、
一般的にはラムが多いようである。

そして、この地は魚が獲れるので、魚料理も頼んでみた。


これは、例のハタの仲間のハムール、という
こちらでは一般的な魚。

一匹、丸ごとを焼いて、見た通り、トマトソースをかけて
味付きライスを添えたもの。
このライスは松の実なども入り、前にもあった、ビリヤニ
に近いもの。

丸ごとであるが、ナイフフォークでも食べやすいように、
骨から身ははずしてある。
特にくせもなく、うまい。

先の、生肉はレバニー固有のものかもしれぬが
総じて、アラブ料理、表面をなぜただけであるが、
今の私には、比較的入りやすかったかもしれない。

しかし、全般にみて、ドバイなどは、今は、アラブローカル食よりも
インド、東南アジアなどの影響も強く、こちらも人同様、
カオス、なのかもしれない。

『断腸亭、中東ドバイへ行く』とうとう、9回目終了。
明日は、総まとめ、でもしてみようか。



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