断腸亭料理日記2008

チキンライス

2月9日(土)第一食

さて、土曜日。

曇っており、寒い。

今日もまた、雪になるらしい。
このところ、どうしたことであろうか。
三日毎に、雪、で、ある。

最近の東京は、雪が降らなくなっていたのだが、
降れば降ったで、また、どうしたことかと、心配になったりもする。

なにを食おうか、考える。

そうであった。
チキンライスで、ある。

理由はよくわからぬが、少し前から、
食べたくなっていたのであった。

チキンライスというのは、うまいものである。

筆者の、好物、ではあるが、なぜうまい、のであろうか。

オムライスでもなく、チキンライス、が、いい。

しかし、チキンライス、とはいうが、
まあ、早い話が、ケチャップライス。
ケチャップ味のチャーハンというのか、
そんなものである。

しかし、入る具は、ウインナーを切ったものでも
ベーコンを刻んだもの、でも、あるいは、
豚肉の細切れでもよさそうなものなのだが、
やはり、鶏肉が、一番うまい、と、思うのだが、
これも不思議で、ある。

冷蔵庫に冷や飯(タイ米)が、あった。

鶏もも肉が一枚、冷凍庫に凍っている。

レンジで解凍。

玉ねぎも冷蔵庫から出し、半分、みじん切りに、する。

解凍した鶏肉もサイコロに切る。

鉄のフライパンを熱し、油を敷く。
鶏肉から入れ、炒める。

多少、くっつく。
フライパンを火から離し、落ち着かせる。

どうも、今でも鉄のフライパンには弱い。

玉ねぎも入れ、炒める。
玉ねぎを入れると、水が出て、鶏肉もくっつかなくなる。

玉ねぎが透き通ってきたら、
ブランデーを入れ、フランベ。

たかがチキンライス、で、あるが、
この、ブランデーは欠かせない。

ヨシカミのチキンライスの、真似、のつもり、で、あるのだが、
ブランデーを入れて炒めると、コクが、違う。

一度火を止め、飯を入れる。

固まっているので、しゃもじで、ほぐし、炒めた具材と混ぜる。
固まっているところが少しでもあると、やはり、今ひとつ、で、ある。
小さな塊も、丁寧に、ほぐす。

ケチャップを投入。

混ぜながら、点火。
弱火。

全体によく行き渡るように、混ぜる。

日本の米であれば、ケチャップを入れて、熱をかけると
かなり、ベチャッとした感じになるが、
今日は、タイ米で、少し様子が違う。

それでも、炒めすぎは、粘りが出てしまうので、
全体が温まる程度で、終了。

盛り付け、食べる。

ちょっと、ケチャップが足りなかった。
追加で上からかける。


先のように、鶏肉がない場合、豚肉を使うこともあるが、
やはり、鶏肉には、はるかに及ばない、と筆者は思う。

なぜであろうか。
比べれば、ベーコンや、ソーセージ、ウインナーの方が、
豚肉よりもよい。

豚肉には、豚肉のうまさがあるのだが、不思議、で、ある。
ケチャップとの相性、なのであろうか。
豚肉もポークソテーなどは、トマトソースでも食べるし、
決して、悪くはない、はずである。
そうすると、トマトとの相性だけではなく、
ご飯と一緒になった時の組み合わせの相性、も、あるのかもしれない。

鶏肉は、比べれば淡白な味であり、これがご飯の味に
合うのかもしれない。
豚肉の風味、脂は、ケチャップと一緒になったご飯には
今一つ強すぎる、ということであろうか。

そして、もう一つ。
ブランデーを入れて炒める方法。
ケチャップ、鶏肉、玉ねぎだけではもう一つ、味が薄っぺらい。
豚肉とはまた違う方向なのかもしれないが、
味に深みが出て、充実したチキンライスが出来上がる。

なんということのない、ケチャップライスであるが、
鶏肉、ケチャップ、ご飯、玉ねぎ、+ブランデー、
この組み合わせが黄金なのであろう。

さて、さて、これで、チキンライスの考察は終了。

最後に一つ。
皆様は、なぜ、チキンライスごときに、
こんなゴタクを並べているのか、と、思われるかもしれない。

今、食い物について、グルメマスコミなどで、注目され、
語られることは、どこやらから取り寄せた、珍奇で、希少な、
従って高価な、ものがほとんどであろう。
それらも、むろん悪くはない。

だが、それだけでいいのだろうか、と、思うのである。

池波レシピのほとんどのものもそうなのだが、
こうした、ごくありふれたものをうまく作って食うこと、
これが、本当は、現代の我々にとって最も不足していることではないか。
土台をおそろかにして、珍奇なもの、希少なものにばかり
気を取られるのは、むなしいことではあるまいか。

そう思うのである。




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