断腸亭料理日記2008

ポークジンジャー

1月27日(日)第一食

日曜日、朝っぱらから、ではあるが、
ポークジンジャー、で、ある。

ポークジンジャー、という言い方が、一般的なのかどうか、
よくわからぬが、ようは豚の生姜焼き、で、ある。

昨日ではなく、先週の「チューボーですよ!」で、やっていた。

(余談だが、この回の街の巨匠ででてきた、
大岡山の「カフェ&キッチン林」という店。

実は、池波レシピ。
大岡山は、筆者の行動範囲にはまったく入っておらず、
いったことはない。
このご店主の林氏が、以前、銀座清月堂のチーフを
やっておられたという。
銀座清月堂といえば、ピンとくる方は、
やはり、かなりの池波ファンであろう。
「銀座日記」に頻繁に登場し、林氏は、実名で登場されている。

ちなみに、銀座清月堂は、今は、Lintaroという名前に変わって、
銀座にあるよう。
こちらも、筆者はいったことはない。)

このチューボーですよ!、で、ポークジンジャー、と、いっていたのである。

普通の生姜焼きと違うのは、肉が豚ロース“スライス”ではなく、
とんかつ用のロース厚切りで、あること、であろうか。

この厚切り、というのが、なかなかうまそうである。
先週から食べたかったのであるが、昨日の夜、酔っ払って、
作ろうと思い、肉とキャベツを買いに出たのだが、
食べ過ぎ、で、あることに気が付き、やめた、のであった。

まずは、キャベツの千切り。
切って、水を張ったボールに放しておく。

ソース。

にんにく、しょうが、玉ねぎを粗めのみじん切りに切る。
変わっているのは、しょうがを皮ごと切ること。
これは初めてである。
(レシピには、にんじんとあるが、切れていて割愛。)

これを、ミキサーに入れ、みりん(これも切れていて、酒で代用)
しょうゆ、砂糖、水を入れ、回す。

少し、形を残すくらいで止める。
とくに根拠はないが、なんとなくその方がいいかな?と、
思ったからである。

これを、火にかけ、軽く沸騰させて、火を止める。

あ。

ここで、レシピを見直して、気が付いた。
砂糖は鍋に入れてから、しょうゆは、煮立ったら入れる、
で、あった。

まあ、よいか。

次、厚切りのロース、二枚。
とんかつの要領で、筋を切る。

素人には、この筋を切る、という作業が、よくわからない。
いや、作業内容自体は、わかるのだが、食べたときに、
どれだけ効果を発揮しているのかが、わからない。
表面だけ、包丁の歯を入れているだけであるが
これで、いいのだろうか。

両面、塩を振る。
そして、両面、小麦粉もふる。
これも、筆者のいつもの生姜焼きではやらない。

このへんで、水にさらしたキャベツをざるに上げておく。

さて、肉を焼く、わけである。

今日は、せっかくの洋食メニューであるから、
鉄のフライパンでやってみよう。

熱し、ラードを敷く。
肉を投入。
強火で、片面狐色まで。

狐色になったら、ひっくり返し、ふたをする。
弱火で1分半とあるが、フライパンがかなり熱くなって
煙も出始めているので、焦げそう。
火を止め、余熱、に、する。

ふたを開ける。
焦げ目はよい感じに付いている。
菜箸を刺して、焼け具合を見る。
透きとおった脂が出てくれば、OK。

OK。

酒を入れ、フランベ。

たれを再加熱し、フライパンに加える。
気持ち煮詰め、終了。

盛り付け。
キャベツを盛り、肉を並べ、たれをさらに上からかける。

完成。


なかなか、よい感じ、で、ある。
第一食からであるが、だめである。ビール。
これは、ビール以外に、なかろう。

食べてみる。

まあ、豚の生姜焼き、で、ある。
もともと、豚の生姜焼きは、うまい。
今日のものは、びっくりするほど違う、と、いうことはない。
肉が厚い、小麦粉をふった、しょうがの皮をむかなかった、
ぐらいが、違い。
しょうがの効果は、微妙であるが、香ばしいというのか、
しょうが、らしい味が濃くなるようである。
肉が厚いのは、食べ応えが増す。
小麦粉の効果は、、?、理屈では、旨みをとじ込める、
というようなことになるのだろうが、実感としては、
よくわからない。

ベースが高いので、上乗せ分が少ない、ということなのだが、
かなりうまいことは間違いない。

また、このしょうがじょうゆで食う、キャベツも
格別に、うまい。

別段、特別なことをしなくとも、
豚の生姜焼きは、うまい。
なぜであろうか。
豚肉にしょうがじょうゆ。
まったくシンプルな、料理とも呼べないような、
メニューで、分析も考察もないような気がする。

しょうがじょうゆ、というものがうまいのか、というと
必ずしも、そうではない。
しょうがじょうゆだけをなめる人はいないし、
なにに付けてもうまいのかといえば、それも違う。
しょうがじょうゆは、焼き茄子、湯豆腐、冷奴、、
他になにかあったっけ。
あるのだろうが、思い浮かばない。
ともあれ、なんにでも合うわけではない。

おそらく、豚肉の肉の味と、脂の味、
これらと、しょうがじょうゆの組み合わせ。
この相性、が、抜群なのであろう。

簡単で、滅法うまい。
ビールにも合うし、飯でもよい。

豚生姜焼き、ポークジンジャー。
偉大な料理かもしれない。




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