断腸亭料理日記2008

浅草六区・天ぷら・天藤

1月26日(土)第二食

さて、土曜日。
第一食は、飯を炊いて、味噌汁を作り、鮭を焼いて、食う。

午後、しばらくさぼっていた稽古がてら、六区方面に出る。
一応の目的地は、天藤という天ぷらや。

拙亭から、六区までは、15分程度で着いてしまう。
噺が、20分ちょいあるので、西浅草の人通りの少ない裏路地を選んで、
少し遠回りする。

言問通りと国際通りの交差点までいって、ひさご通りへまわり、
ウインズ(JRAの場外馬券売場)の東側へ出て、真っ直ぐに南下。
もつ焼きなどの安い飲み屋が軒を連ねる通りを抜け、
浅草演芸ホールから来る路地との角。
(初夏、小さな植木市の店が出る通りである。)

ここが天藤。
テンフジ、ではなく、テントウ、というらしい。
むろんこの前はなん度も通っているが、
入ってみるのは初めて。

人に聞いてきてみた。
ある程度、有名な店らしいのだが、筆者は知らなかった。

ここ、六区という言い方は、むろん今はしない。
今は、浅草二丁目。

明治になり、浅草寺を含めて、仲見世、西側のこのあたり、それから、
奥山といわれていた、浅草寺の西北のあたりなど一帯が、
東京府によって、浅草公園として、指定された。

その浅草公園は、一区浅草寺本堂の周囲、二区仲見世、三区伝法院、
四区ひょうたん池(今のウインズとその東側あたり)、
五区奥山(花やしきあたり)、六区、七区浅草寺の東北側、と、
七区まであった。

六区は、南側は今のロックス。
北側は、ひさご通りの入り口まで。
西は国際通りまで。
東側の境は、北は、ウインズの西まで。
南側では、東にふくらみ、伝法院通り、浅草公会堂
(元の浅草区役所)の西側までであったようだ。

六区の歴史について、触れ始めると、限りないことになってしまう。

古く明治の頃は、六区といえば、パノラマ、といって、
子供には随分人気のものがあったようだ。
今でいう、ジオラマ、のようなもののようだが、
日清戦争の戦場の様子、であるとかを、模型で再現したもの。
このパノラマは上野公園にもあったらしいが、
人気は浅草の方が上であったという。
これが、ちょうど、今のロックスの場所。

そして、落語、講談、漫才、浪曲、浪花節、安来節等々
いわゆる、寄席演芸の類。
エノケン、ロッパ、などが活躍した、浅草オペラ。
それから、レビュー。
SKD、松竹歌劇団、は国際通りを渡った向こう側にあった、
国際劇場が本拠であったが、それ以外にも、
エロ・レビューというような言い方もあったようで、
ちょっと、いかがわしいものまで、様々なものがあったようである。
(荷風先生も通ったストリップは戦後で、ビートたけしも出ていた、
有名なフランス座(最近、演芸場に衣替え。)。ロック座は
今でも健在。)

六区の全盛期は、大正から、昭和。
戦争をはさんで、昭和30年代くらいまでであったのだろうか。

今は、ご存知の通り。
映画館や、演芸場、芝居小屋も数も数えるほど。

それでも、土日には、ウインズの客もあり、また、
最近は、TXつくばエクスプレスの浅草駅が
こちら側にできたこともあるのであろう、そこそこの
賑わいを見せてはいる。

さて、天藤。

狭い、と、聞かされていたが、入ると、カウンターに、小上がりもあり、
広い、とはいえないが、そこそこ客数は入るのであろう。

3時過ぎ、お客は、小上がりに若いカップルが一組だけ。

カウンターに座る。

店は、年配のご主人と女将さん二人。
無口だが、上品というのか、温和というのか、、
ソフトな感じの二人、で、ある。

メニューは、天丼や天ぷら定食。
いわゆる、下町の天ぷらや、で、ある。

お酒、お燗と、天ぷら定食、¥1750、をもらう。


いんげん、蓮根、きす、海老三本、小柱のかき揚げ。

食べてみると、ちょっと、びっくり。
とても、衣がさっくりとしている上に、
なにか味も付いているように思われる。

さくさくで、香ばしく、かなりうまい。

一合呑んで、舌の火傷しそうな、熱いなめこ汁で
飯を食う。

うまかった。

値段は浅草も、このあたりの相場、で、あろう。
決して、安くはないが、十分に満足である。






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