断腸亭料理日記2008

里芋とねぎのふくめ煮

1月28日(月)夜

相変わらず、寒い日が続いている。

コートの襟を立てて、マフラーをし、手袋をし、
牛込市谷のオフィスを出て、大江戸線、牛込神楽坂の駅へ向かう
帰り道。

20時前。

寒い。

なにを食べよう。
温かいもの。それも、煮もの。

どうであろうか。
里芋を煮ようか。

里芋といえば、池波レシピ、里芋とねぎのふくめ煮。

これは、鬼平犯科帳。
「土蜘蛛の金五郎」。文庫では、11巻。

三ノ輪の[どんぶり屋]。
定食が七文で、お話としては、いわくのある、飯や、
なのである。
平蔵は、よごれた浪人に身をやつして、その店に入り、
「里芋とねぎのふくめ煮」と味噌汁と大根の切り漬け、
どんぶり飯の、定食を食う、というもの。

三ノ輪という場所は、むろん今の三ノ輪ではない。
今は、昭和通りが日光街道に変わり、千住大橋にかかる手前。
江戸の頃は、三ノ輪から、小千住、今の南千住へ向かう、
街道沿い。
だが、一つ入ると、すぐに田んぼ。

そんな場所である。

正確にいうと、江戸の頃の、奥州・日光街道の本道は、
浅草から北上し、小千住(南千住)に向かう道であるが、
鬼平の頃には、こちらも街道として、栄えていた。

街道であるから、往来の人も多い。
胡散臭い者も含めて、様々な人が出入りするには、
絶好の場所ではある。

そこで出てくる、「里芋とねぎのふくめ煮」。
まあ、どちらも、どこにでもある、
まったくなんでもない野菜であるが、
これが、実にうまそうに書かれている。

作品を読んでから、なん度も作っているが、
これは、飽きずに、いつも、うまい。

ねぎはあるので、里芋をスーパーで買って、帰宅。

まずは、里芋を、金だわしでごしごしと洗う。
泥とともに、表面の皮も取ってしまう。

時間があれば、丸ごとでもよいのだが、
早く食べたいので、1/3程度に切る。

鍋に切った里芋を入れ、
水、しょうゆ、酒で、ヒタヒタにする。
砂糖は入れない。

煮立てて、アルミホイルで、落としぶた。

柔らかくなるまで、弱火で煮込む。
10分程度であろうか。
そこまではかからないか。

串を刺して、煮え具合をみる。
よいだろう。

ここで、ぶつぶつと五分に切った、ねぎを入れる。
五分は、一寸の半分で、1.5cmほど。

里芋と同時に煮ないのは、むろん、煮える時間が違うから。
最初からねぎを入れてしまうと、里芋が柔らかくなる頃には
ねぎは、形がなくなってしまう。

ねぎを入れ、柔らかくなれば、終了。

今日は火鉢に火は入れていない。
時間がなければ、そうそう毎日は炭は熾せない。
レンジで、燗をつける。
(レンジで燗をうまくつける方法)

里芋を盛り付ける。


ねぎは煮過ぎないが、この程度は、火が通った方がよいだろう。

こんなものであるから、時間がたってはだめ。
煮えたら熱いうちに、食べなければいけない。

それぞれ、どうということはないものなのだが、
ねぎと、里芋が、実にうまい。

こんなもので、辛口の燗酒を呑むのが、
本当の幸せ、と、いうことではなかろうか。




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