断腸亭料理日記2008

sake bar大枡〜浅草考察その1

7月8日(火)夜

仕事帰り、遅い時間になってしまった。

なんとなく、外で呑みたくなり、
浅草雷門の「sake bar 大枡」に回る。

なん回か、きたことはあったのだが、
この日記に書くのは初めてである。

雷門に向かって、右脇の路地を観音様側に入り、
すぐの右側。

前に一度書いた、おでんや、ひょうたんなべの隣、である。

大枡というのは、浅草でも、千束通りにある酒屋。
そこがやっている、日本酒を中心にした、
sake bar というもの。

置いている日本酒の数も多い。
そこで、小売もしているが、むろん、
呑むことが主で、立ち呑み、ではないが、
背の高いスツール。
コンクリート打ちっぱなしの壁に、
カウンター。

しかし、小洒落過ぎてはいない、、。
このあたりが、浅草っぽい、かもしれぬ。

キャッシュ・オン・デリバリーではないが、
あらかじめ、¥100単位のチケットを買っておき、
注文したものが、きたら、それと交換する、
というシステム。

また、つまみ。
これは、そこそこ、種類は多い。
酒屋がやっているところだから、
乾きものばかりかというと、そうでもなく、
刺身のようなものはなかったと思うが、
揚げものやら、ご飯ものもあり、値段も
比較的手ごろ。

なんとなく、想像ができようか。

呑んだのは、尾瀬の地ビールと
静岡の開運、1合ほど。

つまみは、燻製たまごと、メンチカツ。

さてさて、そんな感じで、ちょいとつまんで
呑んで、帰る、というところであった。

この店について考えていたら、なんとなく、
今の普通の、浅草、って、どんなところなのだろう
というところに、考えが及んでいった。

このあたりについて、今日は書いてみたい。

まず、皆さんは、普通、浅草というところを
どういう風に、とらえているだろうか。

外人さんやら、地方から東京見物に来た方々が
回る、東京の代表的な観光スポット。

これは、たとえば、古い寺や神社などがあり、
(実際にはそうでもないのだが)
京都のような、伝統的日本的なものを
代表するところ。
そんなイメージであろうか。

あるいは、明治から、大正、そして、戦後昭和30年代までで
あろうか、東京一の繁華街、歓楽街。映画、演劇、
寄席、演芸、レビュー、オペラ、、などが花開き、
東京の、あるいは日本の、大衆舞台芸術の中心であった頃の浅草
を、懐かしんで(?)、くる年配の方、
などもあるかもしれない。

または、東京下町の代表。

(この「下町」には、うるさいことをいうと注意が必要である。
私が考える下町の定義は、長くなるのでここでは
触れないが、(下町の定義
今いう、下町、とは、一般に思われている、
「きれいな下町」と、いうところである。)

花火、ほうずき市、お酉さま、羽子板市、、。
三社祭、などもここに含まれるかもしれない。
うなぎ、どぜう、そば、など老舗の和食系くいものや。

こうしたものを、求めてくる人も、少なくなかろう。

どうであろうか、なんとなく、一般に浅草というと、
この三つくらいのイメージ、に分けられるような気がする。

私がこの日記で浅草を取り上げているものも、
よくよく振り返ってみると、
この三つに含まれるものが、多い。

しかし、実際の今の浅草は、それだけではない。

先ほど、sake bar 大枡は、浅草っぽい、と書いた。
このあたりが、実は今回の考察の糸口のように思うのである。

なん回か、行っているのに、この日記には
この店を書いていなかった、理由を考えてみたのである。

ある種、無意識のうちに書かなかった、
のでもあるが、先に三つ挙げた、一般に思われている
浅草のイメージではないから。

普通の浅草、というのであろうか。
ここ浅草界隈に住んでいたり、働いていたり、
普通の日に、普通に浅草にいる、比較的若め、の人々にとっての
浅草、とでもいったらよいのか。
そんな浅草も、ある。
そんな浅草も、浅草らしい、浅草なのではないか、
という仮説。

つまり、現代の浅草、とは?
議論は、そんなところにたどり着く。

といったところで、長くなるので、続きは明日。



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