断腸亭料理日記2008

餡かけ豆腐

3月18日(火)夜

夜、8時頃、オフィスを出る。
今日は、餡かけ豆腐(あんかけ豆腐)にしようかと思った。

夕方、マックのチーズバーガーを食ってしまったので
軽いものにしようか、ということである。

牛込神楽坂駅そばにある、スーパーに置いてある、
根岸・笹乃雪の豆腐でやってみては、と、思ったのである。

きてみると、置いていない。
売り切れ、で、あろうか、残念。
今までは、そのまま奴で食べていたが、
餡かけでもうまかろう、と、思ったのである。

100円の普通の木綿にする。

それから、出汁にもする、スライスの乾燥椎茸。
最近は、安い中国産のものがたくさん出回っているが、
最近の問題で、国産のものにする。
完全に国産のものだけで、食生活を成り立てるのは
今の東京に住む我々には、不可能なことはわかってはいる。
しかし、やはり、値段が多少高くとも、できるだけ、
国産のものを食べるように心がける
ことが大事なのではなかろうか、とは思う。

さて、餡かけ豆腐。
これは、池波レシピ、で、ある。

餡かけ豆腐

これ以来、なん回か作って食べている。
当初、作ってみたときから比べると、
段々に、よりうまい、と、感じるようになってきている。
不思議なものである。

もともと、スーパーの豆腐がうまくなく、
豆腐なんて、こんなもの、と、思っていた筆者ではあった。
それでも先の根岸・笹乃雪はむろんだが、
さほど高くなくとも、うまい豆腐はある、ということを
知り、段々に豆腐に対する認識は変わってきた。

それでも、前にも書いたが、
日本酒のように原料や味に明快でわかりやすい品質基準がなく
値段と豆腐の味は必ずしも一致しなかったり、消費者として、
豆腐の表示や流通、売られ方は、まだまだ、
問題が多いのではないかと思っている。
店頭で選ぶ基準がわからないのである。

ともあれ、帰宅。

餡かけ豆腐を作る。
まあ、作る、というほどのことはない。

まずは、鍋に水を張り、スライスの乾燥椎茸を入れ、
煮立てる。

そこそこ煮出した方がよいだろう。
弱火。

色と香りが出てきたところで、
鰹削り節を、例によって、茶漉し用の網に入れて、
鍋に入れる。
弱火で数分。
(これは実に便利である。複数のものを同時に煮ながら
出汁が取れるのである。)

この間に、豆腐を温める。

鍋で温めると、皿に移す際に、崩しやすい。
どうしようか。

土鍋で温めればどうだろうか。
これならば、温めてそのまま食べられる。
(実はこれ、梅安の彦次郎式、で、ある。)

土鍋に豆腐を入れ、水を入れ、温める。

さて、出汁。
鰹節の入った網を引き上げる。

しょうゆ、酒を入れ、味付け。

水溶き片栗粉を作り、火を付けたまま、
溶き入れる。
中華でもそうだが、片栗粉を入れる時には
弱火で付けたまま、かつ、かき混ぜながらは、
鉄則である。

味見。OK。

温まった土鍋の豆腐。
(これは、煮立て過ぎてはいけない、
スが入ってしまう。)

豆腐が崩れぬように、湯を捨て、かわりに餡を
まわし入れる。

できた。


レンゲで、餡もすくいながら、食う。

椎茸というのは本当によい出汁が出る。
鰹削り節と合わせて、かなりうまい。

まったくもって、なんでもない、具は出汁兼用の
椎茸だけの、餡かけ豆腐。

いや、これでなくては、だめ、なのである。

なにが入っている、かにが入っている、というのではなく
こんななんでもない餡かけ豆腐こそがいい。

清水門外の役宅の外の濠端に出る茶飯売りが出し、

大次郎の旅立ちを見送りにきた秋山小兵衛が
高輪〔七軒茶屋〕の休み茶屋で呑みながら食い、

また、彦次郎が一人きりの浅草塩入土手下の住まいで土鍋で作る、

そんなものらしく思われるではないか。




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