断腸亭料理日記2008

浅草千束・路麺・ねぎどん

3月8日(土)第一食

さて、土曜日。

昨日は、とある重要なミーティングが終わり、
その打ち上げを兼ね、また、会社の同僚と、外で、
したたか、呑んでしまった。

もともと、誘われれば、滅多なことでは、断らないのが
筆者であるが、頻度ではなく、量が増えている。
昨日の場合は、別段、愚痴をいうような、悪い酒ではなかった。
今、平常以上に、ストレスが溜まっていることは確かだが、
それでも、最近は、いわゆる、オダを上げるというような呑み方は
あまりしないようになったのではないか、とは思っている。
(そういう意味では、楽しい酒ではあった。)

しかし、そうはいっても、アル中の専門医に言わせれば、
毎日呑んでいる、というだけで、依存症である、
というようなことも聞いたことがある。

したたか呑んだが、12時過ぎには寝てしまったので、
平常の時間に起きた。

なにを食べようか、と考えて、久しぶりに、千束の路麺、ねぎどん
が、思い浮かんだ。

知らない方もいらっしゃるかもしれぬので、
少し説明をしてみよう。

路麺そのものについては、最近も小島町のアズマの回
書いたので、よいだろう。

筆者が、いったことのある路麺で、
ここは、よい、というリストが、このページ

中でも、ねぎどんは、最も、拙亭に近いところにある
路麺ということになる。

場所は、浅草、千束一丁目。
最寄の駅でいえば、TXの浅草駅であろう。
国際通りを北上bし、言問通りを渡り、
左に元祖恵比寿ラーメンを見て、千束五差路。
道なりに左斜めにいき、一つ目の信号を左に入って左側。

場所としては、やはり、近くになにがあるわけでなく、
駅からも近くなく、国際通りに面しているわけでもない、
半端なところ。

この店が、こんなところにあるのは、以前には、このすぐ近所に
製麺所があり、そこと経営が同じであったから。
製麺所の経営であるから、そばも、うどんも、
生麺を注文があってから、茹でる形であった。
この、生麺茹でたては同じなのだが、
今は、製麺所の方が、商売をやめてしまったので、
生麺を他から買っている。

また、ここは天ぷらもその場で揚げる。
ご飯ものもあり、路麺というよりは、
定食や、に近いかも知れぬ。
(もっとも、多くの路麺には、ご飯ものもあるので
これだけでは定食やとはいえぬのだが。)

また、ここは作っているのが、おかあさん
というのか、お姐さんというのか、いずれにしても女性で、
それも商売、商売しておらず、近所のおかあさんという感じで、
妙に手作り感がある、というのも特徴かもしれない。

8時過ぎ、このところだいぶ暖かくなったが、
それでも朝は寒いので、車で出る。

左衛門橋通りから、浅草通りに出て、菊谷橋交差点を越え、
田原町を左折、国際通りを北上。
言問通り、五差路を過ぎ、路地に入り、店のちょい先に
停めてしまう。

店に入り、券売機。
久しぶりであるが、食べるものは、同じ。
桜海老天のそば。
別段、セットのようなものではないので、
かけそばの券と、桜海老天の券を買う。

目の前のカウンターに座る。
久しぶりである。
一人のお姐さんは知った顔。

先客は、3人ほど。
座っている間にも、お客は切れずに、入ってくる。

待つほどもなく、できあがる。

桜海老天と、かけそば。


おろしを入れるようなこともあるが、今日は、これだけ。

やはり、載せて、食う。


桜海老天というのは、他の路麺では、ありそうだが、ない。
そこが選んでいる理由である。

桜海老に、玉ねぎのみじん切りも入り、
さっくり、からっと、揚げられている。

玉ねぎのみじん切りがアクセントであり、
うまさのポイント。

そばは、先にも書いたが、生麺茹で立て。
つゆは、下町の普通の濃さ。

この一杯がうまいのであるが、
ここのよさは、それだけでは、ない。
なにか、妙に、落ち着ける雰囲気を持っている。
なんであろうか。

お姐さんやら、おかあさん、の醸し出す雰囲気。
先ほど、商売、商売していない、と、書いたが、
別段、味に不都合はないのだが、なんとなく素人っぽいというのか、
家庭的というのか、そんな雰囲気。
だが、家庭的とはいっても、押し付けがましかったり、
うるさい感じでもなく、適度に距離感のある感じ。

路麺というと、やはり慌ただしく頼んで、
すぐ出てきて、さっと食って、店を出る。
これが普通であろう。
従って、どこも、ピッリと張った空気が流れている。
ここは、それが少ないのかもしれない。
(だからといって、遅い、のではないが。)

食い終わり、店を出る。

うまかった、うまかった。

浅草千束、路麺、ねぎどん。
やはり、稀有な、よい路麺、で、あろう。


TEL 03-3873-0738
〒111-0031 東京都台東区千束1丁目17−9




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