断腸亭料理日記2009

新橋烏森・鮨処・しみづ その2

今日は、昨日の続き。
新橋烏森の鮨や、しみづ。

烏森(からすもり)神社そばの裏路地。
間口一間ほどの店の前。

2月にしては、4月下旬という暖かい陽気に
開け放たれた格子の前に立つ。


**********

入ると、一階はカウンターのみ。
8人ぐらいが掛けられるほど。
(二階に座敷もあるらしいが。)

中は、親方と若い衆二人。

名前をいって、座る。

先客は、奥に三人組。
白木のきれいに削り込まれたカウンターの
ちょうど真ん中、親方の前。

親方は、情報によれば、30代とまだ若いらしい。
ただし、見た感じは、後半、40に近いかもしれぬ。
(と、弟子筋の祇園のまつもとの、ご主人は、やはり、
30前半ではあろう。その若さであの店は、たいしたもの、
で、ある。)

ともあれ。
ガタイのいい、短髪で四角い顔。
わりあい目付きは鋭い。


あ。

この顔、見たことがある。
この前、NHKの「プロフェッショナル」であったか、
築地を扱った番組に、水谷の親方と一緒に、
ちらりと、顔が映っていた、人、だ。
(実は、今日は、この水谷にいってみようと思って、
TELをしたのだが、さすがに、その日、では一杯であった。)

瓶ビールをもらう。

どうします?との親方の問いに、
おまかせで、少し、つまみをもらうことにする。

やはり、初めてのところは、少し緊張する。
(従って、今日は写真はなし、で。)

お通しは、小鉢に菜花のおひたし。

付け台に四角い皿が置かれ、まずは、
たこ、二切れ。

塩も添えられている。
例の、江戸前の仕事。

うまい。

つまみ、二品目。

平目。

身を3切れほどと、縁側を添えてくれた。

平目というと、薄く切って、ぽん酢しょうゆで、
というのが、比較的多いが、ここは厚め。
塩でもいいですが、普通にしょうゆ、ですかね。
と、親方。

と、ここで気が付いたのだが、ここの親方は
ねたを、外に出してはいない。

よくあるガラスの冷蔵ケースも、他の
“江戸前の仕事を継承している”鮨や同様、ここにもない。
しかし浅草駒形の松波観音裏の一新
それから、祇園のまつもとも、ねたは、確か、見えるところに
あらかじめ切り(ざるに載せて)置いていた。

ここ、しみづは、俎板の脇に無造作にアルミのねた箱を
重ねており、そこから逐次出して切っている。

見えるところにざるに載せて、というのは、
もしかすると、ある種、客へのサービス、ということも
あるのかもしれない。

冷蔵庫から出してすぐに切って、にぎると
ねたによっては、温度が低すぎて、今一つ。
あるいは、冷たいと結露ということか、
水分も多い。乾いてしまってはむろんうまくなかろうが、
ねたによっては、常温で表面の水気は少なめの方が
うまいものも、あるようには思われる。

さて、次。

子持ちやりいか。

小鉢に入り、ボイルした、やりいか。
エンペラ付きの小ぶりの赤い胴を縦に半分に切ってある。
下足もある。

子持ちのやりいか、と、いうのは、初めて、で、あろうか。
玉子は、胴に詰まっている。
ちょうど、先日の、いいだこ、の、よう。

ツメ(例の、穴子などにもかける甘いたれ)、が
かけられている。

これは、うまい。

実のところ、やりいかそのもの、も、さることながら、
妙なところをほめるようだが、このたれ、が、うまい。
香りが、とてもよい。
新鮮なよい匂いがする。
この甘いたれ、ツメ、なんというものはどこでも
いつでも同じような気もするが、どうして、そうでもない。

さて。

お客は、私達の右側、あいていた3席も、次々に埋まっていく。

私達が6時45分から、と、微妙にスタート時間を刻まれたのは、
やはり、時間差を付けるためであったようである。
後からきたお客、それぞれ一人の男性客、も
微妙に時間がずれていた。

これ、なかなか、おもしろい。

観音裏の一新などは、親方一人で裏方は、女性一人。
席数ももう少し多い。
これはとても、インターバルが長くなる。
(それはそれで、慣れれば、わるくないのだが。)

ここ、しみづは、お客の時間差を付けた上で、
若い衆が二人。
よいタイミングで出てくる。

真ん中で握る親方の、左右に二人の若い衆。
右側に、コンロがあり、焼きものやら、海老やら、
火を通すものなどの下拵えをする、若い衆。
左側は、お茶を入れたり、勘定をしたりする若い衆。

そういえば、この配置は祇園まつもとも、同じであった。

主たるアシスタントである右側の若い衆に特に、
むろん大きな声ではないが、
時折、親方のきびしい声が飛ぶ。

この親方は、仏頂面、というわけではむろんないが、
比較的、無口か。
なにか聞けば、答えてくれるが、余計なことは
喋らない。
わりあいに、きびしい雰囲気を持たれているように見える。

さて、次。

鯖。

やはり、比較的無造作に置かれる。
(軽く炙っていた、かも、、。)
〆具合は浅く、うまい。

ここまでで、一応、つまみは終了。

にぎりでよろしいでしょうか、と親方。
はい。お願いします。

ビールから、燗酒に代えている。





と、いったところで、今日はここまで。
明日は、にぎり。



TEL:03-3591-5763
住所:東京都港区新橋2丁目15−13s





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