断腸亭料理日記2009

ほっき貝

1月19日(土)夜

午後、買い物に出る。
またまた、炭を買おうというので、車。

暮れに、二袋ほど買ったのだが、
だいぶ少なくなってきた。

ついでに、いつものアメ横の魚やを、のぞいてみよう。

昭和通りに停めて、大急ぎで、アメ横まで走る。

いつものアメ横ビルの魚やを見るが、いま一つ。
河岸が休みか、時化(しけ)、で、あろうか。
魚種も少ないようである。

このアメ横ビルの魚やと、もう一軒、
鮮魚を扱っている店はある。

しばらく、御徒町方面へいって左側。
JRの高架下、で、ある。

ここも大差がないが、、

ん?

目にとまったのは、ほっき。

貝、で、ある。
四つで、500円。

目にとまるものが、貝だけ、というのは
やはりぱっとしないが、どんなものか、
ためしに、買ってみようか。

夜、調理にかかる。


黒い貝で、それぞれ、10cm程度はある。
大きいものである。

さて、まずは、これを開けなければならない。
例によって、カイムキ、の登場。


カイムキ、とは、貝を開ける刃物であるが、別段
特別なものではない。

刃は先の方にしかついておらず、身が厚めで、
頑丈にできているナイフ、というところであろうか。

見た目通り、貝は大きいが、浅利や蛤同様の
二枚貝で、貝柱のある場所も同じ。
貝の端っこの二箇所。

貝あけを、隙間に突っ込み、この貝柱を探り当て、
貝殻から、切り離す。

二箇所。
貝殻から、貝柱が外れれば、一先ず、貝は開く。
下側の貝柱も貝から外す。

さて。
ここからである。
どうさばくのか、、

ちょっと、さばき方、というのを調べてみる。

苦そうな黒いはらわたなどを取り、
食べるのは、ひも、貝柱、と、貝の身(足)の部分のよう。

身の部分は鮨やでみるものは、白い部分と黒っぽい部分があるが、
これはその黒い部分の色が少し、淡いようである。

調べてみると、ほっき貝(正しくは、ウバガイというらしい)
というのは、北海道から南、三陸、常磐までで獲れるらしい。
色が黒いのは北海道のもので、淡いのは、
常磐、福島あたりのものらしい。
ついでだが、北海道のものの方がやはり、値が高く
常磐の方が安いとのこと。

おそらく、今日買ったものは、常磐あたりのもの
であろう。

この身の部分は、鮨やで見るのは、開いてある。
開いてみると、中は毛のような、凸凹した細かな突起がある。
これは取るようである。

手ではなかなか取りずらいので、包丁でしごいて、取ってみる、

けっこう面倒くさいもの、で、ある。

開けるのに、力もいるし、細かい作業。
四つやったら、くたくた。

なにか、ラッコになったような気分、で、ある。
(ラッコが食べているのが、これかどうかはわからないが、
こんな貝を、よく腹の上でコツコツと、石で叩いて
食べているではないか。)

鮨やで出るものは、一般には軽く湯通し、してあるらしい。
また、湯通しした方が、あまみが増す、ともいう。

せっかく、生を自分で開けたのだから、
生で食べてみようか。
この季節である、まさか、当たる、ということも
なかろう。まあ当たったら、その時はその時。
あきらめるしかあるまい。

さばいた身、ひも、貝柱を塩水でよく洗う。

よく水分を切って、さらにペーパータオルでふき取り、
盛り付け。
近所の豆腐屋で買った、うの花の煮たの、も、出す。


鉄瓶で燗をつけて、今日は、酒。

わさびじょうゆで、食べてみる。

なかなか、うまいじゃないか。
柔らかいし、あまみもある。

鮨ねたとすれば、赤貝、みる貝、青柳、鳥貝、平貝。
このあたりが、昔からの江戸前ねた、であろうか。

今日のほっき、つぶ貝、ほたてなどは、
北海道を中心に新しく、鮨ねたになったものだろう。

ほっきは、こうして刺身食べる以外にも、
軽く焼いて、バターを落とす、というのも
うまい、らしい。
また、飯に炊き込む、ほっき飯というのも
常磐では名物と、いう。

今日の、一つ、120円という値段は
決して、高くはないのだろうが、
バター焼きや、炊き込み御飯にする値段ではないだろう。
産地で、たくさん獲れて、する料理法、と、いうことか。

ともあれ。

たまには、貝を生から開けてみるというのも、
おもしろいものである。


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