断腸亭料理日記2009

桜鱒(サクラマス)

1月4日(日)第三食

さて。

御徒町、昭和通り沿いのQBで髪を切って、
吉池にまわる。

きてみると、まだ正月なのか、魚は乏しい。
(初セリは、五日であった。)

ぶらぶら売り場を見てまわると、サクラマス、なるものに
目がとまった。

小さな、鮭のような魚の開き、で、ある。

プライスカードのコピーに、
「まぼろしのさくらます」、などと書かれている。

なんであろうか。
聞いたことがあるような気もする名前だが、
今一つ、ピンとこない。
また、希少な魚なのだろうか。

500円ならば、よいか、買ってみよう。

吉池を出て、アメ横も回ってみる。
人出はすごいが、魚やには、ここも、見るものはない。

浅草通りに回り、今年初めてでもあるので、下谷神社にお参りし、
帰宅。

さて。

サクラマスの開き、を、開けてみる。

大きさは30cmちょいか。
普通の鮭や鱒よりは随分と小さい。
子供なのか、というくらい。
色は、荒巻鮭などと同じような色であろうか。
吉池の自家製。
雄武町と書いてある。

ちょっと、調べてみる。

雄武町とは、北海道。
オホーツク海に面しているところのようである。

雄武は、おうむ、と、読むようである。

さらに調べてみると、、、

ヤマメ、アマゴ、サツキマス、サクラマス。
これらは種としては同じ魚、という。

釣り、特に渓流釣りをやられる方はご存じなのだろうか。
私は知らなかった。

サクラマスはサケ科の魚で、鮭と同じように川で生まれて
海を回遊するものが、東日本ではサクラマス、西日本では
サツキマス。そして、種としては同じなのだが、
海へ降りないで、渓流で一生を終わるのを東日本ではヤマメ、
西日本ではアマゴ。
こういうことらしい。
生息地域は北海道、オホーツク海から、台湾にまでおよぶらしい。

海へ降りるものは、50cm〜70cmにまでなるが、
川でくらすものは、30cm程度まで。

どっちにしても、美味、とのこと。

ちなみに、富山のますのすしは、
海へ降りる、サクラマス、であるという。

はは〜。

知らなかった。

私は東日本の人間なので、ヤマメという魚は
聞いたことはある。
イワナとセットで渓流の魚で、確かな記憶はないが、
山の方で一度くらいは、食べたことがあったかもしれない。

同じ種の魚なのだが、海に降りるものと
川だけで一生を終わるものとが、同時にあるということ。
不思議なものである。

そういえば、渓流釣りで思い出した。
子供の頃、釣りキチ三平というマンガがあったが、
その中で、そんな説明があったような記憶もある。

本来は、海に降りる魚が、火山の噴火、崖崩れ、と
いうようなことで、川に閉じ込められ、川だけで
暮らすようになった、というのがヤマメ?

話をよく覚えておらず、すべてのヤマメ・アマゴがそういう理由で、
海に降りなくなった、ということは、普通に考えると
あり得ないような気もする。
ほとんどの川は、海までつながって流れているように
思うし、あるいは、そういう閉じ込められた魚の子孫が
他の川へ広がっていき、ヤマメやアマゴと呼ばれるようになった、
ということもないだろう。

なぜであろうか、同じ種なのに、海へいくものと、
川に留まるものがいる、というのは。

同じ川でも、両方いるのだろうか。
(なんらか、研究がされているような気もするが。)

疑問は尽きない。

今日買ったのは、どっちなのであろうか。
30cm程度はあるので、ヤマメ、ではなく、
海に降りる、サツキマスの少し小さなもの、
なのであろう。

ともあれ。
とにかく、焼いてみる。


なるほど、けっこうな脂、で、ある。

食べてみる。

やはり、薄塩の塩鮭に近いが、
それよりは、やはり、うまみが濃いだろう。

美味、と、書かれると、なかなか難しい問題である。

まあ、こちらの美味の基準もあるだろう。
脂のある鮭と、段違いにうまいのか、と、いわれれば、
同じ系統の味なので、そうそうびっくりはしない。

しかし、塩鮭よりは、うまいことは間違いはない。

ともあれ。
サクラマス、サツキマス、ヤマメ、アマゴ、と、
かわった魚があるものである。




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