断腸亭料理日記2009

祭半纏といわしフライ

5月10日(日)午後

午後、買い物があって。秋葉原まで、自転車で出る。
買い物とは、デジカメのSDメモリー。
安くなったものである。8Gで2000円を切っている。

歩いて行ってもむろんいいのだが、
どちらにしても、ちょいと、いけるのは、
元浅草というところに住んでいる利点、で、ある。

(余談だが、今日のSDメモリーもそうだが、最近、
TVなど大きな家電も、ちょっと変わったところで買っている。

どういう買い方かというと、まずは、価格COMで欲しい機種を
探す。最安値の店、というのは、現金振込みで宅配をする、
という売り方のところが多いようなのだが、実際のところ周辺も含めて、
秋葉原界隈に店舗があるところが多いのである。
宅配が主なので、いわゆるお客さん向けの店舗、ではなく、
事務所兼倉庫のようなところが多いのだが、ここへ直に買いに行く。
(TVのような大きいものは、車で。)
現金だが、むろん直接行っても売ってくれる。
これも、秋葉原の近所に住んでいるメリット、で、あろう。)

ともあれ。

秋葉原までくると、今日だというのは知っていたが、
神田祭。


中央通りだが、いつものアキバとは、違う風景が展開されている。
やっぱり、この風景とまわりの人々と、神輿はなんとなく
なんとなく違和感がある。

帰り道、御徒町の吉池にまわる。

見て回ると、開いたいわし、一枚、80円。

フライにでもしようか。
六枚、なんとなく、半端な数だが、買う。

ここから、帰宅、なのだが、下谷も祭。
こちらも、むろん知っており、秋葉原への行きがけにも見た。
先の神田は数町の町が一緒に担ぐ、いわゆる連合渡御、
というものだと思うが、下谷はちょうど、各町の神輿が自分の
町内で担いでところであった。


これは、東上野一丁目。
東上野一丁目は旧町ではなく、今の町。
このあたりはこういう単位で担ぐのか。
半纏が二種類見える。グループが二つに分かれているのだろう。
一つは、背中に五円玉のような図柄。
これは、おわかりになるだろうか。
(ちょっと小さくて見えずらいかもしれぬが、左側。)
稲穂なのだが、この図案は下谷の祭の半纏には多い。
本社神輿といって、町内毎の神輿ではなく、
神社の神輿があるが、これにもこの図柄は大きく
屋根にあしらわれている。

下谷神社はお稲荷さん。
銀座線の稲荷町の駅名の稲荷町は、旧町名だが、
お稲荷さんの、稲荷、で、ある。
ということで、稲穂の図柄。

毎度思うのだが、この半纏の図案、デザインというものは、
各町それぞれ、すばらしい。

この東京下町の祭半纏というものは、どこの神社の祭りでもそうだが、
各町がそれぞれ、オリジナルで、揃いのもの、で、ある。

いつ頃から町内で揃いで作るようになったのか。
明治からか、大正の頃か、よくわからないが、
戦前の写真などを見ると、既に揃いのものを着ている。

町名を図案化しているところが多いが、
皆、江戸らしい、洒落たもの。
むろんのこと、一つとして、同じものはない。
そして、カッコいい。

この下町の祭半纏、誰か、まとめている人はいないだろうか。
暇があったら、自分でやりたいくらいである。
地元の鳥越から、三社、下谷、、これだけでも
写真に撮ってまとめるだけでも、意味がありそうである。

試みに、今、手元にある写真の中で、
近所の町の半纏を並べてみよう。

私の住む、七軒町


色は薄い浅葱(あさぎ)といったらよいのか。
ちょっとよろけた、白抜きで「七軒」を四角くデザインしている。

お隣、永住。

渋い濃い藍に丸く同じくよろけた縁で「永住」。
(ちなみに、永住は池波先生の育たれた町内である。)

同じく、三筋北。


太い墨の勢いのある江戸文字で右側に三筋、左に大きく北。
色は濃い黄緑。

栄久町。


千社札のような四角い中に勘亭流のような江戸文字で縦に「栄久」。
地には粋な小紋。(なんの模様であったのかは、忘れてしまった。)
色は赤系のものと青系のものがあるよう。あせているだけか、
作った時代で違うのか。

阿部川町。


この町会は毎年色違いで新調していた記憶がある。
これは昨年(08年)。文字は勘亭流風の江戸文字。右に阿部、左に川。

ともあれ。

皆、鳥越祭、元浅草界隈の半纏である。

阿部川町のように、毎年新調し、色が変わるところもあるが、
基本的にはどこの町内も同じものを使っている。
どのくらいの年月、これらのデザインが使われているのだろうか。
例外はあるのかもしれないが、おそらく、戦争以前には
さかのぼるところも多いのではなかろうか。
祭の間は、その町のアイデンティティー、
統合の象徴のようなもの、その町に住む、
ある種の誇りを持って、この半纏を着る。
そういう気持ちと、意味も込めて、
揃いの祭半纏は“よい”のである。

そうとうな余談になってしまったが、
今年も、祭の季節の始った、界隈、で、ある。

いわし、で、あった。
吉池で開いたいわしを六枚買い、祭の下谷町内を抜けて、
スタコラ帰ってきた。

そういえば、この前、串かつ、を、揚げたばかりであった。
段取りも、衣のつけ方、揚げ方も、まあ、
ほとんど、かわらない。
(詳細はご参照されたい。)

揚げ油を用意。

卵水を作り、ここに小麦粉を混ぜる。
これと、ただの小麦粉、パン粉の、三つの容器を用意。

小麦粉、卵水+小麦粉、パン粉の順でつけて、衣になる。

油を熱し、比較的高温で、カラッと揚げる。

串かつの時と同じように、一つだけ、玉ねぎも揚げる。

冷蔵庫にあった、谷中も出して、ビール。


ちょっと、小さめのいわし。

よく揚がった。

うまい、うまい。

結局、一人で六枚、全部食べてしまった。




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