断腸亭料理日記2009

鮨・神田鶴八

5月29日(金)夜

ここには、書いていなかったのだが、4月には一度きていた。
それでも、ちょっと時間があいてしまった。

神田鶴八

いや、本当は、先々週であったか、こようと思って、
TELをしたのだが、休みのようであった。

(聞いてみると、先々週の水曜日。
水曜日というのは、河岸(築地)が休みのことが
まま、あり、日曜以外で休むとなると、
水曜のことがある、と、いう。

ちなみに、築地の今年のカレンダー

東京の鮨好きは、このカレンダーを知っていると
よいかもしれない。
たとえ、店は営業していても、ちょっとねたがさびしい、
そんなことも避けられるか。)

ともあれ。

いこういこうと思いつつ、いけなかった、神田鶴八。

金曜。ウイークエンド。
今日こそは、と、午前中から思っていたのだが、
少し仕事が建て込み、夕方からさらに急ぎの資料作りも入り、、。
だが、いいや。
たとえ、今夜中やっても、1〜2時間でできる内容でもない。
土日に家でやろう。段取りだけつけて、7時半、帰る。

オフィスを出て、TELを入れてみる。

OK。店はやっているし、入れるようだ。

左内坂をトントンと降りて、都営新宿線の市ヶ谷駅へ急ぐ。
と、まあ、毎度のことだが、あえて急ぐこともないのだが、
足早になってしまうのは、不思議なもの、で、ある。

神保町を後ろから降りて、階段を上がって、出る。
神保町交差点方向に歩き、カレーやの路地を入って左側。
鶴八の四角い灯りの入った看板。
店前まできて、格子を開け、暖簾を分ける。

入り、女将さんと親方に挨拶。

先客は、奥にひと組。
鞄を置き、上着も脱いで、こちらへ、というので、
カウンターのあいている真ん中に。

瓶ビールをもらい、一息に呑む。
やっぱり、急いできた分、汗が出るし、このビールが、うまい。

親方の後ろの壁にある、ねたの木札を見る。

お。

あった、あった。

塩むし。
ついでに、あわび、と書いた札も下がっている。

ここに、きたいきたいと思っていたのは、
これ、あわび、で、ある。

先週の、浅草観音裏の、久いち、でも食べた。

ここの親方も、連休明けには、鮑が出てきますから、
楽しみにしていてください、といっていた。

鶴八のちゃんとしたあわび、塩むし、を、食べなければ、
と、思っていたのである。

ともあれ。

まずは、つまみ。

たこを切ってもらう。

ほろっとやわらかい皮とあまみのある身。
きちんとした仕事をしたたこは、やはりうまい。

にぎりに。

あわび、以外にも、ねたは、夏のもの。
白身は、かれいに、なっている。

まずは、かれいと、いか。

いかも、すみいかから、あおり、に、かわっている。

いかというのは、寿命が1年のものが、多いのだろう。
すみいかはそうで、産卵期に入ると、身がやせてだめ。
あおりいか、も、寿命は同じ、らしいが、この時期でも、
うまい。

すみいかは、ぷちっとした食感があるが、
あおりは、柔らかい。
細かい包丁目を入れるしごとが既にされているおのを
にぎって出す。あまみが口一杯に広がる。

まぐろ赤身、しまあじ。

しまあじが、うまい、
独特の香りと、ぷりっとした歯ごたえ、
あぶらもたっぷりある。

小肌。

やはり、うまい。

この前、自分で〆た話などする。

酢洗いしました?、と、親方。

先代親方の本を読み返して、首っ引きで、
作りました、と。

小肌は、なかなかうまくできた、のであるが、
鯵や鯖の方が、うまくできない。
生ぐさくなる。
そんな話をすると、やはり、鮮度、の、よう。

親方は、小肌の方がほんとうはむずかしい、という。

ここで、楽しみにしていた、あわびと、塩むし。
あわびと塩むし、と、書いたが、これは、
あわびは、生で、塩むしは、火を通したものと
両方置いてあるようである。

両方ある、というのは珍しいのではなかろうか。

そこで、両方、もらってみた。

まず、生から。
生はちょっと大きめに切り、まわりの黒い部分も
一緒ににぎって出される。

生のあわびを食べるのは、久しぶりではなかろうか。
中の白い部分は、生でも随分柔らかい。
黒い部分はコリコリとした歯ごたえ。
そして、あわび独特のあまみと香り。
生も、うまい。

そして、塩むし。

見た目は、天神下一心のもの
よりも黒い部分は少なく、白い部分にトロっと
あまいたれが塗ってある。

味は?

ん!、これは、、、。

味は、先日の久いち、のものと、大きくは違わないように思われる。

柔らかく、香りとあまみ。滋味のある味。

先日は、二系統あるのでは、と、書いたが、塩むし、
という、いい方の違いだけ、なのかもしれない。

ここの作り方は、塩むし、と、いっているが、
実際には、蒸す、のではなく、塩、酒などで、煮る、という。
そして、一度出た煮汁をじっくりともう一度、貝に戻す。

鶏皮を一緒に入れる、という話もどこかで聞いたことがある。
微妙にそれぞれの店、系統で拵えかたは違う、のであろうが
煮て、煮汁を煮含めるという、大筋は違わないのかもしれない。

鶴八には、この塩むしの時期になると、
楽しみにしてくるお客もいるという。

季節の味覚として、うまい。

次は、はしら。

軍艦巻の小柱。

これもこの前、自分でやってみた

聞いてみると、やはりここのは
北海道のもの。

この前、自分ではわからなかった、やはり
北海道のものの方が大きさの分、あまみが違う、という。
(しかし、1トレー、3000円は、高すぎる、で、あろう。)

木札には出されていないが、ありますよ、といってくれたので、
海老。

たくさん用意しないのであろう。

やはり、おぼろ、を巻いてにぎる。

ここは頭は使わないが、いつものように、よい色で
直前に茹でたものではないが、みずみずしく、うまい。

穴子をもらい、最後に、名物の太い鉄火巻。

今日も中トロもたっぷり入れて巻いてくれて、
うまい。

親方もそうとう好きなようで、落語のことなど、話し込み、
(やはり、やらないのですか、といわれてしまった。
なかなか腰が重い、今日この頃、なのでは、ある。)
お客の入れ替わりはあったが、結局、
最後の一人になってしまった。

勘定は、今日はビールに酒も一合。
13000円。


ごちそうさまでした。




神田鶴八
TEL:03-3262-0665
住所:東京都千代田区神田神保町2丁目4




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