断腸亭料理日記2009

神田餃子屋・天鴻餃子房・神保町二丁目店、と、
焼き餃子事情考察

9月11日(金)夜

餃子、リベンジ!

昨日、会社の同僚と餃子を食いに行こう、という
計画であったのだが、ドタキャンで流れ、
結果としては、新橋しみづで、鮨が食えたのは、
よかったのだが、やっぱり、餃子。

気になって、帰り、寄ってしまった。

店は、昨日行くはずだった、神保町の交差点、
北西角、二軒目あたり、二階。
「神田餃子屋・天鴻餃子房・神保町二丁目店」。

市ケ谷からは、都営新宿線で、二駅。

この店、けっこう古いのではなかろうか。
昨日今日ではないだろう。
また、随分前から、そこそこ知られてはいたように思う。
私も、前に、きたことはあったように思う。

この神保町交差点の二階の店は、
最近は、オリエンタルラジオ(若手芸人コンビ)が好きで
今でも店でよく見かける、というので、
話題になっている、と、聞いた。

比較的、遅い時間、8時半。
階段を上がっていくと、
ひょっとして、行列?
と、思ったが、満席だが、列にはなっていなかった。

待つか。

狭い階段の踊り場、店の入り口、付近で立って待つ。
この時間で、呑んでいる学生風も少なくなく、
10分、15分ほどであったか。
そこそこ待った。

二人が帰り、空いた席、窓際、奥、カウンターに座る。
ぐるっとカウンターが囲み、テーブルは、2〜3と、
そうとうに、狭い店である。

店員は厨房も含めてすべて中国の人のよう。

餃子はなん種類かあり、また、麺類、チャーハンなど

普通の中華料理、あるいは、麺類と半餃子などの
セットメニューもあるようである。

餃子は、ノーマルな野菜餃子から、黒豚餃子、水餃子、等々、7種類。

ひとまず、ノーマルな野菜餃子と瓶ビールをもらってみる。


一皿8個と、随分とある。
大きさは、比較的、小ぶりか。

味は?ふむふむ。

なるほど、うまい。
なんらか、味が付いている。
それも、具だけではなく、わからないが、皮にも?

後を引く味、で、ある。
どんどん食べられる。

これは、もう一皿。
今度は、黒豚、というのを、頼んでみる。


こちらは、少し大きめで6個。
確かに、野菜は少なめ(?入っていなかったかもしれぬ)で
こちらも、うまい。

うまかった、うまかった
満腹。

勘定をして、出る。

なるほど、噂通りであった。

クセになる味、後を引く味。

しかし、今さらのだが、少し考えた。、

日本のこの焼き餃子、というのは、なんであろうか。
あるいは、なぜうまいのか。
ちょっと不思議ではないか、と。

焼き餃子というのは、日本にはフリーク、と、いう人がいる。
週に一度は食べないと気が済まないという人。
食べるとなると、20個でも30個でも食べてしまうという人。
そういう人は、少なからずいる。
昨日の餃子を食いに行こう、という企画も、
そういう人間が発起人、で、あった。
あるいは、宇都宮など、街の名物にしてしまったところまで
ある。

私は、別段嫌いではないし、好きではあるが、
そこまでのフリークではない。
だが、日本の焼き餃子ではないが、水餃子は
皮から手作りをする。

これは、随分前だが、中国の北京へ行った際に食べた
向こうの水餃子が日本の焼き餃子よりも、うまかった。
それで、自作するようになった。

ご存じのように、中国では餃子といえば、
水餃子で、焼き餃子は一般的ではなく、
余った水餃子を、翌日焼いて食べる、というような
ことが多いと聞いたことがある。
(最初から、日本と同じように、焼く、というのも
むろんあるのだろうが。)

餃子は、北京では一般的な点心であるが、
中国でも、広く、北方、あるいは、旧満州で盛んに食べられているもの。

そんなことで、日本へは、戦後満州からの引き揚げ者が、
持ち帰り、定番になった。

この時点で、おそらく、既に焼き餃子であったのだろう。

なぜ、一般的な水餃子でなく、焼き餃子であったのか。
(例えば、満州でも焼き餃子よりも水餃子の方が、
一般的なのは、間違いないようだが。)
これは、不明。

理由はわからないが、満州から持ち帰った日本人が、
焼き餃子を一般化させた。

もう一つ、中国と日本の相違点。
中味も違うのである。
日本の焼き餃子の具には、野菜もたっぷりと入る。
一般的には、北京などでもそうだが、餃子には、
肉のみ。

むろん中国では例外はたくさんあろう。
満州から持ち帰った中に、野菜入りがあったのではあろう。
(こんな説もあるようだ。私も食べたことがあるが、
満州地方では、餃子は羊肉が一般的で、羊を食べない日本人には
匂いが強く、中国では、餃子ではにんにくは入れないが、
日本へ持ち帰ってから、にんにくを入れるようになった。
この真偽はさらに、わからないが、羊肉でかつ野菜を入れたものが
満州の日本人にも食べやすかった、そういうことが
あったのかもしれない。)

とにもかくにも、日本で今の形の野菜が入った具で、焼く、
焼き餃子が一般的になったのは、経緯はわからぬが、うまかったから、
と、この一点に尽きるだろう。

じゃあ、客観的に、中国で一般的な、肉のみの水餃子と、
日本の、野菜も入った、焼き餃子と、どっちがうまいのか。

まあ、この議論はあんまり意味はないかもしれない。
別物として、それぞれ、うまい。
まあ、そういうことであろう。

今、中国風の水餃子は日本でも探せば、食べられるが、
日本人誰もが焼き餃子同様に一般化しているか、といえば、
そうではない。

もう既に、焼き餃子というのは、生まれは満州かもしれぬが
独自の進化を遂げて、日本人の普通の食生活に
馴染んでしまっている。

味とすれば、中国現地の水餃子もうまいが、
日本の野菜入りの焼き餃子も同様にうまい。

野菜が入ることにより、野菜のうま味も加わり、
また、焼かれていることにより、パリッとした、
皮の別の食感も楽しめる。
と、こうなった。

では、今から、中国式水餃子が焼き餃子同様に、
日本で家庭に入るほど一般化するだろうか。
これは、どうもしそうにない。
既に、同じようなものが一般化しているので、
後発の水餃子には、そこまでのパワーはないかもしれない。

では逆に、日本の野菜の入ったうまい焼き餃子が、
中国に、輸出できるか?
これも、どうもなさそうである。
もともとは、残り物の再利用方で、
ポジションとすれば、一つ下であったらしい焼き餃子。
今さら、うまい、といわれても、それはむずかしかろう。

もしかすると、この先なん十年もすると、日本の餃子事情も
中国の餃子事情も、かわるのかもしれぬが、、。

おまけ。

会社の近所、市谷左内坂下かわかみラーめん。


ここは、東京の街角、どこにでもある、
(半分チェーンの)ラーメンや、で、ある。
だが、餃子は、やっぱり、うまい。
(餃子のことを考えていたら、また、食べたくなってしまった。)

日本の餃子事情、よくよく考えると、
不思議なもの、で、ある。



餃子屋





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